真空管ラジオの修理 オンキョー OS−38 作成中

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修理前のシャーシ内部。
ケミコンテスターで測定したら漏洩電流が3mA程度ある。
順次調べてゆくとケミコンは多少漏洩が多いが、ペーパーコンデンサーの漏洩の方が多いことが判った。
念のため全て交換することにした。




ダイアル糸が切れている、無理に分解しようとして壊したのではと推定されます。
電源トランスの左側は平滑用のチョークです。
断線を心配したのですが、大丈夫でした。




ブロックケミコンも交換しました。
ペーパーコンデンサーも全て交換。
保管場所の関係かリークが酷かったです。

音量調整用にVRも交換しました。
ただ特殊なスイッチつきのため、PU切替は止めてラジオだけにしました。
したがってPU端子は使えません。
これで動作すると思ったのですが、動作しません、よく調べたらアンテナ側コイルが切れていることが判りました。
二次の同調コイルだけでなく、一次側のアンテナコイルも断線です。


コイルはダイアルのプーリーの横にありますので、ダイアル糸が切れた時、修理しようとして、
金属片が接触、削ぎ落としたように断線していました。

双方とも断線させるとは困ってしまいます。
特にこのコイルの巻き方は特殊で、専用の巻線機が無いと巻けません。

とにかくコイルを取り外して、断線部分を解いてみました、たまたま表面から5回くらいで、破損した部分が取り除かれたので、
残りのコイルでインダクタンスを測定してみました。




二次側の同調コイルのインダクタンスを測定。
185μHあります、正常値は210μH前後ですから相当 少ないです。
巻き足すのは難しいので、下記のようにコアを入れることにしました。


コイルの中にフェライトコアの断片を入れてインダクタンスを調整する事にしました。
TRラジオのバーアンテナ用のコア材を細かくして、必要な大きさを作り、
希望のインダクタンスに増加するように接着します。


コイルのインダクタンスの増加作業は実際は下記の順番で行います。
@IFTを455にあわせる。
Aダイアルの目盛りを合わせる。
BJOAK(594KHz)を受信し、マジックアイが最も閉じるようにコイルの中にコアをいれ、調整する。

CJORF(1422KHz)でマジックアイが閉じるよう、バリコンのトリマ(同調コイル側の)を調整する。

写真の手前に有るのがTRラジオ用のバーアンテナです、
白い紙にはダイアル目盛りを写したものを貼り付けてあります。
この様にしないと、箱に入れて 目盛り合わせは難しいからです。

なおダイアルの糸も切れていましたが、これは張替えました。

正常に動作するようになって喜んでいたのですが、どうも時々 ガリガリ音がします。
出力トランスの切れかかりです。
このまま返却すると 何時断線するか不明ですので、交換することにしました。

秋葉原まで、購入に出かけてきました。



出力トランスはスピーカーに取り付けれれていますが、
実は大きさが小さいのです。

コアの材質が良くなったので、小さなコアでも昔と同じかそれ以上のトランスが製作できるそうですが、
正直 交換するときは非常に困ります。


この様に内側に取り付け穴を開ける必要があります。
注意しないと、ドリルが滑って、スピーカーを壊す事が多いです。

時々 穴あけをサボって片側だけ固定したものを見かけますが、
これも危険です。


この様に両端を固定してください。



今回交換した部品。
ACコードも被覆が破れていましたので、交換しました。
ケミコンも「使えないことは無さそう」と云うレベルでしたが、
端子の汚れから類推し、安全を見て、交換してしまいました。
ランプも断線していたので交換しました。


後ろ側から見た写真。
右側にダイアル糸の張り方の図、と回路図が添付されている。

最後に
真空管は相当使い込まれています。
6WーC5 6D6 6Z−DH3A 42 80HK 6E5の構成ですが、マジックアイは殆ど光らず。
6ZーDH3Aは極限の劣化状態、gmは300μモー程度しかありません。
全般的に劣化しています、でも何とか動作するので良しとしました。



2006年5月24日
2006年6月2日

2006年6月24日移転

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