真空管ラジオの修理 ナショナル 4M−1 並四受信機の修理


久しぶりに並四を買ってきました。
外観が奇麗だったのでつい ふらふらとしてしまいました。
残念ながら裏蓋(板)が有りません。

分解したところです。
真空管はマツダの57 26B 12A 12Fが付いています。
試験してみると全て大丈夫でした、こう言うのは比較的珍しいです。
マグネチックスピーカーも無事でした。
製造時期は昭和14年頃ではと推定しています。
使われている真空管と内部の構造から想像し、資源節約の国策型受信機の初期のタイプと思われます。


シャーシ上に金属ケース入りの電解コンデンサーが取り付けられています。
これは調べたところオリジナルでは有りませんでした。


修理前のシャーシ内部。
電源用の平滑コンデンサーを交換した以外はほぼオリジナルの部品が残っていました。
ただペーパーコンデンサーは全て交換が必要です。



箱に貼付されていた回路図。
実際の回路と異なっていました。
これは平滑用コンデンサーを交換した時に変更したようです。
B電圧は意外に高く、整流管直後で250Vありました。





試験中の並四。
再生がスムーズに起きない、感度が悪い。
TBSだけが強力に受信でき、他が受信し難い。
バリコンのQが落ちている感じ。
バリコンを取り外し、シンプルグリーンで洗浄しました。
天日乾しにして取り付けましたが、Qは少し回復しました。
それからグリットリークのペーパーコンデンサーをマイカに変更しました。





修理完了時のシャーシ内部。
検波管57のプレート回路に10KΩの抵抗と200PFのバイパスを追加しました。
貼付の回路図ではRFCらしい記号が書かれていますが、実機には有りませんでした。
この代わりに10KΩをつけたわけです。

短いリード線では極端に感度が悪いので、AC回路とシャーシ間に0.01μFのコンデンサーを追加しました。
これで電灯線アンテナを利用した時充分な感度が得られます。
このコンデンサーは村田の安全規格認定品を使いました。

このラジオが売られていた当時は正規のアンテナとアースを接続する事が常識だったので、
電灯線アンテナ方式を使う時はこの様なコンデンサーの付加が効果有ります。
理由はトランスの巻線とシャーシ間の容量が小さいので、短いアンテナでは電波の通りが悪く、
感度が低かったのです。



後ろ側から見たところ。
ACコードもオリジナルのままですが、実用的に使うには交換したほうが無難かも知れません。


正面の写真。
製造後60年以上経過している割には奇麗です。
ツマミもオリジナルと思われます。
このラジオの動作状況(再生の調整時の音

画像は悪いです、音のみと思ってください。
下 左側のツマミは再生バリコンです。
これをまわすことで、再生を調整します。
中央ツマミは同調ツマミです。
再生が強くかかっている時は上手く受信できませんが、再生を弱くすると、上手く受信できるようになります。
またビートが出ている時に 同調ツマミを動かすと音色が変わるのが判ります。
受信電波と回路の発振周波数(再生が強くて発振した状態)の差の合成音が聞こえるわけです。

2005年4月17日
2005年4月20日
2005年8月16日移転
2006年6月24日移転
2009年4月11日:748 音を追加。
2012年12月26日:4,313
2013年12月28日:4,998

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

radiokobo-all