真空管ラジオキットGRSー6の初心者向け改良提案

このキットで感じた事。
@設計(製作)者の熱意が伝わるキットです、ただ惜しむらくは欲張りすぎです。
気合が入り過ぎて、超ベテラン向きのキットが出来上がっています。
A構成をもう少し簡素にして、標準的な5(6)球スーパーにすべきでしょう。
完成後 音質調整の機能を追加するなどの拡張を希望に応じ したほうが無難です。
まず 動作させる事が大事です。
B説明書が不親切極まりないです(基本的には配線の方法しか書いていない)。
特に部品の組み立て方の記載が無いのは致命的です。
C出力管とケミコンが接近しすぎているのは危険です、爆発の恐れがあります。
う少し離して、出来たら熱遮蔽板を入れてください。
D実体配線図をみて大部分は組み立てられますが、配線図と対照しながら配線しないと間違います。
特に部品が違った形のものが使われていることがあり、原理を理解して組み立てた方が良いでしょう。
実体図だけを頼りに配線すると配線ミスをする可能性が高くなります。
素直な組み立て順と実体図の書き方の順序が多少違う事、リード線の起点と終点が明確に書いてないものが混在する為です。
(例えばスピーカーの配線、6AQ5のプレート配線。)
Eバーニアダイアルとバリコンの取り付け方法にもう少し工夫と、親切な説明が必要です。
F配線材の色と説明書の(配線)色は同じにしないと不便です。
この他360KΩの削除、6AQ5のプレート回路にRFバイパスコンデンサーの追加をして有ります。

今回の主な改良提案

@東京で電波の強いTBSなどを受信すると音が歪みます、6BA6のみにAVCをかけた弊害です、恐らく電波の弱い地域でキットの設計をしたためでしょう。
電波の強い地域でも気持ちよく受信できるよう、6BE6にもかけるように改造しました。
普通6BE6へAVCの加え方はコイル経由の直列給電と言う方法を取っています。
しかしこのキットはコイルの2次側がアースされていますの、普通の方法では改造がややこしいです。
並列給電を使うことにしました、6BE6のG3とコイルの間に250PFのコンデンサーを入れます、これで高周波信号はG3に加わります。
AVC電圧は直流ですから、1MΩの抵抗経由で供給します、これで6BE6と6BA6双方にAVC電圧が加わり、強い信号から弱い信号までスムーズに受信できるようになります。
この1MΩはコイルの負荷になりますからあまり低い値は具合が良くありません、500K〜1MΩ程度で利用ください。
さらにAVCのバイパスコンデンサーの容量も0.05μFに変更しました。
なおAVC電圧を加えると、6BE6と6BA6のスクリーングリッド電流が変化します、
この電流の変化は6BE6と6BA6で逆方向に変化するので、共通に供給した方が合理的(AVCが良く働く)なので、これも変更します。

A6BA6のカソードバイアスについて。
簡易型のスーパーではカソードバイアスをかけずに(Kをアースしただけ)使用することがあります。
この場合のグリッドバイアスはマイナスのAVC電圧を利用しています、ただ正常なAVC電圧がかからないと異常な状態になります。
このキットの場合、トラブルが多いので、改良は正規の方法でカソードバイアスをかけることにしました。
6BA6の規定のカソード抵抗は68Ωですが、これだと増幅率が高すぎて発振しやすいです、
300Ωにすると6BD6とほぼ同じgmに下がります、この方が発振しにくいので良いでしょう。
今回は手持ちの抵抗の関係で220Ωを選びました(100〜300Ωの範囲で実験してください、抵抗が低い方が利得は高い)。
カソードバイパスのコンデンサーを入れると更に利得は高くなります、
(カソードバイパスコンデンサーを入れても発振しない時は入れてください)これは実験で確認ください。
なおバイパスコンデンサーを入れない時は6BA6のG3は直接アースする事。
AVCと6BA6のカソードバイアスについてをご覧ください。


B検波+低周波部分の改良
これについては以下の記述をご覧ください。


このキットは初心者が組み立てる場合、あまりに難しいです。
キットは初心者でも、簡単に完成できる回路が望ましいと思います。
その為に 6BE6 6BA6 12AX7(6AV6と同じように、X7の3極管部を2極管接続にして検波、それと低周波増幅)、
電力増幅は6AQ5、6E2(マジックアイ)の構成にすることを推奨します。




回路図案

下記の検波 低周波回路の部分を変更してみました。
こうすると 初心者でも組み立てやすいと思われます。
なおIFTで633型は使わない方が無難です。


@ 最初の組み立てはこの回路図で。
A 完成したら、次の挑戦としてキットのオリジナル回路へ、(キットの部品は殆ど増加しないと思われる)。



上記の緑の枠内を下記の回路に置き換える。



目次


2006年6月25日
2006年7月21日追加修正
2006年10月6日
2023年12月6日

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