(ラジオ工房)IFTの修理 

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ゼニスのラジオの修理をしています。
ケミコンが不良で、これを苦労して交換し、通電したら動作します。
でも時々ガリガリと雑音が出ます、「コイルの切れかかり」と思われるような現象です。
調べてゆくと検波段のIFT一次コイルと2次コイル間のリークらしいと判明しました。
ケミコンの交換もそうでしたが、このラジオはからげ配線(線を端子に巻きつけ半田付け)をして有ります。
半田を外そうと随分試行錯誤したのですが、とても無理でした。
やむを得ずリード線をニッパーで切断してIFTを取り外しました。



IFTを分解したところ。
非常に巧妙な仕掛けになっています。
リード線でベークを押さえて、後は下側のナット 1個で締め付ける方法です。
コンデンサーは見当たりません。
この様な仕組みのIFTははじめて見ました。


ナットを緩めて中を覗くと、円形のマイカに銀メッキらしきものがして有ります。
この電極を端子金具で上手く挿むような仕掛けです。


なお端子はマイカの電極に接触する部分が大きくなっています。
中央の膨らみの部分でマイカの電極を挿む。


コンデンサーはマイカに銀メッキして電極にしたものを端子の板を挟み付ける構造です。

マイカ板は取り出すときに破損しました。


コイル部分を組み立てて、コンデンサーをつけたところ。
なおこのIFTは一次側のコアは動かせません、調整できるのは2次側(上のコイル)のみです。
日本製のIFTと同じように下側にもネジが付いていますが、これは固定用のネジです。
したがって同調するコンデンサーは455KHzに共振する値のものを厳密に選ぶ必要があります。

裸の状態で共振させると測定はDIPメーターでも簡単に出来ますが、シールドケースに入れたとたんLの値が減少します。
したがって一応組み立てた状態にして、共振周波数になるようにコンデンサーの容量を測定する必要があります。
こんなわけでQメーターを使ってコンデンサーの容量を決めました。
測定したところ150PFでした、手持ちのシルバードマイカがありましたので利用しました。

なお150PFにするとコアの位置が相当出てくるので、検波段でもあり、
2次側はあえて、120PFとしました。
この値だとコアを中に充分入れられます。



シールドケースに入れ、仮組み立てして、
455KHzの場合 150PFで共振する事を確認。
なおコイルのQは60程度で意外に低いです。

あとがき

実は検波段だけだと思ったのですが、もう一つ残りの方も絶縁不良になっていました。
こちらはガリガリの現象はありませんでしたが、一次 二次コイル間の絶縁抵抗を測定してみると200MΩ程度有りました。
これも同じように分解し 修理しました。
ただこちらは初段ですから、コンデンサーは双方とも150PFとしました。


COSMOS製IFTの修理(同調コンデンサーの容量減少)

HIMAWARIの5球スーパーでIFTを455KHzに調整しようとしたのですが、どうもピークが確認できません。
分解してみると、コンデンサーの容量が半分程度に低下しています。


容量を測定する為、半田付けを外しています。
コンデンサーの半分が黒くなっています。
チタコンの容量が半減するとは珍しい故障です。


温度係数0で、100PFのコンデンサーを代わりに組み込んで修理完了。

写真手前は取り外したコンデンサー。


もう1つのIFTは正常でした。
コンデンサーの色も黒くなっていません。
元通り組み立てて修理完了。

中古のIFTは不良品が結構あります、調整してピークを検出できない場合、疑った方が良いでしょう。



2005年7月12日
2005年7月16日完
2005年8月16日
2006年11月28日 COSMOSのIFTの修理記録(チタコンの容量減少)を追加。
2013年4月13日:4,936 画像にラジオ工房を追加。

2006年6月24日

修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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