hallicrafters S-119の修理体験記

全く無音状態でした。
分解してみると ケミコンの半田が片側外れています。
さらに出力管のカソード抵抗の断線、6CM8の劣化が判明しました。
6CM8の劣化は非常に酷かったです、これで音が出ていたのかと言う程の悪さでした。
この真空管は低周波増幅用3極管と出力5極管の複合管ですが、日本では使用例を知りません。
不具合が判り 急遽新品が見つかったので購入しました。



6BE6 6BA6 6CM8の3球スーパーです。
検波はダイオード、整流はセレンで行います、実質的には5球スーパーです。
ただ 短波受信機にしては腑に落ちない設計のラジオです。
回路図を見ると判りますが、目盛合わせが簡単には出来ないのです。
このような超簡易型の通信型ラジオをハリクラフター社が作るとは信じられません。

シャーシ 上面の画像。
非常に余裕があります、空かすかという感じですね。
短波のアンテナコイルは一体構造で 個別に調整できません。



ジャーシ内部の画像です。

OSCはシャーシの中央部分に3個並べてあります。
これは個別に調整できます。
ただし MWはバリコン付属のトリマで目盛合わせ トラッキング調整をします。
短波は この状態で1個のトリマで目盛合わせをする必要があります。
原理的に 非常に無理な(手抜き)設計です。
円筒形のブロック型ケミコンは不良になり、チューブラタイプのケミコンに変更されています。



エミゲンの酷い真空管と 断線したカソード抵抗。



短波のアンテナコイルです、2バンド分を1つのボビンに巻いてあります。
中に磁気コアが入れられているのですが、割れて調整できません。
まさか割れているとは思えなかったのですが、2〜5.5MHzの方の感度が悪く、
コアを回してみても 変化有りません。
ディップメーターで調べてみると周波数が2MHzであるべき処が2.5MHz付近で共振します。
LCメーターで測定し、3μH程度不足していることが判りました。
これはコアが割れたためで、調整も不可能なので、端子に別のモノコイルを直列に接続して利用することにしました。
モノコイルですから、コアを回せば微妙な値に調整できます。
これで2〜5.5MHzも感度が向上しました。





輸送中の振動にも耐えるようにホットボンドで固定しました。



なお この機種は本来115Vで使うように設計されています。
せめて B電圧を高めにするためにセレンの並列にダイオードを組み込みました。
これで多少 B電圧が5〜10Vくらい高くなります。

ハリクラフター S−119の回路図



2013年3月2日

下記書籍を参考にしてください。

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