ヘルメス(大阪変圧器) P−4型受信機の修理

昭和10年頃に作られたと思われる ヘルメスの高1受信機です。
24B 24B 47B 12Bの構成がオリジナルです。
原状は57S 57S 3YP1 12Fに交換されています。
昭和25年頃にナショナルが発売していたスパー改造キットを使ってスーパーになっています。
このキットについての紹介記事は資料館(http://radio.eucaly.net/siryou/national-supercoil-kit.html)に有ります。

シャーシ内部の様子です。



キャビネットを外して 内部の様子。



どのように復元するか悩んだのですが、バリコンの羽根が変形していて、
さらにオリジナルのコイルもないので、改造スーパーで復元することにしました。
復元が終わり 試運転している処です。
ICF−2001Dを横において 局発をモニターしながら受信します。
バリコンが入りきった位置で 620KHzを受信していました。



修理完了後のシャーシ内部です。
(これは感度が悪いので 再度分解しました )







完成し 正常に動作するのですが、なんとなく感度が悪いのです。
それにIFTの調整がどうも納得できなかった。
気になるので IFTを分解してみることにしました。



分解してみると内部は問題なさそうです、ただIFTの組み込み方に欠点がありそうです。
コイル自体が落下した可能性もあるので コイルを動かしてみたが きっちり固定していた。
グリッドDIPメーターでそれぞれ 確認すると420KHz付近でディップするので、大丈夫そうだ。
なおケースを外してあるので 共振周波数は低く出ます。

コンデンサーは測定してみると100PFでした、コイルのQは455KHz付近で100程度あるので大丈夫です(シールドなし)。
コイルの間隔が多少広い感じはするのですが、比較するものが無いので 良しとしました。
コアを調整する軸はアースされています。
またグリッド側のコイルのアース側は軸の棒に半田つけしてあります。
取りはずす時 このIFTは片側の軸(ネジ)で固定されていました。
本来は2本ともシャーシに固定すべきです、手抜き工事でした。
1本だけの固定でも原理的には問題ないはずですが、60年も経過すると どこかで接触不良がおきますので、
このような方法は良くは有りません。



リード線がボロボロなので 新しい線に交換して組み立てます。



取りはずした シャーシ部分 リード線の引出穴がやに小さい。



少し 広げました。



再度 組み立てた処。
IFTの取り付けも2個のネジでしっかり固定しました。



動画
音声が聞こえます、表示まで少し時間がかかると思います。

最終的なシャーシ 内部です。
IFTのリード線が新しくなっています。

オシレーターから455KHzの信号を入れ IFTの調整をします。
バリコンの容量が小さいので 現在のような受信範囲にはできません。
540KHzから1620KHzが受信できるように しました。
OSCの取り付け方法が悪く 一旦シャーシから取り外さないとネジの調整が出来ないので 非常に不便でした。

受信範囲の設定ができると トラッキング調整です。
バリコンの羽根が変形しているので完全なトラッキング調整は難しいのですが、低い方はJOAK(594)が再高感度になるように、調整します。
コイルは空芯ですから 調整できませんので、内部にバーアンテナの破片を挿入するとこで 最高感度になるように 大きさと場所を選定します。
最後は 接着剤で固定して終了です。
高い方は バリコン付属のトリマで調整します。
こちらの方は Qが低いらしく 顕著な変化は有りませんでした。



これで何とか 満足できるところまで 追い込みました。

この改造キットについての紹介記事は資料館(http://radio.eucaly.net/siryou/national-supercoil-kit.html)に有ります。
改造のやり方の記事もあり 是非ご覧ください。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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2013年6月22日:5 
2013年6月24日:153





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