ソニー スポーツ11 ICF−111の修理

無音のICF−111(2020年9月27日)

音も出ないし 同調表示のLEDも点灯しないというICF−111です。
いろいろ調べてみると バンド切替スイッチを何度も動かすと 微かに音が出るようになりました。
しかし LEDは点灯しません。
mpx端子でモニターすると受信音が正常に出ます。
ここでてっきり音声増幅IC(ソニーの 025)の不良か出力TRの不良を疑いました。
あちこち外さないと モニターできませんので 翌日 さらに分解してみました。
そうするとICの入力信号があまりに低いのです。

ここまで来ると mpx端子とIC入力の間の部品不良を疑わざるを得ません。
この間にはVRがあるのです。

最終的にVRの不良が判りました。





上記画像はVRを分解したところです。
内部を清掃し 接触部分を少しずらすなどして 組み立てましたが、音声は正常に出るのですが、
どうしてもガリが酷いのです。



このVRは逆D型という特殊な製品です、現時点入手は困難なので 分解修理を試みたのですが、
うまくいかず 別のラジオから 同じものを移植することとしました。



VRを交換すると 正常に 音が出るようになりました。
がりも出なくなりました、やれやれです。

次は受信表示

LED駆動基板に LEDを仮配線してみました、ここで正常に同調にあわせてLEDが点灯します。
制御基板までは大丈夫と判りました。



配線が断線しているらしいが どの部分で断線しているか調べる必要があります。
実は これが大変でしいた。
まち針をかみさんから借りてきて つかうなど なんだかんだと試行錯誤して 
下記の部分が断線していることを突き止めました。




ただこのリード線部分はしなやかで 細いことが必要で代用品を探すのに苦労しました。
LEDがダイアルのカーソル位置にあるので 同調するごとに配線が動くのです。
それと修理のため カーソルを外したので 元の位置に戻すのに一苦労しました。

実は調整して うまくゆか無いので やり直しなど・・。

この状態で調整しますが、この機種はICF−110などに比べ 原理的には同じなのですが、
構造上の問題と Sメーターが無い(その為LED表示がある)ので、
トラッキング調整など 微妙な調整はピークを見出すのが難しい。


組みたても ネジが多用されていて それに組み合わせが多用で これも手間がかかります。




完成後 NHK1(JOAK)を受信しているところ
なお FMでもLEDは正常に点灯します。

目盛り合わせだけでなく まじめにトラッキング調整までしないとLEDはうまく点灯しません。
意外と 微妙です。


 

その1(最初の修理)

電源がいらず、受信できなくなったスポーツ11の修理です。
この機種は10年以上前に修理したことは有りますが、詳細は忘れていました。
その為か 分解するのに一苦労です。


何とか中身を取り出せました。
現象からみてトランジスターの不良らしいとは判断したのですが、交換するのが一苦労でした。
シールドケースに覆われていたり、シャーシ(構造体)に覆われていて、簡単には部品が交換できないのです。
ICFー5900の修理に比べ2〜3倍の手間がかかります、嫌らしさは言葉に言い表わせません。
トランジスターを交換して、無事修理完了です。


今回は4個のTRを交換しました。
本当に不良だったのは1個ですが、同じ型番のものは交換した方が安全なのです。
同じような故障が近い将来起きやすいのです。
全数交換したかったのですが、さらに手間がかかるので、ここで妥協しました。


スピーカー を取り外して こちらから半田を外します。
5900は基板にトランジスターの取り付け図が印刷されていますが、
この機種は印刷がありませんので、取りはずす時によく確認しておくことが重要です。
保守性は極端に悪いです。
もっと 数多く修理すれば 簡単に修理できると思いますが、この機種は珍品なので・・。





音量調整用のVRはこわれているので 部品取り用から移植しました。
多少がりがあるのは常識の範囲ですが これはどうしても退治できませんでした。



VRを交換して 組み立てたところ。
ICFー110の構造と非常によく似ています。
スピーカーの上にはバンド切り替えスイッチのレバーが組み込まれたシャーシの残骸(丸く膨れた部分の穴がある)があります。
シャーシや基板もともに ICFー110を利用したことがよく判ります。
保守性は ICFー110より 更に悪くなっています。
TRの交換などは今回はやらなくてすみましたが やったら大変だったでしょう。




ダイアルの糸掛けも酷いことになっている。


ダイアル駆動機構の糸はハズレ プーリーも破損している。
電池の液漏れの影響があるようだが。


ケースに一体で組み込まれているツマミ部分の突起も破損している




   ICF−111  ICF−110(B)
正面     
背面  


FMが受信できないスポーツ11( ICF−111) (2015年2月20日)

SWとMWは正常でFMのみ受信できないとのこと この機種の修理は手間がかかるので、
お断りしたのですが 思い出のラジオということで修理することになりました。
動作させてみると FMの受信が確かにできません、ノイズは聞こえています。
IF信号を入れてみると大丈夫なので高周波部分のみです。
隣に 受信機を置いて受信してみると FMの局発が受信できません。
例の2SC710の不良のようです。
ただこの場所は非常にいやらしいのです、画像の丸印の部分です。。



正面から見たところです。
不良トランジスターはダイアル機構の裏側に有ります。



まず スピーカーを外します。
丸印の位置に該当のトランジスターが組み込まれています。
ちょうど 基板の裏側にシャーシがあるので 基板部分をバラバラに分解しないと修理できません。



基板を外すのは大変な作業になります。
ネジや一部の配線を外すだけでなく バリコンへの配線も外す必要があります。
苦労して 配線を外して基板を剥き出しのしたところです。
この状態にしないと目指す部品の交換が出来ません。
表現は単純ですが 壊さないように 元に戻せるように分解するのは至難の業です。
配線があちこち引っかかりますので 外すのですが 注意しないと組み立てる時どうして良いかわからなくなります。
最終的には分からなくなり 手持ちのICF-111と見比べて組み立てました。
結論的には 同じ機種を持っていない場合は分解するのは危険です。
なお製造ロットによって微妙な違いも有ります。
数をこなせば 次はもう少し楽に分解出来ると思いますが この機種は修理機会が少ないので・・・。



分解して トランジスターを交換後 別のバリコンを組み込んで動作試験をします。
無理に オリジナルのバリコンを使わないほうが良いでしょう。
バリコンにはダイアル機構が組み込まれているので 糸を切ったり 外したりすると悲劇的な結末になります。
ただ取り外したトランジスターは正常に動作しました、半田の熱で復元したのかも。





動作確認し 大丈夫だったら 元通り 組み立ててゆきます。
基板を外す時じゃまになって 外した配線も忘れず接続します。
なお 他のトランジスター(2SC710)も心配なので確認しましたが ほとんど交換されていました。
どうもこの該当部分のみ このようにバラバラにしないと交換できない位置だったので 前回の修理時交換しなかったのでしょう。



スピーカーを組み込んだところ(この画像は前と同じもの)



最終的に組み立てた ICF−111です。
NHK1(594KHz)を受信しています。



FMの受信




この機種の修理はお勧めしません、ICF-1100や ICF-5500の数倍の手間がかかります。
特に基板を外す修理だったら とにかく嫌らしいです。

2012年9月23日
2014年4月8日:1,201
2015年2月20日:1,716
2015年2月21日
2020年9月27日:4,679  無音のICF−111修理








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