スカイセンサー 5450 (ICF-5450)の修理 

FMが受信できなくなった ソニー ICF−5450です。
モニターしてみると局発は正常に動作しています。
IF信号を入れてみると正常に動作します。
現象から2SC710が怪しいと思い AMは大丈夫なので IFはOK FM OSCもOK 
残りはMIXの2SC710なので これを交換することにした。
取り外してみると 予想通り 脚の付け根が汚れています。
この汚れているものは まず怪しいと思ったほうが良いのです。 

下記は修理後電池で動作試験をしているところです。



原因はFMのミクサーらしいと見当をつけました。
実装位置は下記画像の○印の部分です。
この部分は局発の水晶ソケットの下側になります、実装位置としては非常に嫌らしいです。

他に不具合が無いか調べたのですが 同じ2SC710は全部で5個使われていて そのうち2個は交換されているようです。
これは半田つけの跡を見れば判ります。
IF 回路の1個に古いものが残っているので これは交換しました。
ただFMの発振回路の2SC710は実装位置が悪く 簡単には交換できないので 今回は諦めました。



前面から見た 5450です。
なお中程 下段のケミコンは どうも前に整備した人が交換したようで 極端に大きいです。
相当原理を理解している方が整備したのでしょう。
ただ MWとSWのダイアル目盛は無茶苦茶と言っていいほど狂っていました。
この機種は下記に述べるように 目盛合わせすら 複雑怪奇で大変なので このようになったのかも。




この機種は 初めて修理しますが、これほど酷いとは想像もしませんでした。
まるで新入社員が設計したかの形相です。
トラッキング調整の前に目盛合わせをしますが、なんと目盛盤を取り外さないと調整できない仕掛けです。
それも徹底しています。
トラッキング調整を含め ダイアル機構 タイマーを外さないと調整できないのです。
目盛合わせなど 何回 目盛をつけたり外したりしたか 多バンドの5800の調整の数倍の手間がかかりました。
ICF−6000も酷いものでしたが これはそれ以上ですね、さすがはソニー。
常識的なメーカーではこんな馬鹿な設計はありえません。

矢印の先に調整先のコイルやトリマが有ります。



この機種の修理が 次にあれば対策(ダイアル目盛を外して 調整する方法)を考え無いと とても耐えられません。

MWのみ受信できない(2019年1月11日)

MWのみ受信できない、AFCのレバースイッチ破損しているという故障でした。
簡単に引き受けたのですが、手元に回路図しかありません、正直苦労しました。 画像は修理後のものです。


スイッチの交換

オリジナルのスイッチはありませんので、5800のスイッチを移植しました。
ソニーのラジオには多用されているアルプスのスイッチで レバーに「つまみ」が刺さった形です。
レバー部分が樹脂ですから 折れやすいのです。


不良品(?)交換部分 厳密な故障原因は判明しませんでしたが、この部品交換でMWの受信ができるようになりました。
ただ抜き取ったTRは測定してみるとHfeは正常なので、そこが理解できないところです。
ただ部品は半田こての熱で回復することもあるので、取り外し後の正常も割り引いて考える必要はあります。 
なお この機種は新人が設計したのではと思われるほど酷い造りになっている。
異様に大きなコンデンサーが折り曲げて組み込まれていたり、
調整箇所がダイアル機構の裏側に組み込まれているなど。
保守性を全く 無視した造りになっている。
ICF−6000が酷いが この5450はその上を行く。





全バンド雑音で受信できないICF−8450(2021年1月6日)




ネジを外しても本体がキャビネットから出てきません、 画像の部分でイヤホンポケットと本体が競り合っていて駄目なのです。
まずイヤホンポケットを取り除いて それから引き出します。
と言えば簡単ですが イヤホンポケットを取り除くのは意外と大変です、やってみるとわかります。
保守性を考えていない設計です。



このラジオはパターン図もありませんので 部品の位置決めはレイザーポインターで 部品面から照射して確かめます。
まず怪しい2SC−710 5個を交換したのですが まだ駄目です。



最終的にカスタムICも不具合になっていることがわかりました。



今回交換した部品です。
TRは良いのですが カスタムICは入手できません

ソニーの独自ICで075という型名です。
動作品を入手しないと駄目なので 5900を整備し ICが正常に動作することを確認して抜き出します。



IC 075の入手方法です、ICF−5900にも使われていますので 手持ちのICF−5900を犠牲にします。
さらに 5900が正常に動作することを確認し 抜き出すわけです。
これも意外と大変でした。
ICは画像の位置に実装されていました。


抜き出したICを5450に組み込みます、これで正常に動作するようになりました。
普通はTRの交換で何とかなるのですが 今回はIC不良も 併発していました。
ある意味 5900からICを抜き出して ICF−5450を生き返らせるのも変ではありますが・・・。

なお本体を抜き出すのに イヤホンポケットをまず取り外さないと いけないという 非常識なつくりになっていましたが、
このラジオの調整には泣かされます。

調整箇所について

ダイアルフイルムを外さないと SWとFMの受信周波数は合わせられない。
矢印の基準点らしきものがあるが 実際はフイルムと無関係。
外した後 元の位置に戻すのに苦労する。
なぜこのような非常識な仕組みにしたのか考えられない。



5800の数倍から10倍くらい手間がかかります。
調整に十数回以上 ダイアルのフイルムを組み込んだり外したりした。

新入社員が設計したのではと思えるほどの酷いつくりです。
ここまで酷い製品は 見たことがありません、製品を見かける数も少ないので あるいは 販売期間も短かったのではと思われます。
修理費を2倍いただいても 引き受けたくないラジオですね、反省。



2015年6月5日 2019年1月11日:1,582
2021年1月7日:2,616








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