真空管ラジオの修理 ビクター R−605の修理体験記

飾りにしようと購入したそうです。
キャビネットは再塗装されているようで、綺麗です。
分解してみると、確かに飾りになるように電源コードもありませんでした。
真空管の構成は6BE6 6BA6 6AV6 6AR5 6X4です。
ただ 少し改造されているので、定かではありませんが、外部機器の接続切替があります。


シャーシ内部の様子。
オリジナルの回路図がありませんが、大きく改造した形跡は無いようです。
ただ出力トランスは交換されています。
まず ケミコンテスターでブロックケミコンの試験、これは合格でした。
次に6AR5のグリッドの電圧測定、これは予想通り不合格。
コンデンサー類を交換して、通電してみると、6BA6のプレートに電圧が出ません。
コイルの断線でした、分解してみると、コイルが落下しています。
検波段のコイルで1次側のみに同調コイルがついている方式でした。
修理は諦めて、手持ちのIFTと交換して、修理しました。



VRも「がり」が酷くて使い物になりません、2回路 2接点の特殊スイッチ付で、PU(レコード・プレーヤー)切替をしています。
この種のVRは入手できませんので、1回路2接点のVR(これも最近では入手が難しい)に交換しました。
PUに切り替えた時にラジオが混入しますが、我慢してください。




修理完了時のシャーシの様子。



動作試験中の様子。
音量調整用のVRには30年製造とありました。
この機種は昭和30年に作られたようです。
特殊なスイッチ付(2回路2接点)のため、元通りの配線は出来ませんでした。
先端はオリジナルのVRを切り取って使用しました。

動作試験は上手く動いたのですが、どうもソケットの接触不良があります。
特に6BE6と6BA6の2個分が酷いです、交換は大変なので、一個一個 接触を確認しながらバネを修正しました。



IFTを455KHzに調整、更に目盛り合せの後、
トラッキング調整時、594KHzでコイルの巻数が少ないので、
ボビンに磁気コアの破片を入れて調整しました。
これで感度がずいぶん良くなりました。




不良で交換した部品類。
IFTまで交換するとは、非常に珍しい故障です。
6E5は全く光りません。
このラジオは良く使われたようで、他の真空管も相当劣化していました。
6AV6と6X4は別のメーカー製がついていたので、劣化後 交換したようです。





 ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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2008年12月2日




ラジオ工房修理メモ

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