メーカー不明の4球ラジオです。
どうもラジオ屋さんが部品を集めて組み立てたのかもしれません。
メーカー製にしては 部品の選定が不自然だし トランスの電圧も高すぎて理解できません。
ソケットの固定もネジで固定してあります。
メーカーだったら鳩目などが使われているのですが・・。
部品的には昭和13年前後の製造と思われるのですが、このようなツマミが使われたのは昭和15年以降が多いので、
厳密のは時期不明です。
スピーカーを固定するベニヤもケースも薄いです、もしかしたらケースは16年ころのものかもしれません。
使われている真空管は58 57 47B 12Fです。
電源トランスのB電圧はACで330Vありました。
分解したところです。
内部の様子です。
ネズミの棲家になっていたのかもしれません。
相当酷い状態です。
昭和20年代末にも修理した形跡があります。
非常に珍しいコイルが使われています。
端子が判りませんので、分解して 調べてゆきます。
B 巻線のマイナス側にPLが組み込まれています。
昔アマチュア―がヒューズ代わりに良く入れたものです。
検波コイルは内部にハネカム巻の1次巻線がコイルと直角に組こまれています。
側面のトリマは感度向上のため 入れられたもので、普通のコイルの場合、
巻線で結合容量を作り 代用しているのでこのトリマは珍しいです。
自分としても初めて見た感じです。
様子の知れない部品が組み込まれているので 調べるのに時間がかかります。
部品を交換して 動作するようになったところです。
回路的には標準的な高1ラジオで修復しましたが、B電圧が異常に高いので、
整流回路に抵抗を直列に入れて対策しました。
前面から見たところ、ランプは点灯しますが ソケットが錆びているので、ショックで滅灯することがあります。
磨きましたが完全には回復しません。
ご希望なので 陶器製のダルマプラグを使うことにしました。
ところがコードを止めるネジが馬鹿になっていて止められないのです。
とりあえず 半田つけしましたが、結局新品のダルマプラグに交換しました。
この部分から火災になったら困るからです。
交換した部品の一部。
ところが どうも動作が不安定なのです、普通は大丈夫なのですが、シャーシに振動を与えるとおかしくなります。
古い部品を使っている為か あちこち接触不良が多いようです。
極力探して対策したのですが、コイルの端子の不具合には手古摺らされました。
2枚の金属板の間が接触不良なるのです。
このラジオは音が出るようになって これでOKと言うまでに1週間以上かかりました。
この時代の自作品ラジオの修理は難しいと言うより、不安定さが嫌らしい感じです。
2012年5月6日
ラジオ工房修理メモ