真空管ラジオの修理 シャープ 5R-14A スーパーラジオ 修理体験記


昭和24年に製造されたスーパーです。
6W-C5 6D6 6Z-DH3A 6Z-P1 12F。
想像以上に良く設計されています、スピーカーコードが簡単に外せるのが素晴らしい。


輸送中に真空管が暴れないよう依頼主が内部にプチプチをつめています。
裏側にNSBチューナーが取り付けられていました。



修理前のシャーシ内部です。
ダイアル糸が黄色です、これは代用品を使ったようで、磨り減ってスリップします。


何故かコイルがスターに交換されています。
メーカー製ラジオでは見かけないパディングコンデンサーついています。
バリコンもトリマが下向きで、常識的に有り得ない組み込み方です。
これも交換されているようです。

ラジオ工房掲示板に同じ機種をお持ちの三好さんから、
もともとは親子バリコンがついていたようだとの情報をいただきました。

製造当時の受信周波数は550〜1500Kcなので、
民間放送開始時 535〜1605Kcに広げる為に改造したのかも知れません。
三好さんのラジオもバリコンが交換されているそうなので、
あるいはバリコンに共通の弱点があったのかもしれません。

写真で写っている真空管は試験用の代用真空管(6W-C5代用)です。
最初の動作試験は依頼主の真空管を壊すと困るので使いません。
正常動作が確認できてから使用します。




電源回路のケミコンは当然不良になっていました。
取り外すと外観が変わりますので、残したまま、空きスペースにラグ端子を取り付けケミコンを組み込みました。
オリジナルは10 20μFでしたが、400V 15μF 250V 47μFに交換しました。
ダイアルの糸も張り替えました。
抵抗も交換しましたので、予想以上の部品を交換しました。
やはり戦後すぐの製造ということで、部品の質も悪かったのかも知れません。
動作するようになりましたが、猛烈に感度が悪いです。
数mのアンテナをつながないとNHKが受信できません。
回路定数は問題ありません、B電圧を測定してみましたが、相当低い値です。
でも もともとこのラジオは電圧が低く設計されているので、異常では有りません、正常です。
トラッキングのずれをまず疑ったのですが、調査の結果 大きな問題は見つかりませんでした。



原因はIFTの不良でした。
コイルがボビンから離れ、ばらばらになっています。
2個とも同じ状態でした、戦後すぐの製造ですから、
固定するための良い接着剤も無かったのでしょう。
片側のコイルが落下していることは稀にあるのですが、
全部がこのようになっているのは初めての経験です。

オリジナルの固定位置が不明でした、試行錯誤の上 場所を決めました。
この作業が意外と大変でした。


試験 調整中のシャープ 5R-14A型スーパー。
修理完了して 最終調整中のラジオ。
バリコンの軸に組みかまれているプーリーも別物らしいです。
スプリングの固定金具がありません。
それに直径が少しオリジナルより大きいようです。
ダイアル指針の動きがダイアル目盛りの幅を大きく超えて動きます。
首都圏での受信に不便が無いように、トラッキングが取れるように工夫をして調整しました。
目盛りはぴったりでは有りませんが、目安には十分なると思います。

左側 四角のブリキ函はケミコンです、これは電気的には切り離されていますが、
組み込んだままとしました。




キャビネットに入れて試験中。

 ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 

2007年12月10日





ラジオ工房修理メモ

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