2004年10月16日
注)この回路図ではIF増幅が省略されています。
ただ真空管の名前は5極管で、回路図は6SQ7と思われる図となっています。
間違いがありそうなので、利用上ご注意ください。2006年8月22日
公江 義隆様より、下記情報をいただいています、有り難うございました。
菊水電波 S−38 の回路について
本ホームページに掲載されている回路は(電波技術誌「別冊」?の記事にそのような回路記述があったようですが)、
メーカー資料の回路図を雑誌の紙面用の原稿図面の書き換える作業段階で何らかの手違いがあってこのような回路になった懸念があります。
★問題点:この回路図をみて気になるのは
@:このようなIF増幅を持たない回路では、通信型受信機として、選択度と感度の点で実用性に問題があります。
何かの実験目的なら別として、商品としては先ず考えられない回路だと思います。
A:検波・増幅管の名前が6SG7/6SD7となっていますが、回路図との関係では、ここは6SQ7のはずです。(6SG7/6SD7は、本当はその前段に書かれていたはずのIF回路の真空管の名前である可能性があります)。
★ 推定したメーカー・オリジナルの構成
当時のラジオ雑誌の広告と、同じくサービスセンタの通信販売カタログにあった部品表からの推察結果では、以下が標準回路・構成だった可能性が高いと考えられます。
@ 本来回路は、RF1,IF1、BFO、ANL付きのGT管7球スーパー。
A RFは6SK7(または6SD7,6SG7、但し高価であった)、MIX:6SA7、IF:6SG7(または6SD7,入手困難なら6SK7、但し感度は下がる。使用のIFT(型番121)は中間タップ接続になっており高gm管の使用が想定されている)、DET/AF:6SQ7、AF::6V6、BFO/ANL:6SL7,REC:5Y3。
★ 推定したメーカ・オリジナルの回路
このラジオ工房ホームページ記載のS-38の回路に、以下の仕様でIF回路を挿入しますと、当時のラジオ雑誌の広告内容、カタログの部品表と内容がピッタリ一致します。
@
IFの真空管は高gmの6SG7とします(IFTがタップダウンしているので、ゲインを稼ぐ為)。
但し、Rk=200オーム(1/4W)、Rsg=40Kオーム(1/2W
A プレート回路には、1Kオームと0.1μFのでカップリング回路でB電源からIFTを通じて供給します。
Bその他のマイナーな修正点:
・検波・AF回路の真空管は6SQ7に書き代えます。
・AVC回路のC(0.05μF)が抜けていますので、Rの1Mオームの左端とアース間に付け加えます(多分作図時の単純な見落とし)。
・IF増幅回路へのAVCもここから、IFTのアース側に接続。上記のCはこの回路のアースへの高周波バイパスにもなります。
・BFO回路:6SL7のRg=50Kオーム(1/4W)、数値の記載漏れ。
・同じく、グリッドとBFOコイルの間に100PFが記載漏れです。
・ピッチコントロールのVCは20PFです。
・なお、ヘッドフォン(レシーバー)ように切りかえSWがついているとの記述が、{無線と実験}誌の広告の中にありましたから、これと回路図とは合っています。
・アンテナ回路に、珍しくIFトラップが入っていますが、これも回路図と部品の内容は一致します。
★ 尚、気になる点:
・スタンバイ・スイッチの無いのが大変気になります(入れるなら、B電源と6SA7への電源供給の間?)。表面の写真でスナップSWの数と、部品表のSWの数を確認したらよかったのですが、忘れて帰ってきてしまいました。
・この機械はスピーカー内臓ではないと思いますが、スピーカーの2次回路に切替SWが入っていますが、実際にはどうしていたのかは分かりません。当時のこの種の機械では、シャーシ背面にUX~UZソケットをつけ、個々にスピーカープラグを差込む用にした場合が多かったと思います。ここでスピーカープラグを引き抜くと、本体の電源が切れるか、出力管のプレートと同時にスクリーングリッドへの電源も絶たつことで、スクリーンGが焼けるのを防いでいました。これもUX〜UZのソケットが部品表にあるか否かを確かめておくべきでしたが・・・
★当時の情況:おぼろげなる記憶と、雑誌の広告などの調査結果
・菊水電波は、当時、この製品は完成品ではなく、筐体、ダイアル、RF1段用の4バンドのコイルと切替SWを一体化したコイルパック、3連バリコン、一段増幅用のIFT(Model-121)、BFOコイルなどをセットにした形で販売していました(当時の多くの広告、その他例えば、S27年12月号「無線と実験」誌掲載の科学教材社のカタログ)。
・また、購買者は、付属の回路図を見ながら、真空管、トランス、コンデンサー、抵抗器、その他の小物部品を買い揃え、自分で組み立てるのが普通でした。
・「ラジオ技術」誌の昭和28年2月号の、サービスステーションのカタログに、価格とともに、その内訳としてCR、小物を含む全部品リストが記載されていました。
・なお、菊水電波では、通信型受信機のキットとして、このS-38(スカイベビー)のほか、S-42(スカイクイーン)、S-53(スカイシスター)。S-23(スカイライダー)を発売していました。
★回路図が違っていた(として)原因の推定
電波技術(別冊)の回路は、多分、印刷原稿用に作図した人が、アルバイトか何かで回路に詳しくない人であったため、途中で混乱してIF回路をとばしてしまった可能性が考えられます。
菊水S-38の回路の件、その後も気にしていましたが、その後も回路図そのものは見つかりませんでしたが、以下の方法で、こういうことであろうとという9割がたの確信に至りましたので、ご連絡差し上げます。
・ラジオ技術の28年2月の、サービスステーションのカタログに(この号だけ?たまたま、S-38 の部品リストもあで記載されていました。27年12月の無線と実験に記載の
科学教材社のカタログにS-53,S-42に並んでS-38が出ていました(キッと内容には、3連バリコン、コイルキット、IFT(型番201となっていました;これは一段用、中間タップ入出力のIFTです―ー私のC-33Dもこれを使っています)。また、このころの梶井謙一さん(当時の菊水の技術部長?)の記事を見てみました。
・結論として、電波技術(別冊)の回路は、多分印刷原稿用に作図する時、やった人がアルバイトか何かで、途中で混乱してIF回路をとばしてしまったのだと考えられます。抜けているIF回路を以下の定数の回路とすると、上記の部品表とぴったり一致します。
@:IFの真空管は6SG7とします(IFTがタップダウンしているので、ゲインを稼ぐ為)。Rk=200オーム(1/4W)、
Rsg=40Kオーム(1/2W)
Aなお、もとの回路で、AVC回路のC(0.05μF)が抜けています(多分作図時の単純な見落とし)。
BBFO回路:6SL7のRg=50Kオーム(1/4W)、数値の記載漏れ。 グリッドとBFOコイルの間に100PF。
ピッチコントロールのVCは20PF
以上で、つじつまが合うことになります。
スタンバイ・スイッチの無いのが大変気になります。(入れるなら、B電源と6SA7への電源供給の間?)
なお、ヘッドフォン(レシーバー)ように切りかえSWがついているとの記述がありましたから、これと回路図とは合っています。表面の写真でスナップSWの数の再確認を忘れて帰ってきてしまいました。
管理人の注 ラジオ技術 昭和28年2月号 サービスステーションの広告 |
津田さん提供のカタログ (津田さんのホームページ)
宮川さんのホームページラジオ鑑定団に回路図と解説を追加しました(2006年12月28日)。
214:2006年12月23日
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