偶然 菊水のSky Rider S−23を入手しました。
この受信機はラジオ雑誌で見たことはあるのですが、現物は初めてみました。
昭和29年12月号のラジオ雑誌に新製品として、紹介されています。
入手したS−23は30年1月製造でした。
あまりにも汚いので、写真も撮らずに清掃してしまいました。
6C6 6ZDH3A 6ZP1 12FKの0−V−2です。
水洗いした後のS−23.
最初ダイアルの文字も読めないくらいに汚れていた。
塗装も2トーンカラーだが、全面同じ色に見えた。
スピーカーを外したこの状態で水洗いした。
内部の配線の様子、半田つけを見るにメーカー製(完成品)では無く、
キットを組み立てた物。
S−23には完成品とキットが準備されていた。
配線は細い線を使い、半田つけも上手とは言えない。
使われていた真空管。
12Fを除いてメーカー名無し。
球のつくりはまあまあ。
真空管試験器 TV−10による試験
GM | 判定 | |
6C6 | 950マイクロモー | OK |
6ZDH3A | 750マイクロモー | OK |
6ZP1 | 2100マイクロモー | OK |
12FK | OK |
コイルとバリコンが一体で取り外せる仕掛けになっている。
MWからSWのコイル群。
MWのコイルを念のため測定したら、Q70程度だった。
決して高くは無い。
この2連バリコンは片側の羽根が抜かれている。
Bは中波帯に使用され、Aは短波帯に使われている。
Qメーターで測ったがQは高い(現在未計算)。
最小容量 | 最大容量 | 備考 | |
A | 25PF | 218PF | トリマつき |
B | 17PF | 300PF | トリマ無し |
ダイアルの目盛りの様子。
尤もらしく目盛ってあるが、調整しようとしたら、コイルしか調整できるところが無い。
トリマは共通に1個のみ。
これでどうして目盛り合わせしたのか調査中。
スタンバイSWやモニター用の配線は未了。
本来ならコイルの配線もやり直ししたほうが良いのだが。
交換した主な部品
@ブロック型電解
Aペーパーコンデンサーとチューブラ型電解
B500KΩVR。
CPL
真空管は全て使えた。
配線に単純な間違いもあったが修正した。
動作するようになったが、決して高性能ではない。
TR式BCLラジオに比べ、操作が難しいのに戸惑った。
でも半世紀前はこれが憧れのラジオだったのだから。
久しぶりに菊水 スカイライダー S−23の修理をしました。
依頼主のお父さんが愛用していたものだそうです。
スピーカーはなぜか取り外されています。
外部にスピーカーがつけられるように端子が出ています。
上のカバーを外したところです。
何故か、セロテープが接触面に貼られています。
絶縁でもするつもりだったのでしょうか??。
通電試験をせず送っていただいたのですが、
この写真を見て、ほっとしました。
左隅の電解コンデンサーの頭が膨らんでいます。
電解の下側の蓋が2〜3mmずれています。
もう少しで、破裂するところでした。
ラジオ修理メモ「ケミコンの爆発」をご覧ください。
これは非常に危険です。
破裂した方向では 大怪我します、充分ご注意ください。
500V耐圧の15+15μFです、普通この程度のB電圧ではこの様な高価なケミコンは使いません。
不思議に思ったのですが、取り外してみてわかりました。
取り付け穴がオリジナルと別の位置に開けられています。
送信機か、大型電蓄に使われていた中古品を再利用したもののようです。
修理前のシャーシ内部。
ケミコンはこの時点では外していません。
ダイアル糸は黄色です、大工用品の水糸らしく、どうも滑りやすいので、
ダイアルの糸も本物に架け替えました。
これで滑らなくなりました。
スピーカの無いラジオ修理も珍しいのですが、ちょうど良い物を探すのは意外と大変です。
左のスピーカーはどちらも取り付け穴にはぴったりのものです。
でもスピーカーの穴にちょうど合うものは左側でした。
右側を使いたかったのですが、寸法的にほんの少し小さかったです。
左 ICF−5500用
右 ICF−5800用
結果的にスカイセンサー5500を1台部品取りに利用することにしました。
修理後のシャーシ内部。
ブロック型の電解は手持ちの新品に交換した。
電気的修理は比較的簡単でしたが、ダイアル糸のかけ替え。
ダイアルの表示板の修理(接着)など意外に手間がかかりました。
なお電気回路はオリジナルに近いように修復しました。
修理完了後受信してみましたが、率直に言って音が比較的小さいです。
検波管
6C6への供給電圧が大分低いです。
デカップリング回路の30KΩをショートしてみました。
これで比較的音が大きくなるので、この30KΩをジャンパ線でショートすることにしました。
オリジナルに戻すにはこの部分を切断してください。
なお電解コンデンサーは22+22+22のブロックコンデンサーを使いましたので、
ジャンパー線で直結してもハムは大丈夫です。
スピーカーグリルは新しいですが、少し汚れればなじんでくるでしょう。
このラジオの不思議なところはコイルごとにトリマが無いことです。
バリコンは2セクションになっていて、MWのみ並列、SWは1セクションのみを使う。
トリマはバリコンの各セクションに1個ついている。
コイル自体はコア付です。
調整方法はマニュアルが無いので、自己流です。
よく使うと思われるCバンドをコイルとトリマで調整します。
B D Eについては周波数の低い部分で目盛りあわせ。
最後にMWの低いほうと、高い方をコアとトリマであわせて終了です。
(2006年5月4日写真更新)
受信は当然アンテナが必要です。
再生を多少強めに(VRを時計回りに)効かせて、受信する周波数にあわせ、ピーと言う音を確認した後、
再生VRを反時計回りにまわすことで受信できます。
発振させると妨害電波を出し、周りの人に迷惑をかけますので、再生を強くする時(ピー音)は短時間にしてください。
回路図はこちらにあります。
2001年9月10日
2004年8月11日
2004年10月17日回路図のリンク追加。
2005年5月18日 ケミコンの写真交換。
2006年5月4日 オリジナルのツマミが見つかったそうで、写真を送っていただいたので差し替えました。
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