真空管ラジオの修理 トリオ 2バンドスーパー(5M−2型) 

このラジオはTRIOの銘板がつけられているが、型名は不明でしたが、津田さんに教えていただきました。
キットと完成品が有ったようです、半田付けを見ると上手いので完成品の可能性があります。
ただヒューズが省略されています、こに時代のラジオとしては珍しいと思われます。
故障が発生したら真空管がヒューズの代わりをする仕組みです。
「ヒューズ+ヒューズホルダー」を省略し、真空管の35W4をヒュース代わりに使う方が当時としては合理的と判断したのでしょう。
アメリカ製品では良く見かけるので輸出向けとも考えたのですが、貼付回路図は日本語表示ですから、日本向けでしょう。


このラジオは日本短波放送が開局したのに合わせ、「NSBチューナーよりまし」と発売されたラジオのようです。

中波帯の他に3.9〜12MHzが受信できます。
12BE6 12BD6 12AV6 35C5 35W4の5球

定価は
キット 5,770円
完成品 6,500円





修理前のシャーシ内部。




ケミコンテスターで漏洩電流の測定。
ボタンを押すと電流の測定範囲がフルスケール3mAになる。
漏洩電流は0.2mA以下でした。


ACコードの引き出し部分のゴムが破損している。





ほぼ修理完了した時のシャーシ内部、ACコードの引き出し部分のゴムも交換。




中波帯は正常に調整できましたが、短波の感度が極端に悪いです。
2mの室内アンテナでラジオ日経が受信できません。
調べてみると、3.9MHzを受信している時、アンテナコイルは4.05MHzに同調しています。
この調査はDIPメーターが便利です。
ただこの程度の誤差で、感度がこんなに悪くなるとは想像も出来ませんでした。

コイルメーカーの製品ですから、もう少しましと思ったのですが、期待はずれでした。


コアを入れて、インダクタンスを増加する事にしました。
中波の場合はTRラジオ用の物で良いのですが、
このコイルは12MHzまで使いますので、念のため短波用モノコイルから抜き出して使うことにしました。
シャーシ上に並べてある、左側のものです。

なおTRラジオ用のバーアンテナも短波用のものがありますので、材質を選べば問題ありません。



コイルの中にコアを仮に組み込みます、感度最高の位置を捜します。


決定した位置からずれないようにエポキシで接着します、これで出来上がりです。


最後にトラブル発生

実はこのラジオスイッチオン後 数〜10分間は正常に動作するのですが、突如音が歪ます。
RF関係と思っていたのですが、原因は35C5のカソード抵抗の半(?)断線でした。
通電して、少し熱を持つと断線するようです、冷えると正常になります。
真空管の不良にしては時間がかかるし・・、熱の影響らしいとは想像していたのですが、抵抗がタイマーの働きを兼ねているとは?。



アンテナ端子にダミー抵抗(アンテナのダミー)を入れてSSGと接続感度試験をしました。
正常値あります、やれやれといったところです。






2006年6月26日

2006年7月2日

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