ドレーク SSR−1の修理体験記     


1)周波数目盛りの違い。


SSR−1の調整や修理に挑戦しました。
1台目は目盛りと実際の周波数が5KHzほど違うと言うことで調整しました。
結果は100KHz毎に確認したところでは、非常に良く合いました。
一番違う部分で2KHz程度ですから、誤差の範囲です。
なおこの機種は外観は安っぽいですが、中の作りは立派です。
ラジオでは珍しい両面基板が使われています。
但しスカイセンサー5900で使われていて、良く壊れるTRが多数使われています。
この点が心配と言えるかも知れません。
信頼度は高いと思いますが、資料が無くて修理するのは難しいです。


2)アマチュア−が修理を途中で諦めたSSR−1の修理。

このSSR−1はアンテナの修理をやってもらっている友人に頼まれたもの。
同好の人だけに小生と同じようなものを集めてきます。
外観に惚れ込んだらしい。
音が全然でないとの事

中を開けると、受信部分の基板の半田付けが下手なので悪い予感がしたが、
どうも修理途中で諦めたらしい(友人本人ではない)。中古屋さんで買ってくると時々こんなことがあります。




B回路のジャンパー線の半田付け不良、レギュレーターTRの半田付け不良。
さらに検波用IFTの1次巻線が地絡(Bがアースされる)していることが判明。
この切り分けには苦労しました。
写真の左側が地絡したコイル。
でもこれだけではありません。
どうも他も沢山壊れているらしい。
回路図があれば良いのですが、手持ちの回路図は数値がコピーのコピーの繰り返しでつぶれて読めないので、苦戦しました。


別件で忙しかったので、手付かずでしたが、1月後の5月末に修理を再開しました。
@検波用のコイルは前回 代わりのもの(写真右側)をとりあえず組み込んでおきました。
本来同じ物が必要ですが、入手できません。
TRラジオ用で455KHzの検波用(黒コア)IFTを使いました。
でもOKかどうかは全体の動作が終わらぬと確認できません。
A半田つけ不良、部品不良があるので、1つずつつぶしてゆきました。
基板のパターン上には緑色の保護塗料が塗ってあるので、パターンを読むのに苦労します。
強い光を当てても裏側が良く見えません。
それでも何とかつぶして行きました。
動作不良の箇所は右側基板が大部分ですが、左側も絡んできます。
B左側の基板はパターンを追いかけてゆこうとしたら、大変なことに気づきました。
両面基板を使っているので、
片側から光を当てて、部品とパターン図を照合することが出来ません。
寸法を測りながら、凡その場所で見当をつけるのですから、泣けてきます。
修理マニュアルのパター図があれば、簡単なのでしょうが、このラジオは回路図があるだけなので大変です。
でも回路図があるだけでも有りがたいと思うべきかもしれません。
C悪戦苦闘の末、やっと音が出るようになりました。
D調整すると交換したIFTのコアを締めて行くと音が大きくなります。
最もコアーが入った状態でもピークがありません。
これは同調容量が少し不足していることを意味します、
温度係数0のセラミックコンデンサー27PFをコイルに追加してOKとなりました。
これで交換したIFTも使えることがわかりました。
E最後に目盛り合わせをして、快調に受信できるようになりました。
F音はお世辞にも良いとは言えません。
これは選択度が良くなっているので仕方の無い事でしょう。

反省
検波用IFTの地絡が原因で、以前の持ち主が彼方此方修理しようとして、他の部分もいじり壊したと言うのが実情かもしれません。
この種のラジオは修理マニュアル無しに手を出すものでは無いと思いました。
特に修理途中で破棄したものを再生するのは大変です。
リサイクルショップなどで購入した場合、変にいじりまわされているものは少ないのですが、今回は例外でした。
ハムフェアーやフリーマーケットなどで大量の「ジャンク」を売っている場合、この種の危険は覚悟すべきでしょう。


3) 全く受信できないSSR−1


通電しても全く反応しないのです。
電源コードも見たことがない形のプラグが付いています。
とりあえず 電池動作で確認しました。




上面から見た基板です。
このラジオは10年以上前に修理しただけです、すっかり忘れていました。
悪いことに 基板は2層基板で裏側から見ても 接続がわからないのです。
回路図はありますので 時間をかけて調べました。

電池で動作させてみると 通電はしています、低周波部分は動作していることが判りました。

悪名高い2SC710がたくさん使われていますので、どれか悪くなつているのではと調べてみました。
原因を見つけるのに2〜3日かかってしまいました、残念。
パターン図があれば比較的簡単なのに。

やっと不具合箇所を見つけて修理しましたが 効率が凄く悪いです。
どこに問題が有ったかはこの際伏せておきます。
普通のラジオの数倍以上の手間がかかります。
もう懲り懲りです。

なんとか動作するようになったので調整して 修理完了。




ただ不思議な事に455KHzのIFT(L19)のダンプ抵抗が切断されています。
修理した時 切断したとは思えないので メーカーのしわざと思われます。
下記画像参照ください。
この部分は特に悪影響は無いので そのままとしました。



底面から見た内部構造。





途中で諦めたケース (2017年12月19日)



このSSR-1はACコードが根元で切断されています。
理由は深く考えずにコードを交換しました。

切断されたコード


接続して通電してみるとランプは通電するのですが、全く無音です。
電池動作で通電してみると20mAくらいしか流れません。

同もおかしいと言うことで調べてゆきました。
この機種は使用j法のマニュアルはあるのですが、調整方法などの記載はありません。
回路図のみある状態です。

回路図を手がかりに回路を追いかけて行きます。
なおガラス基板の両面タイプですから 追いかけてゆくといっても限度があります。
下記ポインターで照射しながら手探りで調べて行きます。



調べてゆくと 基板に割れがあることが判りました。
普通はこんなところは割れません、それにガラスエポキシですから、簡単に割れるはずは無いのです。
想定外の事象です、簡単そうですが、
実はここまでわかるのに1日かかってしまいました。
電源関連の部分です。



割れた基板は バリコンの下側くらいの位置です。
まず この部分の修理をしました。

これが後日 とんでもない事実がわかりました。




筐体をよく見ると 右下に傷があります、どうも落下させたのかも知れません。










基板割れを補修して 通電してみました。
これでも動作しません。

さらに調べてゆくとミュートジャック(送信時 受信を停止する機構)の不良を発見しました。
ミュート配線をショートすべき時にもショートされないのです。
ジャックとプラグの不良でした。
どちらにしてもこの機能は使わないので 回路をそのように変更しました。
ミュート機能は使えません。

(使用したいときはジャックとプラグを交換してください)







これで受信できるようになったのですが、目盛りが合わせられないのです。

実は0−1000KHzの可変は 3連バリコンのパネル側で行っていて、
この容量変化カーブが直線的ではないのです。
基板が割れるくらいの衝撃が加わったのであるいは変形したのかも知れません。






2001Dで発振周波数をモニターしてみると次のようになっています。

バリコンの直線性が損傷しているようだ。

 ダイアル目盛り 発振周波数(KHz) 
 1000 2459
 900 2559
 800 2661
 700 2752
 600 2852 
 500 2952
 400 3050 
 300 3145
 200 3245 
 100 3338 
 0 3456

それとMHzを発振するコイルのコア(下記画像の矢印部分)が固着して動かせない。



無理して動かすとコアが割れる恐れあります。
コイルそのものは自作すれば何とかなるレベルですが、バリコンは代わりがありませんので、
一応受信できることもあり、修理はここで終了としました。
まだ回路的にはTR不良など残っていそうですが、部品の関係でこれ以上の修理は難しいです。

6055KHzのラジオ日経が7050KHz付近で受信できます。
MHzのダイアル目盛りに狂いがあり 2MHZ以上はそれぞれ1MHzずれて表示されます。

たとえば7MHzは8MHz表示の部分で。

この表示はコイルの固着で修正出来ませんでした。

2003年1月3日移転と更新

2006年6月26日
2011年11月25日:移転 カウント開始
2016年8月14日:2,986 その3を追加。
2017年12月20日:4,133





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