シャープのレス用GT管を使ったスパーの修理を依頼されました。
銘板等が無いので、型名は不明です、当然回路図もありません。
修理後 偶然同じ写真を角田の卸商報で見つけました、PR−52A型と書かれています。
卸価格10,200円です。
日本の真空管はST管から直接mT管に移行したと言っても良いくらいに、急激にmT管に変わりました。
そのためメーカー製のラジオでGT管を使った物は非常に珍しいのです。
このラジオは恐らく昭和27年頃作られたものでしょう。
アメリカ製を思わせるシャーシとスピーカーが一体となった構造です。
球の構成は
@12SA7GT→OK
A12SK7GT→OK
B12SQ7GT→エミ減(新品の数分の1)
C35L6GT→GMはOKなるもHK間リークあり。
D35Z5GT→断線
幸いトランス類は断線していませんでした。
錆びが酷いので、PLランプのアース側配線はリードを半田つけするなどの工夫をしないと点灯しません。
内部の配線が見分けられないほど部品が詰まっている。
修理の為 追加されたケミコンが多い。
回路を確認できぬまま、
ケミコンとペーパーコンデンサーを全部取り外しました。
結果的にこれで苦労しました。
トランスレスラジオの初期のものはフローティング アース配線になっています。
とんでも無いところにアースが張ってあるので、戸惑います。
35L6GTの代わりに35C5を使った代用真空管。
写真
左 日本軍のRH−4
中 RH−4のベースと7ピンソケットでアダプター。
右 35L6GT
ペーパーコンデンサーとケミコンは全て交換しました。
抵抗も値が変化している物は交換しました。
ボリュームは完全なガリオーム状態で、新品に交換。
GTの真空管は仕舞い込んで行方不明です、
確認の為代用品も作りました。
結果的には35L6は何とか使えました。
残りは35Z5ですが、修理して使うことにしました。
35Z5はパイロットランプ点灯用のタップがついています。
この球の断線は幸いなことに、AとBの間が断線していました。
ベースの近くでAとBの間にジャンパー線を半田つけして修理完了。
一見乱暴ですが、結構これで使えます。
シャーシ内部で、2ピンと3ピンの間を数十Ωの抵抗で接続する方法もあります。
この場合、正規の球を入れた時の事を考えて、球の方に細工しました。
(自分で半田こてで修理できる人はこちらをお奨め)
エミ減の12SQ7GTが心配でしたが、よく動作します。
VRで絞るのが大変なくらいの音量です。
意外に感度が良いのにびっくりしました。
なおレス用の12V管を使ったスーパーなのにトランスが付いているのは、
当時の電力事情も影響していると思います。
現在では想像出来ませんが、電圧が80V以下に下がることも有ったようです。
レスだと電圧が下がった時に調整が出来ないからです。
85Vタップのついた電源トランスは戦後の厳しい電源事情の副産物です。
またプレートにかける電圧も高く出来るので、音量も大きく出来ます。
トランスは単巻きの簡単な物です。
2001年12月1日
2002年2月9日
2006年6月24日移転
修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。
ラジオ工房修理メモ