クーガ101の修理体験記

クーガ101の修理をしました。
ネジが無いということで 相当ひどい状態とは想像していたのですが、想像以上の酷さでした。
お断りすべきだったと反省しています。
101の修理は数年以上やっていませんので、珍しさもあり、つい引き受けてしまったのが原因です。 

依頼主から
先日、オークションでパナソニックラジオ クーガ RF-1010を入手したのですが、
キャビネットや基板の止めネジがなかったり、配線に手が加えられていたりで、
受信が不安定等々、悲惨な状況です。
このまま廃棄とも考えたのですが、直るものなら直してあげたいと思います。
是非修理をお願いしたいのですが、お引き受け頂けますでしょうか。
もし可能でしたら、よろしくお願いします。
RF-10101の状況
・裏蓋を止めるネジがない
・メイン基板を止めるネジが足りない
・FMの受信ができない
・前の持ち主が配線を変更(トーンコントロールとボリューム)
・AMとSW受信が不安定。 







何故かBFOと感度のスイッチの先端が削り取られています。
これでは操作できないと思うのですが??。
VRは音量調整用を切り離して音質調整用で音量を調整するように配線されています。
相当器用な方が工作したのでしょうが?。






VRの配線の様子。


配線はオリジナルの状態に戻しました。


AMの受信はできるようになりました。
とりあえずケースに組み込もうとしたのですが、基板を固定するねじのボス(受け口 画像の○印の3か所)が無いのです。
いやはやこれには困りました。
想像以上に壊してあります。


○印、左下 中央左 右上の3か所(ただしこの部分は低い)



手持ちの1010Aのケースがありましたので、やむを得ずこれを使うことにしました。
表面の金属部分を黒塗りにしたものですが、代用品として使いました。
黒塗りを別にすればこちらの方が断然綺麗です。


組み込んだところです。
なおFMが受信できない件は、原因は部品不良ですが、本格的な修理は時間がかかるので、
簡易な方法で対応しました。
現状正常に受信できます。
耐久性に問題があるかもしれません。

BFOスイッチを操作してもビートがかかりません。
回路を調べてゆくと、発振回路には正常に電圧がかかっています。
オシロスコープで見ると、発振しているではありませんか、BFO回路の不良ではなかったのです。
原因は下記の通りでした。

さて調整ですが、オシレーターから455KHzの信号をIF回路に入れても反応が全くありません。
調べてゆくとIFが485KHz付近に合されています、これではBFOがかからないわけです。
それにしても酷い調整がしてあったものです。
いろいろBCLラジオは修理しましたが、これほど狂っていたのは初めてです。
IF BFOをそれぞれ455KHzに合わせてこの部分は終了です。

このあと目盛合わせとトラッキング調整をしました。
この機種はこの作業が非常に手間がかかります。
クーガ2200の2〜3台分の時間がかかります。
また目盛も印刷に一致できない仕組みになっていますので、直読性能は期待しないように。
この1010は周波数の目盛合わせが1個所しかできないバンドがある、この為校正点より遠い目盛の部分は狂う。
他のBCLラジオは上下2個所で合わせるのだが、このような方法は製造原価を下げるためでしょう。


さてここまでで普通はお仕舞なのですが、どうも音が悪いのです。
音痴の小生でも悪いと感じるので、これは困ります。
いろいろ調べると音声出力段の不具合でした。

さらにスピーカー端子と基板との半田つけも不具合がありました、パターン切れも。
これは製造ミスというより 前回修復した方が壊したと考えてよいでしょう。
この部分はジャンパー線で修復後ボンドで固定しました。


修復したのは左側の白い部分です。

これで終わりと思っていたら、ACアダプターが刺さりません、よく見たら中央のピンが片側によっているではありませんか、
いやはや これもプラグを挿して、後ろ側のピン抑えの部分をエポキシで固定しました。


右側の光沢のある部分がエポキシ接着剤。


JORFを受信しているところです。

文章でまとめると簡単なようですが、この修理には5日もかかりました。
これで終わりと思っても次々不具合が浮き上がってくるのですから、たまりません。
壊れたものは比較的簡単に修理できますが、壊したものの修理は非常に大変であることを実感しました。

クーガ101A (RF−1010)の修理


時々 電源の落ちる 周波数の狂いが大きい Sメーターが動かない故障です。



分解してみると 電源が落ちる原因はすぐ分かりました。ハンダ割れです。
電源ジャックを基板に組み込んだ部分で半田が割れています。
黒い矢印の部分です。



Sメーターが動かない件は 見つけるのが大変でした。

電源を入れるとメーターが動くので 断線では無い。
念のため メーターアンプのトランジスターを調べたが問題ない。

MW受信中 BFOをONにするとメーターが振り切れる。
FM受信中 BFOをONにするとメーターが正常に動く。

現任はどこからかDC電圧が漏れだして メーターの駆動回路に流入している感じです。
BFO ONでこの電圧が消えるのが メータが動く原因のようです。

調べたところ、部品の劣化が見つかりました、とんでもない部分の故障が波及していたのです。
部品交換で 修理完了です。見つけるのにほぼ1日かかってしまいました。
悪くなりそうな部品を順次試験してゆくのです、この時 電動半田吸取器が役立ちました。
どの部品が不良だったかは恥ずかしながら 秘密です。
BCLラジオの修理で このような現象は初めての経験です、えらく勉強になりました。

修理完了が 調整しようとしたのですが 短波の目盛合わせが出来ません。
この機種は 素人が弄り回すと 収拾がつかない結果になります。

最終的に 基本(局発の周波数をモニターしながら)からやり直して 調整しました。
ICF-5800の数倍の手間がかかります。


2011年10月1日

2014年3月17日:2,016

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