真空管ラジオの修理 サンヨー SS−148型 スーパー受信機の修理

サンヨーのマジックアイ付ST管スーパーの調整依頼がありました。
持ち主からの症状は
一応各局受信可能ですが、死んでいたマジックアイを交換してみたのですが、マジックアイが光るものの全く変化しません。
また、選局ダイアルの糸が切れてしまい、自分で修復を試みたのですが、材料も取り付け方法も分からず断念してしまいました。

早速 中を開けてみました。
VRが2本とも交換されています、ダイアルの糸は跡形もありません。
このまま通電するのは危険なので、まず不良箇所の確認です。
(持ち主が鳴ると言ってもいきなり通電するのは危険です)




中は綿ぼこりが酷いです。
抵抗が焼けています。
まず例の如く、電源のケミコンに50V 140V 250Vと加えてゆきます。
どうしてもケミコンの漏洩電流が3mA以下になりません。
また同時に42のG1の電圧を測って見ました。
入力抵抗10MΩのテスターで+35Vです。
これは0.01の結合コンデンサーの完全な絶縁不良です。

6ZDH3Aが動作していませんので、実際の動作時では+17Vくらいに相当します。
この状態で長く通電すると42や80BKが不良になります。
42のバイアスは普通15V前後で、計算上グリットがプラス電位になりそうですが、
自己バイアスの為電流が増えるとカソード電圧が増加する為、
どこかでバランスして、恐らく+にはなっていないでしょう。
しかしバイアスが浅くなり、過大電流が流れるのは間違いありません。
古いラジオは最低限、ケミコンとこのコンデンサーの確認は必要です。

@まず0.01μFの結合コンデンサーを交換。
A6WC5 6D6のG2のバイパスコンデンサー0.1μFを交換。
BAVC回路の0.1μFを交換。
C80BKのP F間の0.005μFを交換。
DVRと6ZDH3AのG1間の0.01μFを交換。
ここで通電
Eラジオが受信できることを確認して、ダイアルの糸かけ。
部品が残っていないし、糸かけ図の無いので、自己流でやるしかない。
不足のバネなども丁度良い寸法に作って利用。
何とか上手く動作するようになる。


ダイアルの糸かけ部分。
左のダンボール紙はスピーカーの保護用。
こうしておかないとコーン紙を破る恐れがある。


Fマジックアイの開かない原因は抵抗の断線。
これを取り替える。
JOAKを受信してもマジックアイが少ししか閉じない。
これは感度不足。
パイロットランプも断線している。


部品交換後のシャーシ内部。


中間周波増幅回路の調整をし、
さらに目盛りあわせ、トラッキング調整をしました。
JOAKを受信してもマジックアイが閉じるようになりました。
パイロットランプも新品と交換。
どうもこの前面に飾りがあったようです。
最後の回路図横のイラストをご覧ください。

ただ安定度がいまいちです。
接触不良か6WC5が少し怪しいです。


依頼主は大きな音で鳴るので、調整だけで大丈夫と思ったようですが、
意外と部品交換が多くなってしまいました。
ダイアルの飾り窓の一部が紛失しているようです。
ツマミもオリジナルではありません。
この種のラジオは修復に何処まで費用をかけるか悩むところです。
心残りがだいぶあります、今後の課題としては。
@ケミコンの交換 
Aペーパーコンデンサーの残り 交換
BVR (音量 音質) 2個の交換。音量調整用はSWをラジオとPUの切替につかっています。
 接触不良になると怪しげな動作をします。ガリも多少あります。
Cツマミを統一したい。

でも今回はこれで終了としました。




画像はradio12





2002年10月5日

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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