真空管ラジオの修理 中国製真空管ラジオキットの調整

TBSしか受信出来ないということで調整を依頼されました。
受信してみると 確かに変です。
アンテナを接続していないのに マジックアイが閉じています。



回路が発振しているか 配線に間違いが有るかのどちらかです。
下記図は 送られてきた状態の内部です。



内部を見てゆくと 検波回路のダイオード(桃色の矢印の端子に接続されている黒い部品)の配線が変です。
ここは普通アースされているはずです。
更に その端子(桃色の矢印で示す)に発振回路のグリッド抵抗が接続されています。
隣にアース端子(Eでします)が有りますので この部分は接続されていなければなりません。
どうも配線間違いのようです。 



配線(緑色の矢印)を追加して 修理完了。



更に 注意深く見るとVRへの配線が心もとないです。
このような配線は振動により ケースと接触して原因不明のトラブルを起こします。
一見正常に見えるので 原因を見つけるのに苦労するでしょう。
なお抵抗も同じです、抵抗の被覆が破れてケースと接触することが有ります。



チューブを配線に被せる 抵抗とケースが接触している所はテープで絶縁しておきました。



修理完了 ごのシャーシ内部です。
AC回路にコンデンサーが入れられていませんので 安全規格のコンデンサーを付加しておきました。
なお配線が 全体的に冗長です、このキットの設計にも原因が有りますが、配線は 短くしたほうが安定に動作します。




まずIFの調整です。
組み立てた状態では513KHzでした もともと中国製のIFTは455KHzではありませんが それにしても酷すぎます。
慎重に調整して455に出来ました。
調整は一気にやらないように ズレが激しいので 少しずつ 動かすほうが無難です。
10KHzくらいづつ周波数を下げて 何回かに分けて調整します。
一気に455にすると信号を見失って 悲劇になります。

ダイアルは目盛がありませんので バリコンが入りきったところで520KHz、
出きったところで 1680KHzでコイルとトリマを調整しました。
その後 トラッキング調整をして終わりです。

離調した状態のマジックアイ 光る部分が狭いです。



JOAK(594KHz)に同調性た時の状態 マジックアイが閉じています。
これで正常に受信できるようになりました。



最後に 先程も書きましたが 全体的に配線が冗長です。
電気回路をあちこち引き回すのは感心しません。
高周波は浮遊容量で信号が乗り移ります、不安定な動作の元にもなります。
工夫して組み立てる必要があります。





   組み立て体験記 GRS−6


   真空管ラジオ修理体験記目次


   福岡の加藤さんの製作 改造記もご覧ください。

2014年10月21日
2023年12月6日


IFT説明書

コイル説明書



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