ナショナル ワールドボーイ GX  RF−858Dの修理体験記

このラジオはRF−858と858Dの2種類あります。
メーカー発表の規格では858Dの方が僅かに高感度とされています。
しかし 外観が多少異なるだけでほとんど同じです。



同調がうまくできないという故障です。
分解してみると、ダイアル機構のプーリーの破損でした。
白い丸印の部分が破損しています。
このような故障の場合 移植して修理します。




 RF-858Dの修理(2013年2月25日)

自分でコンデンサーを交換したという ワールド ボーイです。
交換はうまくいったのですが、FMのみしか受信できなくなったということで、修理依頼がありました。 

自然と壊れたラジオの修理はできるのですが、壊したラジオの修理は大変なので、お断りしたのですが・・。
どうしてもということで 挑戦してみました。
結果的には修理できたのですが、通常の修理の数倍の時間がかかりました。

通電してみると 確かにFMは正常に受信します。
調べてみると局発が動作していない様子です。
外部から信号を入れてやると正常に受信します。

分解した 内部の様子です。
コンデンサーは見事に交換されています、半田つけも上手です。
ただアナログのBCLラジオのコンデンサーを交換するのはやめた方が良いです。
百害あって八利くらいしかありません。
コンデンサーの不良が多いのは昭和30年頃から40年代初めころまで その後1990年以降の製品に限られています。
BCLラジオがもてはやされた時代のラジオのケミコンは確かに 不良は有りますが、全数取り替え程の酷さではありません。
部品を交換すると どうしてもミスしがちなので 無意味に交換するのはやめた方が良いのです。

分解した内部の様子、見事にケミコンが交換されています。



この機種のOSCはIC を使った回路が使われていて、2200と良くにた感じの回路です。
ICは白線で囲った部分に実装されています。
TR発振だと TRそのものを交換すれば済むのですが ICとなると悩ましいです。
IC不良かどうか 一部の端子の半田を外して 種々調査をしてみましたが、
どうも問題はなさそうなので 別の原因も調査することにしました。

簡単に書きましたが、ICの良否の判定に2日ほどかかってしまいました。
結構 悩ましかったです。




ICが良品だと後 問題は何かです、ケミコンを交換しているのでパターンのショートも考えられます。
いろいろ考えた末 回路図を詳細に検討すると、短波と中波のコイルをスイッチで切り替えているのですが、
その部分に不具合がありそうだと推定し、調査しました。
結果スイッチの不良と判明しました。
場所は 下記画像の白くかこった部分です。




不良だったスイッチ。
6回路2接点のスイッチですが、そのうち2回路分が全く不動に成っていました。
普通はどちらかが接触不良になることが多いのですが、今回は2回路とも導通が全くありませんでした。
その為 MW SWともに受信できなかったようです。



手持ちの 同じラジオより移植して修理。

JOAKを受信しているところ。

RF−858の画像は下記

858と858Dの内部は多少異なりますが、回路的にはほぼ同じです。
858Dにはクリスターが付けられるジャックが有ります。

RF−858の修理(2013年6月5日)

電源が入らないという858の修理です。
調べてゆくと 電源スイッチそのものの不良でした。



この機種は狭い中にコンパクトに組み込まれています。
保守性もなかなか素晴らしいです。
分解は下記の画像のように行います。



電源スイッチ部分の拡大画像です。
不思議なことにスイッチの接点バネが緑青が吹いたように腐食しているのです。
ここまで酷いものは初めて見ました。
電池の液漏れの形跡もないのに この部分で腐食とは原因が判りません。
ただ 他の部分でも汚れが酷いので、あるいは保管場所が極端に悪かったのかもしれません。



このスイッチは4連になっています。
ここまで腐食していると磨いても元通りにはなりませんので、移植することにしました。
画像は 抜き出したスイッチを重ねて撮影したものです。
リード線が12本出ていますので、間違いのないように配線してゆきます。



復元したところです。
参考のため 不良スイッチも並べて撮影。
取りはずしてみると 酷い部分は電源部分のみでした、分解していないので厳密には不明ですが。



キャビネットに組み込んだところです。
保管が悪かったのか全体的に接触不良があるようです。









































































RF−858の修理(2014年8月3日)

長年放置されていた RFー858の修理です。
気軽に引き受けたのは良いのですが、分解してみると腐った電池が出てきました。
電池金具の錆は良いとして 液漏れの悪影響が心配です。
何しろ 裏蓋の銘板が外れているほどのダメージです。



まずMWは受信できる様になったのですが、非常に不安定です。
受信していると突然受信しなくなるのです、叩くと一時的に回復しますが、また不具合が起きます。
局発の不安定と思ったのですが、あまりの不安定さでダイアルを動かしても追従出来ません。

ここで隣に2001Dを置いてモニターして見ることにしました。
そうするとJOKRで20〜30KHz JOAKで10KHzくらい動きます。
ということは同じ容量が変化しているらしいと思い、局発のトリマが接触不良を起こしてと推定しました。
パターン面を詳細に見ましたが 半田の不具合は見つかりません。
しかたがないので 該当部分の半田を再度付け直して見ました。
結果OKで 原因は不明ですが 現象が出なくなりました。



次にSWですが、これがまた問題でバンド切り替えスイッチの不良と思われる現象がおきました。
バリコン スイッチを軽く叩くと雑音が出るのです。
バンド切り替えスイッチの不具合もいろいろ試行しなんとか落ち着きましたが、
SWの局発のトリマはどうしても対策できず、外付けで対応することにしました。
上の画像のバリコンの右横の白い丸の部分です。
部分的に拡大すると下図のようになります。


トリマをバリコンのアースベロに半田付けしたところ。
オリジナルは画面中央下の端子(X印)にリード線が接続されていた。



調整して 終了です。

受信中に 聞こえなくなるRFー858(2015年2月17日)

動作のおかしなRFー858です。
最初はNHK(594KHz)を受信して大丈夫でした、ところが文化放送を受信すると受信が途切れるのです。
短波の放送ではそのような現象がおきませんでした。
この手の障害はバリコンかトリマの不良で起きますので、順次試験してみました。

バリコンの代わりに 固定容量を接続しても変化なし、更にトリマを外してみました、これでも変化なし。
更にMWのOSCコイルを交換しても変化無いです。
変化ないどころか 段々 状況が悪くなります。
最初 MWのみ異常を感じたのがSWまでおかしくなりました。

今回確認した部分は下記画像のVC OSC TC の部分です。



この機種は 細かな配線で部品の交換は大変です。
下記 画像はダイアル機構を取り外したところです。



交換した部品



結論的に 切り替えスイッチ部分が悪いのかも知れません。
この機種は2個のスイッチを使ってバンド切り替えをする仕掛けで 両方共交換するのは大変です。
数日 原因を追求しましたが 切り分けられず 諦めて 手持ちの基板に入れ替えて修理しました。
ランプも断線していたので 電球色LEDに交換しました。

画像 前面の基板は今回交換した基板です。




2012年11月15日
2013年2月25日:279
2013年6月5日:868 RF−858の修理を追加。
2014年8月3日:2,527 
2015年2月17日:4,114








radiokobo-all