ソニー ICF−1100(D)の修理体験記

ICF−1100と1100Dの違いはFM送信機能がついているかどうかです。


ICF−1100Dの修理(2020年4月4日)

最初 FMのフロントエンドのFETのみを交換したのですが、MW それもJOAKの受信時に
なんとなくシャリシャリという感じの雑音が入るのです。
この機種は 悪名高い2SC710が使われていますので IF部分の2SC710をさらに4個交換することにしました。
残りの原因としてはAFのアンプICの不良(発振を起こしやすい)が有るのですが、
今回は見送りました。







この機種独特の故障なのか電源スイッチががたがたになっています。
実は 同時に修理した同じ1100も同じ状況でした。



さらに 別のICF−1100はACアダプター部分のスイッチ金具が錆びて通電しませんでした。


もう1台のICF−1100

これは外観は非常に綺麗なのですが、保管が悪かったのか 中身が悲惨でした。
最終的に 修理は中断ということになりました。
スピーカーと本体を半田で保持しているのが 落下させたのか 浮いていました。
金属部分も錆が酷かったです。
通電不可だったものがかろうじて MWが受信できるようになっただけで 終わり。






ICF−1100Dの修理

Sメーターの振り切れと、偶にガリガリ音が出るというICF−1100Dの修理です。



実はこの機種自分も発売時に購入しました。
ただ拙い事に回路図が有りません。
パターンと部品を追いかけながら手探りで修理しました。
手持ちの同じ機種を分解し、比較しながら故障箇所を追いかけてゆく方法です。

分解して正面から見たところ。

パタ−ン面の追跡にはスピーカ−を外す必要があります。

IFのトランジスター4個を交換しました。
ただトランジスターの増幅率がオリジナルと異なりますので、
Sメーターの感度調整が必要になります。
ここが多少嫌らしいところです。


部品面の写真です。
この機種は分解は楽です、組み立て時音質調整のVRの組み込みに多少苦労しますが、
ソニーのラジオとしてはよくできた構造と思います。
11(イレブン)シリーズの最終バージョンですから、当然かもしれません。
この後はスカイセンサー5500に引き継がれます。

その2(2011年12月27日)

上記とほぼ同じ現象です。

原因はソニーのラジオによくある TRの不良です。
最終的に4本交換することで正常にもどりました。
ただこのラジオは残念ながら 回路図も配線のパターン図もありません。
手探りで 不具合部品を探して交換しました。
ただ修理後 よく見ると ICF-5400と作りがそっくりなのには驚きました。



ICF−1100Dの基板



下の画像はICF−5400のシャーシです、スピーカーを外してありますが、作りはそっくりです。
ただ送信のスイッチ基板の位置が異なるだけです。
回路は5400の場合 メーターアンプが別になっているのが大きな違いか。
回路図が無いので 厳密には比較していません。




ICF−1100Dの背面の画像





参考

画像はICF−5400です。
外観は別にして、基板はそっくりです。



参考2

ICF−1100のダイアル糸かけ


ラジオ工房掲示板に質問がありましたので 急遽撮影しました。
参考のため追加します(2012年4月20日)。



ICF−1100の修理(2012年10月18日)

父の遺品整理で発見したラジオの一つだそうです。
どうも修理した形跡があちこちに有ります。
音質調整のツマミが1個有りません、両端の金具も紛失しています。
ロッドアンテナの接続が何故か外部アンテナ端子に接続されています。
電池金具も修理の形跡がありました。

受信してみるとがりがり雑音が酷いです、TR不良の典型的現象です。
このラジオは回路図の手持ちが無かったのですうが、
幸いなことに島田さんのホームページ「ラジオデーターベース」に回路図やパターン図がありますので、便利です。

ICF−1100の基板



この機種はICF−110の改良型で 回路自体は良く似ていますが、実装は大幅に改良されています。
外観はともかく 保守性は素晴らしく良くなっています。
同じ故障でも 場所によっては工数が数倍違うことがあり得ます。
原因はパターン面が簡単に見える状態になることです。
また組み立ても容易です。
今回は悪名高い2SC710を6個交換することにしました。
実際の不具合TRは1個ですが、思い出のラジオということで、今後の故障をできるだけ低減したいと考えたからです。
もし これがICF-110だったらとてもこれだけの数は交換できません。



ただTR交換以外にあちこち修理の後遺症があり、配線の修正や半田つけを直して(イモ半田対策)、調整に入りました。
ところが目盛が良く合わないのです。
調べてみると、フイルムダイアルの始点が数mmずれているのです。
まさかと思ったのですが、この部分も分解していたようです。
元に戻すのが大変なので、細かな修正はしなかったのでしょう。
これだけで 目盛が良く合いませんので、修正しましたが、作業は結構大変でした。


トラッキング調整をして終了と思ったのですが、またトラブル発生。
FMの受信が受信機を触ると 途切れるのです。
また分解して確認すると、スピーカーと基板の半田つけしたリード線の先端が微かに触れていることが判りました。
この対策をして 再度組み込み修理完了です。

下記画像はJOAKを受信しているところです、残念ですが、キャビネット両端の飾り金具がありません。
我が家にあるはずなのですが、なかなか見つかりません。


ICF−1100Dの修理(2014年11月26日)

FMの受信がおかしいという1100Dの修理です。
確かに受信してみると 同調点で音が小さくなるなどの不審な点が有ります。
更にAFCスイッチをON OFFすると同調点が明らかに違うのです。
AFCスイッチをONにすると普通は同調が引き込まれるはずなのに 数十KHzずれる感じです。

FM検波と言うより AMの離調によるFMの復調(スロープ検波)で音声が聞こえていたのかもしれません。



デスクリミネーター(検波)トランスの調整不良と思い 調整したのですが、駄目です。
コアをいじるとある時点で検波出力が急に飛ぶ(例えば+から−へ)のです。
下記画像の矢印の下。



検波用IFTとトランジスターを交換し、これで正常に動作するようになりました。
ただ不良トランスは取り外す時壊れてしまったので、本当の原因は追求できませんでした。

これで組み込んで やれやれと思い 受信していると MWのSメーターの振れが嫌に弱いのです。
FM部分しか触っていませんので 怪しいと思い受信していると 今度はかすかに雑音(遠雷の感じ)が聞こえてきました。
これでトランジスターの不良を疑い 怪しい部分を1個取り外してみると 脚の周りが汚れています。
経験上 トランジスターの不良品の特徴と一致しますので、念のため2SC710を使っているIF回路を全数交換することにしました。
下記 画像の矢印の先。




ICFー1100Dのダイアル糸の外れ(2015年11月8日)

この機種のダイアル機構は繊細に作られているので 無理に回すと壊れます。
ダイアル糸が外れるだけでなく プラスチックの部品が破損するのです。
無理に回さないでください。


分解してみるとこんなj感じに外れています。
もう一度かけ直せば良さそうですが、一番 上の部品(白いボビン状のもの)が破損するのです。
手持ちの1100Dから移植して ダイアル糸をかけ直して修理しました。
正面から見たところです、ダイアルの糸掛けは右側になります。



調整して組み込んで終わりにしたのですが、実はこの後がありました。
アダプターで使うと10分から15分で おかしくなるという現象です。
下記表に 纏めてありますので 御覧ください。

この機種のトランジスターは悪名高い2SC710が使われていますので、故障には驚きませんが、
トラブルから 一定時間経過すると回復するという現象は 上記トランジスターの不良とは思われません。
熱膨張が原因でトラブルが発生したと考えるのが 素直です。
一番怪しいのが出力段のTRです。



 
今晩は、〇〇です。
ラジオが到着しました。
おかげさまで、下記の2点(◆)は解消できました。
ありがとうございました。
しかし、5〜10分程度聞いていると、突然「ボーーー」という音だけになってしまいます。
その後、10〜15程度電源を切って休ませ、再度電源を入れると聞けますが、
また、5〜10程度すると「ボーーー」という音だけになってしまいます。
この繰り返しです。
電源は、ACアダプターを使用しています。(以前は問題なく連続して聞けていました。)
申訳ありませんが、もう一度診ていただけないでないでしょうか。
◆周波数を調整するツマミが空回りし周波数の調整ができません。
◆ボリュウムを調整すると「ザザ」と雑音がします。 
  回路部分はいじっていないので 不思議に思ったのですが、返送いただきました。

アダプターが怪しいと思ったのですが、問い合わせると 純正品を使っているとのこと。

当方で 試運転して 確認したのですが、4日動作させても不審な動きがありません。
正常動作なので お手上げで 再度問題なしとして 返送しました。
   返送後 先方で 同じ条件で試験したら やはり 再現したとのこと。
ただ電池に切り替えると 問題なく動作するとのことでした。

どうも 純正品のアダプターが怪しいと思い 再度確認すると 
ソニーの4.5V 600mAのものであることが判明しました。

これはソニーとしては純正品ですが この機種の純正品ではありません。
多分消費電流の多い ラジオかカセット用のアダプターと思われます。
アダプターは 表示電圧が同じでもこの種 整流・平滑した(安定回路を含まない)アダプターは
軽負荷時の電圧が高くなるのです、経験上400mAタイプは1100Dに使うと5.5V位になります。
600mAのものは実測したことはありませんが、6V以上になると考えたほうが良いでしょう。
4.5V 定格の1100Dに6Vの電圧を加えると 1.33倍になり、
トランジスター回路に過大電流が流れ 時間の経過とともに トラブルのもとになるのです。
   経験上 2倍の電圧を加えると即 壊れます。
電気製品は10%増し 程度の電圧が限度と考えたほうが良いでしょう。

2005年12月11日

2006年6月26日
2011年12月27日:2,266 その2を追加。
2012年4月20日:2,526
2012年10月18日:2,921 ICF−1100の修理を追加。
2012年10月20日:3,115 写真を追加。
2014年11月26日:5,489
2015年11月8日:6,632
2020年4月4日:11,458 追記




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