東芝 TRYX-2000の修理
・機種:東芝 RP−2000F(TRYXー2000)
・症状:
・当方の勘違いかも知れませんが、選局のダイアルを回すと表示のフィルムは
周波数の高いほうに移動しますが、スプレッドダイヤルの円盤表示は周波数の
低いほうへ移動します。
<EX>
6MHzでマーカ発信させて、その位置でスプレットダイアルの円盤表示を
6MHzに回転させます。
ラジオニッケイを聞く場合6.055MHzですので周波数を上げる方向に
回転させると、スプレットダイアルは周波数の低い方に表示が移動してしまいます。
直読が出来ない状況です。
・SW3の感度がいまいち良くない感じです。
・その他、故障箇所は無いと思っておりますが全体的に調整をお願いします
|
確かにダイアルのツマミを廻すと逆方向に動きます。
普通は右回り(時計回り)で周波数が高くなるのですが、この2000は逆です。
分解してみるとダイアルの固定ゴムが交換されています、なかなか見事な修理です。
![](7b/1/TRYX-2000-DSCF3554.jpg)
更に分解すると、ダイアルの糸かけが逆になっていました。
このため右回りで周波数が低くなる方向に動いていたのです。
原因は修理時のうっかりミスと思われます。
修理方法も見事なので、相当のベテランが修理したのでしょう。
ただダイアルメカが破損していました、接着などで補修してありますが、ネジ穴がバカになっていたり、破損があります。
使用には差し支えないと思いますが、丁寧に扱ってください。
![](7b/1/TRYX-2000-DSCF3558.jpg) |
![](7b/1/TRYX-2000-DSCF3557.jpg) |
ダイアルの円板目盛りを4MHzのマーカーにあわせる。
マーカーSW ON。
ダイアルを操作してSメーターの振れが最高になる位置にあわせる。 |
マーカーSW OFF
円板ダイアル3935にあわせる。 |
![](7b/1/DSCF3558-s.jpg) |
![](7b/1/DSCF3557-s.jpg) |
この機種はオークションで購入したそうですが、整備した方が無理やり分解してダイアル機構を壊し、その修理の段階で糸のかけ方を逆にしたのが原因と思われます。
SW3の感度が悪いのは調整がされていなかったためです。
全体的に美品だし、状態は非常に良かったのに メカ部分を破損させたのは惜しかったです。
2008年8月14日
![](7b/3/DSCF4480-TRYX-2000.jpg)
![](7b/3/DSCF4481-TRYX-2000.jpg)
![](7b/3/DSCF4482-TRYX-2000.jpg)
カリカリ雑音の入るTRYXー2000(2015年10月5日)
別の故障で修理完了し 受信してみると、放送局の無いところで カリカリと雑音が入るのです。
NHKなど強力な放送局では入りません。
あちこち調べたのですが 最終的に中間周波増幅回路ブロック(東芝で云う FU)が怪しいと判りました。
このFUは下記画像の白枠のところに実装されています。
なおこの機種の修理は 意外と嫌らしいです、ソニーの5800程数がありませんので、
部品取りのラジオも少ないし それに 東芝のラジオの回路図は見づらくて難儀します。
できれば修理したくない ラジオです。
これは挑戦して 見てもらえればすぐ判ります。
![](7b/21/DSCF7299.jpg)
別の2000から移植して修理することにしました。
下記は 取り外したFU です(1個は不良品 もう1つは別の2000からの抜き取り品)。
![](7b/21/DSCF7297.jpg)
FUブロックを分解したところ。
過密実装で 年寄りには 修理は難しい。
下記画像のように移植して修理完了です。
![](7b/21/DSCF7300.jpg)
なお東芝のBCLラジオでは このFUっが使われていますが、機種によって中身が違うので、
個別に調査する必要があります。
外観はそっくりですが 製造時期によるのか いろいろ混在しているようです。
フイルムダイアルの動きが悪いTRYXー2000(2015年10月9日)
綺麗なTRYXー2000ですが 同調がうまく出来ません、ダイアルが スリップして うまく同調出来ないのです。
開けてみると ダイアルの軸を固定するネジがありません。
これは完全に素人が分解しています、ネジも締めずに元に戻すのは困ったものです。
悪い予感です。
![](7b/21/DSCF7419.jpg)
この部分です、これは手持ちのネジを追加したもの。
分解してみると ダイアル機構も固定ネジも1個不足です。
更に外してみると ダイアルの糸掛けが怪しいのです。
素性不明の糸を使って糸掛けがされています。
![](7b/21/DSCF7340.jpg)
拡大してみると糸がバラけた感じになっています、素性不明な糸です。
![](7b/21/DSCF7343.jpg)
専用のダイアル糸で張り直しました。
![](7b/21/DSCF7345.jpg)
これで同調するとMWの場合 なにか2箇所で同調する感じ(2こぶ駱駝のような)なのです、非常に違和感があります。
調べてゆくと AMのIFT(位置は画像参照ください)のコアが470KHz付近に調整されていました。
このIFTはセラミックフイルター内蔵ですから 455KHzにもピークが有るのです、このためIF回路で 、2つのピークが出てしまうのです。
このままで受信は出来ますが 調整しないと 感度も悪いし実用的に問題です。
MW SW1 SW2と調整し、SW3でまず13MHzを合わせ、28MHZを合わせよとトリマを調整するのですが、あわないのです。
このようなことはかってこの機種で経験したことがありません。
調べてみると 13MHzはイメージに合わせてありました。
どうもこの部分も無茶苦茶いじられていたようです、ただそれだけではなく困ったことが見つかりました。
アンテナコイル(SW3のRFコイル)のコアの溝が破損しています(画像参照ください)。
どうも無理やり 回したので 破損したようです。
おそらく この影響でイメージの方が強力に受信できたようです(アンテナコイルの共振周波数がイメージ周波数に近い)。
![](7b/21/DSCF7358.jpg)
SW3のアンテナコイルのコアの溝 破損
![](7b/21/DSCF7357.jpg)
溝を破損させると コアを動かせません、調整できないと非常に困るのです。
特にSW3になると受信周波数と発振周波数が相対的に近接してくるので、発振停止 受信不良などの悪影響が有るのです。
例えば30MHzを受信する場合 局発の周波数は30.455KHzで1.5% しか違わないのです。
モノコイルの共振周波数はブロードですから、トラブルになりやすいのです。
どうしてもこの部分を修理しないと 感度が悪いだけでなく受信できない周波数も出てきます。
![](7b/21/DSCF7363.jpg)
まずエポキシ接着剤で楊枝をコアに固定して回そうとしましたが、無駄でした。
どうしようもないので 最後の手段で ボビンを一部壊してなんとかコアを取り出しました。
![](7b/21/DSCF7421.jpg)
左側の コアが溝が割れたものです。
取り出す時 無理を重ねたので 割れが酷くなっています。
右側が 手持ちのコアです。
以前購入した モノコイルのコアが寸法的にも 規格的にもぴったりでした。
なおコアは同じ形でも規格が違うと使えません。
使える周波数範囲で 数種の規格(ミューが違う)が有るようです。
これで懸案だった SW3も正常に受信できるようになりました。
実はマーカーも発振しているのですが、1MHzの信号にはなりません。前の持ち主が弄り回したので、
基本周波数では発振しているのですが 分周回路が狂っているのです。
これもなんとか復旧しました。
FMも弄られていて こちらは予算の関係で そのままとしました。
これで完成と 喜んでケースの裏蓋を閉めようとしたのですが、ネジを回しても閉まらないのです。
せっかく組み立てた表側のパネルを外してみると 原因が判りました。
前面のパネルには白い丸印で示す ネジを受けるボスが有るのです。
![](7b/21/DSCF7432.jpg)
このボスのあなにはネジが切って有るのですが ネジ山が全く見えません。
これでは閉まるはずがありません。
最後はねじ山にクッションになるものを挟んで 固定しました。
このラジオは 今まで修理したラジオの内で 最悪で 1位か2位を争うくらい の弄られ方でした。
一応 もっともらしく受信は出来るのですが さんざん玩具にして 壊したラジオを販売するのは酷すぎますね。
内部のコイルのコアやトリマがすべて無茶苦茶に回されていました、ちょっとでは有りません、極端に言えば回せるだけ回した感じです。
ネジもないところが数カ所あり このラジオの修理には 本当に苦労しました、もう懲り懲りという感じです。
最後は裏蓋を締めるのにまで 苦労しました。
外見が綺麗なだけに 騙された方が気の毒です。
2015年10月5日:4,572
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