トリオ 9R−42J RF1 IF2 通信型受信機

整備済みのものを購入して2年ほど使用していたそうです。
突然 感度が極端に悪くなったとのこと。
かろうじてNHKが受信できる程度でSメーターも殆ど振れません。
これは正しく異常です。

整流管のフィラメントでB電圧を測定すると、200Vある筈のところが、180Vくらいしかありません。
更に2KΩを出たところのB電圧は80Vくらいに落ちています。
5Y3が悪いのかと、TV−10で測定すると問題有りません。
ケミコンは新品に交換されているので、問題は無さそうなのですが・・。
ケミコンテスターでリークの測定をしました、150Vで15mAくらい流れます。
Sメーターの回路があるので、ある程度のリークはあるのですが、それにしては多すぎます。
スタンバイスイッチをオン オフさせると、リークが異常に変わります。
10回ほど繰り返しているうちに、正常になりました。
構造上 このスイッチでリークしていたとは考えられません。
どうもバイパス・コンデンサーの不良(ショートに近い不良)だった可能性が高いです。
回復したので、これ以上の追求は出来ませんでした。
考えられる2個(怪しいと思われるもの)のコンデンサーを交換しました。
念のため バイパスコンデンサーをショートしてみると、故障時と同じ現象になるので、ほぼ間違いは無いでしょう。




以上で正常に動作するようになったのですが、どうもまだ何か変です。
調べてゆくと6AR5のプレート電圧が120Vくらいしかありません。
9R−4Jの回路(基本的には9R−42Jもバリコンを除いて同じ)を見ると出力トランスは、5Y3のフィラメントから引き出されているのに対し、
現物は平滑抵抗経由の結線になっていました。
更に2KΩの抵抗は1.5KΩの変更になっています。

何故このように変更したのかは不明です。



電源の平滑回路をシャーシの左側にラグ端子を組み込んで、
1.5KΩ+470Ωで2KΩを作り組み込みました。

出力回路はオリジナル回路図どおりに変更しておきました。
更に出力管のカソード電圧を測定すると、何となく低いです。
グリッド電圧を測定すると、なんとマイナス電圧が観測されます。
調べてゆくと、グリッドリークの半田付け不良判明しました。

いわゆる芋半田だった可能性が高い。
半田を付け直して修正。

Sメーター 

逆ブレが激しいです、断線することは無いとは思いますが、
念のためダイオードで保護回路を追加しておきました。



写真は背面から見た 9R−42Jです。



真空管はRF用の6BD6と検波増幅用の6AV6がエミ減でした。
各部分の電圧を測定してみると、ローカル局を受信時 高周波増幅のG2電圧が130V位になります。
真空管の規格は100Vなので、無理が加わることになります。
もともとの設計(基本回路)に無理がありそうです。

オリジナルの回路です。
6BD6のG2は+Bから直接給電されている。
改造後の6BD6 G2付近。
7.5KΩの抵抗と0.1μFのコンデンサーを追加。
100V以下にはなりませんが、
多少安全性は高まることでしょう。

このラジオ全体でいえる事は B電圧が元々200Vですから、平滑抵抗を1KΩ程度に変更し(Cは増加要)、
高周波段のプレートには160Vを、G2には80Vくらいをかけるようにしたほうが無難だったのではと思います。
全体的にG2の電圧が100Vを超えるのは、いただけない設計と思われます。






感想
9R42Jの修理は初めてです。
昔9R4を組み立てた経験からすると、B電圧が大幅に低くしてあります。
特に6BD6や6BE6のプレート電圧の低さに目を疑いました、ここまで 下げなくても良さそうに思うのですが・・。
受信はさすがに安定しています。
これは9R4に比べ、よいところかも知れません。

整流管が直熱なので、電源投入直後 Sメーターが振り切れます。
5V4Gなどの傍熱型にすると、改善できます。
中波など強力な放送は感度を絞る必要があります。
アンテナ端子はダブレット用ですから、2端子になっています。
ロングワイヤーを使うときには片側をアースする必要があります。


2009年5月6日

2013年4月20日:6,161 9R−42Jの修理その2を追加




ラジオ工房修理メモ

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