このラジオの配線状況(シャーシ内部)です。
配線の色分けも統一性が有りませんので 無茶苦茶なので とりあえず
真空管を挿さない状態で B回路にケミコンテスターで通電してみました。
回路図から見ると 漏洩電流はケミコンのみで、加える電圧も200V強なので、少ないはずです。
ところが 漏洩電流は10mAくらいあります。
これだと実使用だと350Vくらいになるので 物凄い電流が流れることが想像できます。
ケミコンは 未使用品に見えるので 配線が間違っている可能性があります。
(ケミコンは逆接続だと 漏洩電流が多い)
配線は色分けされていますが 赤い線がBかと思ったらアース回路に接続されているなど 統一性は有りません。
(上下に組み込まれているブロックケミコンを接続する赤い配線が アース線に相当 6.3Vのヒーターアース側に接続されている)
もしかしたらブロックケミコンの端子が間違っている可能性もあります。
(アース端子とB端子の区別が難しい 極性が違うと漏洩電流が多くなる)
元々電蓄用に作られたものらしい 42クラスの出力だったものを2A3に作り替えようとしたのかもしれない。
ちなみに2A3は中国製でした。
中国製の2A3が入手できるようになったのは比較的新しい(ここ20年くらい)。
おそらく 昭和30年頃電蓄として作られ 放置していたものを 本体部分だけ入手して 誰かが修理を試みたものと思われる。
メーカー製ラジオだと ケミコンとペーパーコンデンサーを交換すると 動作するようになる確率は高いが、
このような 初歩の設計者の思い込みが込められた自作電蓄は そもそも組み立て時 正常に動作していたとは 疑わしい。
現品を見ると丹念に コンデンサーの交換がしてあります、しかし小生から見ると無駄な努力です。
ここまでの修理で 目をむくような作業時間と費用も掛かったでしょう、お気の毒ですが、これも経験と思ってください。
設計の悪いラジオを部品交換で完動品にはなりません。
電源回路
非常識な回路になっています。
元々はスピーカーのフイルドコイルを平滑に使っていたのではと想像します。
1.5Kの抵抗に置き換え さらにに2A3のプレート電源にするとは非常識も甚だしい。
知識のない人の作業と思われる。
2A3のヒーター配線
何故か他の線と比べ 細い線が使われています、ここには2.5Aの電流が流れるので もっとも太い線が必要です。
後日 誰かが改造した可能性が有ります、それと次の出力トランスの違和感。
シャーシ上面に戻ると
バリコンも 戦後すぐか戦時中の作品で 何故か トリマ基板が バリコンの上に2重に乗っている、
コイルはアクリル製で見たことが無いような製品(少なくともトリオやスターでは無さそう)規格は不明
ダイアルも 昭和30年代 初めころの物らしい。
IFTはトリオ これら 時代を混載したものを組み合わせてラジオとして動作させるのは 意外と手間がかかるかも。
小生ほどの経験者でも難しい、ましてや測定器なしでは無謀。
出力トランスについて
1次側の引き出し線が3本あり この両端に出力が接続されている、42PP用のトランスを流用した可能性がある。
2A3の出力負荷から考えて 途中のタップを飛ばして接続するとは考えが難い、再利用時は確認した方が良いでしょう。
(PP用の出力トランスをシングルに流用は駄目)
この時代の 比較的大きな出力トランスは2A3 6V6 42に合うように作られたものが殆ど
2A3のタップは巻き始めの次のタップが殆どす。