真空管ラジオの修理 GE−C100

奇麗なGEのラジオが修理にやってきました。

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不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、ノウハウは無料ですが、作業は有料です。
 

GE社製 Model 101
真空管  35Z5  50L6  12SA7  12SK7  12SG7
受信局がプッチンと音がして他の所に行く、暫くすると又、同じ場所に帰って来る。
雑音が多く、受信周波数が高くなる度大きく成ります。





分解してみるとこのラジオは非常に良くできています。
ループアンテナを外すのが多少面倒ですが、日本製に較べれば格段の違いです。
IFTは横長の形をしています、分解したわけではないので想像ですが、
コイルは2本に分割されていそうです。

ランプは10Wの大きなものがついています、115Vで直接点灯する仕掛けです。




ピントが甘いので、拡大写真はありません。
青色のコンデンサー(出力管の結合コンデンサー)にリークがあったので交換しました。
他のものは抜き取り試験の結果そのままで大丈夫とはんだんしました。


清掃する時落下したそうで、35Z5が断線しています、代用品の真空管を挿して試験しました。
IFTの調整も終了 これで終わりと思ったのですが。
動作させてみると、周波数の高いJORF(1422)を受信すると雑音が多いです、
IFTの出力をオシロスコープで監視すると、強いパルス性のノイズが観測できました。
今まで経験した事の無い現象です、発振しているような違うような・・・。

徹底的に調べる事にしました。
一部のコンデンサーも取り外しました、勿体無いのですが、コンデンサーが邪魔で配線が見えないのです。
結果的にGE101の回路図は良く似ているが違う事が判りました。
また同じ100とも違います、最終的にどうもカナダバージョンは型名が同じでも違うらしい事が今回判明しました。
アメリカ製モデル101とも100とも回路図が微妙に違います。
PHONEの接続端子がついているので、この様になっているのかも知れません。
回路を追いかけてゆくと意外な事実に気がつきました。
検波用IFTのシールドケースがシャーシから浮かしてあり、これにAVC電圧が抵抗で分圧されて加わる仕掛けになっています。
悪い事にIFT固定用のナットが緩んでいました。この為 IFTのケースが電気的に不安定ななったのではと想像されます。
改造された形跡は無いので、この回路がオリジナルと判断して、ナットを締めて終了としました。


この部分の修理で変な発振は無くなりました。
ただこれで全て解決かは不明です。
数時間 慣らし運転をしてOKで大丈夫でしたので、
これでとりあえずはOKとしました。
35Z5の断線修理
秋葉原の通信販売の店にも在庫が無さそうなので、ベースを流用して代用真空管を作る計画で、再度調べてみました。
なんとBとFピン間に導通が有るではありませんか、何とか使えそうです。

このラジオは115Vランプを使いますので、35Z5のヒーター用中間端子は使いません。
それなのに、A Bピン間(PLランプ点灯用)が断線しています、もう一台修理依頼を受けたラジオのPLが断線していたので、
どうもこの35Z4は入れ替わったと考えるのが理解しやすいです。


35Z5のAとBピンの間がこの球は断線していた。をショートすると出来上がり。


35Z5のAとBピンの間をショートすると出来上がり。
但しどのラジオにも使えるわけではありません。

1)ヒータータップを使っていないこと。
2)ラジオ本体のソケットで3番ピンが使われていないこと。

特に2)は重要で、このピンを中継端子代わりに使っていることがありますので、要注意です。


動作試験中のラジオ。
フェライトコアに巻いてあるコイルはループアンテナの代用品です。
本物を試験に使うと壊す可能性があり、かつ場所をとります。
この為、TRラジオ用のバーアンテナの巻線の一部を使って代用品を作りました。




修理完了したラジオの背面。
バリコンは親子バリコンです。


裏側の銘板はC100になっています。
最初はアメリカ製と思い込んでいたのですが、
回路図と現物が微妙に違うので念のため銘板を見たらカナダ製と書いてありました。



再修理

返送したら、動作不良です。

GEのラジオですが、受信周波数が飛んでしまいます、受け取ってから毎日使って、
観察していますが、症状が出る、規則は無いようですが?
945KHを聞く機会が多いのですが、他の局でも、出ます。
受信してから、1時間以上してから症状が出ることが多いです。
頻繁に出たり、出なかったりします。
同じ所を、行ったり来たりします、時間は短い時は1、20秒から長い時は3、40分移動しています。

954KHzのTBSが約30KHzほど動きます。
コイルのインダクタンスなどから類推して、同調時3PF程度の容量変化があれば、この程度の周波数が動く事が計算できました。
まず真空管(12SA7)を疑いました。
手持ちが無いので、6SQ7GTを壊して、ベースを取り出し、この上に12BE6に乗っける事にした。

6SQ7GT ベース


中央にシールドが見える
これは1ピンに接続

完成して試運転しているところ。



代用真空管で試験してみたが、現象が再発した。
結果的に真空管の不具合でないことが判った。

残る原因はバリコンとトリマと思われるが、物理的にたたいても変化せず、現象から考えても信じがたい。
共振(発振)回路に直接組み込まれていないが、グリットへの結合コンデンサーが変化すると、
間接的に共振回路の常数が変化する可能性があり、これを交換してみた。

結果的にこのコンデンサーを交換すると現象が止まった。


Aが該当のコンデンサー、マイカに交換。
CはG3回路の結合コンデンサー。
なお写真では古いままだが、最終的にBも交換した。
しかし取り外して試験したら問題なかった。

アメリカ製のラジオは「からげ配線」で、部品を外すと再度利用するのが難しいのが難点。
2時間ほど連続通電、断続的に数時間通電したが問題は無かったのでOKとした。















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2005年11月19日
2005年12月5日

2006年6月24日移転

修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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