真空管ラジオの修理 マツダ 6球スーパー受信機 616Aの修復

昭和28年頃製作されたと思われるマツダ(東芝)の6球スーパーの修理を依頼されました。
当時はマジックアイ6E5を含めて、球数を表現していたので、6球となっていますが、実質は5球スーパーです。
1球でも多いほうが高級と感じられたからです。
送られてきたラジオは箱は壊れ無残な状態です。
湿気の多いところに保管されていたらしく、前面のベニヤ板が柔らかくなっています。

ここまで破壊されていると普通は部品取り用ですが、
思い出のラジオと言うことで修復に挑戦しました。



箱は完全に壊れています。


シャーシは幸いにも錆等はあまりありません。
ただダイアルの糸が切れているので、張り替える必要があります。
前部の金属板を取り除かぬと、糸が交換できないので結構大変でした。

真空管を調べてみると
@6WC5 GMが極度に低い、ただ真空管試験器では変換利得は測定できない、
ラジオの修理待ち。→何とか動作はしますが、感度が低いので交換。
A6D6 GM 750  新品の半分程度。→そのまま使用。
B6ZDH3A OK
C6ZP1    OK
D12F     OK
E6E5    全く光らず

不良箇所
@ブロック電解コンデンサーは完全な不良
Aペーパーコンデンサー  不良
BIFT  検波用IFT不良。
1次側のコイルが断線している事がわかった。
修理して使うことにした。
CVR不良

幸いにもアウトプットコイルは無事だった。

断線したIFTのケースと中身 上側のコイルが1次、P B間が断線。
+の高圧がかかるコイルは断線しやすい。

これは同じ丸形の物が無いので修理して使うことにした。
秋葉原で捜せば有るとは思うが、予算も考えないと。




1部の抵抗と殆どのコンデンサーを交換しました。
コンデンサーはマイカコンが2個だけオリジナルです。
東芝(マツダ)のラジオはこの機種を含め、
多くがIF増幅の6D6にカソードバイアスがかけられていません。
修理前はカソードバイアスに改造(改良)されていました。
6D6がエミ減なので、少しでも増幅度をあげたいので
カソードバイアス方式のままとしました。
(カソードをアースするより増幅度が上がります)
電源のコンデンサーはオリジナルは20μF+10μF+3μFですが、
同じ物が無いので22μF+22μF+22μFの未使用(新品)のブロックコンデンサーに交換しました。
VRは修理不能なぐらいにガリガリでしたので、新品に交換しました。
但しSW無しですので、PUへの切替は出来ません。
以前ついていた6WC5は動作は何とかしますが、
感度が低いので交換しました。
6D6は新品時の半分程度のGMですが、このまま使うことにしました。

6E5は交換したいのですが、最近3,500円に高騰したので、とりあえず諦めることにしました。
このラジオのマジックアイ(6E5)はマツダがついています。
当たり前ですが、逆に言えば一度も交換されていないことを意味します。
(マジックアイは数百時間で光らなくなると言われたものです。)
交換用は普通 トーヨー等を使うのが常識でした。
マツダのは2倍くらい高かったのですから。

試験用のマジックアイ6R−E13をつけて試験。


完成です。
今度の修理は電気的な修理も大変でしたが、
箱の修復とダイアルの糸かけに時間をとられました。


 ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 


2001年8月27日
2001年9月13日修正

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転
2011年11月29日:3,200

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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