この機種の修理にはサービスマニュアルと測定器(周波数が正確に読める信号発生器)が必須です。
10(5)KHzを読むサブダイアルは裏蓋を開けただけで、狂うことがあります。
修理そのものは馴れると5800より簡単です。
最後の校正でダイアル目盛りで周波数を正確に読めるよう魂を入れる作業がもっとも楽しい処です。
逆にこの部分を省略すると、単なる大きなラジオになってしまいます。
依頼主から
「ICF-5900の修理をお願いいたのですが...
ヤフオクにて購入した物で最初にAC電源でスイッチを入れましたが通電せず、電池では電源が入りなした。
電源を入れて受信してみましたが、FMは音が出ました放送の受信は弱かったと思います。
AMほ音が小さく受信確認しませんでした、SW1〜SW3は音も出ませんでした。
そして、少し汚かったので清掃のためボディー裏面を簡単に清掃後、表面も清掃しようと興味本位で配線を外し、
基板とボディー表と裏にしてしまいました。
清掃を終えやっとの思いで元の戻しましたが、
今度は電源ON(乾電池)でPOP音がして導通はしているようですが全バンド音がしなくなってしまいました。
素人が余計なことをしてしまいました。。。」
簡単に引き受けたのは良いのですが、分解してみるとこんな具合でした。
シールド板を外した形跡が有るし 様子が 変なのです。
通電しても全く受信しません、ただあちこち触るとスピーカーから雑音が出るのです。
それと ランプが常時点灯するのです、ランプボタンを押すと ランプは更に明るさを増します。
ランプは単なる機械接点経由なので 原理的に有り得ません。
色々経過があり 詳細はラジオ工房掲示板で報告したごとくでした。
掃除の為 分解したとは 理解していたのですが 詳細に聞いてみると シールド板の他、
黒い筐体部分と本体基板を分割したそうです。
掃除の為ここまで分解するとは想像外で驚愕しました。
実は 自分も 何度もやったことは有りますが ダイアル機構と接続の為 ダブルギヤが組み込まれていて
復元するのは大変なのです。
これを 1台目で 自力でやってのけたのには また驚愕です、想像外。
以前自分が分解した時の画像は下記です。
右上に バリコンと ダブルギヤ機構の一部が見えます。
掃除で ここまで分解するとは想像もしませんでした。
このラジオ 掃除の甲斐あってか 非常に奇麗なのです このままだとそれがゴミになってしまいます。
最悪 基板部分の入れ替えをやってもと言う覚悟で修理を続行するこちにしました。
まず 最初はランプの常時点灯退治です。
ランプの回路はVR基板 メイン基板経由で配線されています、仕組みは単純ですが
実際の配線を追いかけて行くのは 大変です。
この状態で 配線上は問題ないことが判ったのですが ランプ(赤い線)配線とメイン基板の接続点付近の半田付けが怪しいと見えました。
どうも 分解時 最半田付けした時の半田くずが 隣のランドと接触させていたようです。
半田を付けなおして ランドまわりを奇麗にしたら 点灯がやみました。
下記画像にこのランド付近を示します。
ただこの付近は音声回路の前段増幅器部分です、この付近の半田もオリジナルでは無さそうです。
変更されている可能性は大いにありますが 取り外さないと判らないのでそのままです。
(後刻 女エイに異常は感じ無いので これでよしとした)
この状態で ラジオは無反応でした、各部分の電圧を当たると 雑音がスピーカーから出るので 音声は正常らしい。
何しろ ギヤ部分まで 分解したラジオです。
あちこち注意しながら 調査します。
各部分の電圧を測定すると Q9 Q27のコレクターに電圧が出ません。
ラジオでIF部分が通電できないと ラジオとしては全く動作しません、原因はこれだと電源回路を追跡します。
追跡の結果 下記回路の電源母線に相当する部分が 半田のはみ出しでアースにショートしていることが判明しました。
多分 掃除の為分解 組み立てをするうちに 無意識のうちに半田が隣のランドにはみ出したのでしょう。
通電出来ればしめたものです、5900の修理で常時行っている TRの交換を行いました。
この状態で 試験すると ほぼ正常に受信します。
ただ未調整ですから 感度は猛烈に悪いです。
全て 調整をやり直しました 当然 経年変化による 調整値も考慮します。
これで感度も 読取り精度の画期的に改善しました。
なおバックラッシュは 問題なさそうな感じですが 微妙です。
本来なら 再分解して 2枚ギヤの組み合わせも再確認すべきでしょうが これは止めました。
結果によっては 無駄な費用をかける事になるからです。
清掃の為とはいえ シャーシと基板を分解するのは絶対止めてください、この部分に関しては保証できません。
6055KHzのラジオ日経を受信しているところ。
短波は 周波数の極く低い部分を除き カーソル線が 目盛り線とほぼ重なる位置に調整してあります。
(4 12 20MHz付近を除き、 250KHzごとの目盛り線が 明確に読み取れるように)
修理後の感想
分解した時 違和感を覚え 清掃で内部まで分解したと聞いた時は驚愕しました。
自分も 当然 この部分 分解したことは何度も有りますが せいぜい20〜40台に一回程度です。
それを最初の1台目で 見事原型に近く復元するとは 想像外でした。
自分から見ると名人級の修復人ですね、本当に驚愕。
外観は奇麗だしゴミにするのも勿体ないので修理を継続しました。
本来ここまで分解されると 基に戻すのは大変です、時にマーカーの不具合が有ると 費用が増加します。
(5900は500KHz 2200は4MHzの発振子 4MHzは大量に手持ちるが 500KHzは無い)
最悪 基板の入れ替えを覚悟して 続けたわけです。
どうも依頼主はメカに詳しいが電気製品の修理は詳しくないらしい、これがある意味 幸いしました。
電気の知識が有り ここまで分解するとCRCのようなものをバリコンにかけるケースが多いのです。
バリコンの容量変化をまず確認し 大丈夫なことも確認しました。
これをやっておかないと 調整時 不合格になり 再度分解バリコンの交換になります。
また調整となるのです、こうなると 目も当てられません。
同様に この部分も触られていませんでした。
ただ半田付けの 不味さからか 再組立て時に パターン面の 電源部配線と アースラインが半田付けの不始末からショートしていました。
(IF回路に電源が供給されない原因)
これは回路を 追いかけてゆき やっと見つけたので 本人は無意識でやっていますので 見つけるのは無理だったでしょう。
それと基板とシャーシを分解する時 戻すときの半田付けが間違っていたりしました。
細かい間違いが 沢山ありましたが ここまで外形を戻せたのは 小生から見ると 神業に見えます。
住所が近ければ 手伝ってもらいたいくらい。
追記(2023年8月21日)
ACアダプターが問題になっていたので 確認すると どうも最初のTESTは下記のアダプターを使ったらしい。
これは全く問題外です、使えません。
4.5Vでプラグの形状は 同じですが 極性が逆です、それとスイッチング方式は駄目です。
駄目が 2つ重なっています。
下記画像はアマゾンの販売ページのコピー
このラジオに合致するアダプターはAC−110です。
同じソニーの4.5V表示の純正品でも電流の多いものは駄目です。
比較的多く目にするAC−E455Dでも 5900に使うと実電圧は6Vになります。
(実電流を流した時に表示の電圧に近い値になるように作られている)
詳細は下記に修理例が有りますので 参考にしてください。
http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/bclradio-repair/ac-110.html
外観は奇麗なのですが 目盛りの狂いが酷い 接触不良も酷いと言う5900が修理にやってきました。
依頼者の 申し入れ事項は
*メーターの不動
*X-TAL MARKERスイッチの不良
* OFFにしても元の周波数に戻らないことが多い。
何度も入り切りすると戻ることがある。
スイッチの接触によってはスプレッドダイヤルがまともに動作しない。
*周波数表示のズレ
実はこのラジオ電池を入れたまま送られてきました、受信することは確認後 電池を抜き修理をはじめました。
通例のごとく 良く壊れるTRを4本無条件に交換 Sメーターの引っかかりを修理して受信をしてみました。
普通なら ここで正常に動作するのですが なんとなく怪しいのです。
スイッチの接職不良対策をしてみたのですが なかなか回復しません。
なんとか実用的には使えるレベルに回復したのですが、
外観が奇麗なのに 何故だと 不思議と思いました。
悩み疲れて 翌日電池金具を診たら 錆だらけなのに気が付きました。
普通はまずここを確認するのですが 今回は電池で動作したので つい見落としていました。
電池金具の酷い錆具合を見ると 接触不良の原因が理解できました。
ここまで錆びると 液漏れで 悪影響が起きるのです。
気持ちの中のもやもやが 晴れました。
原因が判明して すっきりしたところで 組立てようとしたところ、なんとネジが1本長いでは有りませんか。
このラジオオークションで購入したらしいですが、出品者が違うネジを組み込んだらしい。
このような例はまま有ることなのですが・・・。
手持ちに 同じネジが有るので それを組みこもうとしたら 締められないのです。
無理やり長いネジを使ったので 受け側のプラスチックが変形したらしい。
(画像で見るように ネジの先端は多少細いのです。
仕方が無いので 長いネジの先端を少し切断して 再利用しました。
本当に困ったことです。)
まず驚いたのはランプボタンの破損です、無くなることは良くありますが、このような破損は初めてです。
なお分解後 内部を調べてみると 壊れた原因が想像できました。
脚の一部を抜け防止のため 接着したらしい。
ボタンを押した時 中央の脚が動くよう 上側に切溝を入れた可能性あり。
それと サブダイアルの指針(透明アクリル板)が外れないのです。
これが外れないと 分解できません。
相当乱暴に外そうとしたのですが 駄目でした。
実は金槌まで動員したのですが、組み込まれた状態では駄目でした。
最終的に この部分は予備もあるので 依頼主とも相談 切断することにしました。
この部分はもともと弱い糊で固着していますが、代わりに 瞬間接着剤を使ったのかも。
この状態で アクリル板を上に持ち上げると 意外と簡単に外れました。
右上の部分に接着剤の痕跡がありましたので この部分で接着されていたようです。
それと全面的に 汚れが酷いのです、アルコールで清掃しようとしましたが 駄目でした。
接着剤の飛散が原因かもしれない、ただ金属磨きのピカールで 少しは綺麗になりました。
依頼人は 新品を購入して 以前(相当 昔) ネットで見つけた方に修理を依頼したそうです。
ただ非常に不思議なのは このラジオ2002年に 自分が整備した修理票がついているのです。
秋葉原の内田ラジオさんに納めたものと思われます。
ただ当時は やっていなかったはずの2SC710の交換がしてあります。
どうも研究材料に購入し 弄り回した形跡があります。
(サブダイアルのバリコンの半田付けを外した形跡あり、これは基板を分解した証拠です。)
その5900が 何時の間にか 修理の時 本体部分が入れ替わっているのです。
ただ 添付のような表示も追記されています、これはIFの調整範囲を示すものです。
依頼品の修理ができなくて 入れ替えたものか、間違えて 組み立てたのかは不明です。
さらに不思議なのは このラジオのIFは10525〜10825に調整されいる事がわかりました。
上記の 表示と違うのです、理由は不明です。
今回は10640〜16940に調整しました、これくらいの変化は当然あります。
ただ 一度調整したものが 95kHzも動くのは 相当怪しい。
何故 こうなったかは謎ですが、基板入れ替えのドサクサで間違えたのかも。
なお交換したTRはゲイン不足のため2本は再度交換しました。
なおメーターもよく動くのですが、右端で引っかかります。
気にしなければ無視もできる範囲かも知れませんが、経験上段々悪くなるので 修理しました。
なお メーターも 分解した形跡がありました(ラジオ工房ではない)。
MW SW FMの周波数合わせ トラッキング調整を終え、さて裏蓋を取り付けてみますと様子が変です。
確認してみると なんと ネジを固定する部分が破損しているではありませんか!。
どうもこのラジオは魅入られたように あちこち壊れています。
とにかく 理解不明な 不思議なラジオでした。
手持ちの5900の裏蓋を 組み込んで完成としました。
なお感度や周波数の読み取り精度は新品時に変わらないと思われます、
安心してご利用ください。
ラジオ工房様 オークションで、落札したICF-5900後期型ですが、完全調整、完全動作と書れていたにもかかわらず、 周波数フィルムの表示と250kHzマーカーのずれが大きく 10KHz直読機としては、使い物になりません。 症状の概要ですが、SW1バンドでは4MHzあたりは、フィルムとマーカーノゼロビート点が 合っているのですが、5MHzをこえたあたりから、受信周波数は高くなっていきますと、ずれがどんどん大きくなってしまいます。 7MHzあたりでは、250kHzことの目盛りと目盛りの真ん中までゼロビート点がずれています。 SW2、SW3バンドは全体にずれてしまっています。 |
外観が綺麗なので 分解してみると シールド板が2枚ともありません。
すごく悪い予感です。
右側の画像は修理後の画像で、シールド板は手持ちの5900から移植しました。
修理後感じたことは ここまで壊しておけば修理出来ないだろうと思って壊しまくった感じです。
想像以上に 無茶苦茶な壊しかたでした。
作業時間が 5倍以上かかりました、簡単に引き受けるものではありません、反省。
分解すると シールド板がありません | 修理後の画像 |
よく見ると アンテナの根本のレバー部分も壊されています。
MWは正常に受信しますが、短波は無音です。
ダブルスーパーですからOSCは第1と第2と2つ有ります。
念のためオシロスコープで測定してみると発振は正常にしています、しかしよく見ると発振周波数が低すぎるのです。
それも第1と第2とも異常に低いのです。
原因は素人修理でコアを弄り回したと想像しました。
これも危険信号です。
コアをよく見ると 第2OSCのものが割れています、やはり 相当弄り回したようです。
実はこのコアは上下から調整できるのですが、両方共溝が割れているのです。
実装位置はメーターの裏側になります。
コアが片側だけでも正常であれば 外せるのですが、それも駄目ということで コイルごと交換することにしました。
左側が破損したもの、右側が正常なもの。
全部をバラバラに分解しないと この部分は交換できません。
下図はバラバラにした 基板の部品側の写真です。
コイルは正常なものに交換してあります。
次に第1局発の周波数調整です。
SW1で最も低い周波数を発振させる(3.8MHz付近を受信)と12MHzを発振します。
正常な場合は3.8+10.7=14.5(MHz)になるはずです。
コイルのコアがこちらも無茶苦茶に回されています。
数回以上余分に回されているようです。
幸い 溝が欠けていませんので 慎重に調整します。
マーカーが動きません、分解して トランジスターを交換しました。
今回交換したもの トランジスターは5個画像にありますが、実際は7個交換しました。
アンテナの修理
アンテナは基台部分が壊されていた他 曲がりが多くて 完全に修復できませんでした。
ただ図のように正常に収納できるまでに回復しました。
ただ 上から2番めの軸は赤い印以上に引き出さないでください。
この部分が弱くなっています、無理をすると折れます。
収納したところ | |
レバーで操作してPOP UP | |
2段目は赤い部分まででやめてください。 これ以上は 下側のパイプを持って引き出してください。 (赤いい部分はこれ以上引き出さない) |
同梱されていたアダプターです。
4.5V 200mAと書いてあるので安心していたのですが、通電してみて驚愕。
7〜8Vも有ります。
Sメーターがマイナス側に振りきれるではありませんか、
すぐ通電は中止しました。
内容が古くなりましたので、「最近のBCLラジオの修理について」に集約します。
非常に汚い5900です。
タバコのヤニが付着しています。
アンテナは全くありません。
ダイアルの透明板はずれていて、接着剤で固定しようとした形跡があります。
勿論 固定バネも紛失してありません。
あまりの汚れに、分解して、洗剤で洗いました。
画像で見るより、現物は凄い汚れです。
裏蓋の汚れは 凄くて 結局2度目の洗濯でやっと汚れが落ちました。
分解時 相当手ごわいと思ったのですが、想像以上でした。
マーカースイッチのレバーが折れていることは想像できましたが、マーカー出力調整用のトリマが壊されています。
常識的にはこの部分が壊れるはずが無いのですが・・。
普通壊れない部分が壊れているので、修理しようとして、あちこち分解したのでしょう。
今回は 普通の5900の修理に比べ、3倍くらい手間がかかりました。
壊れているのは修理しやすいのですが、壊したものはあちこち触られているので、元に戻すのが大変です。
トリマの羽根の部分が無くなっていました。
代わりのものを組み込んで修理します。
アンテナは根元の取付金具の部分しか残っていませんでした。
マーカーはレバーが折れていて、操作できない仕掛けになっていました。
これらはすべて手持ちの5900から移植して修理しました。
普通の使い方ではこの部分は折れません。
固定金具も組み込んで、修理完了です。
この部分のバネは紛失していることが多いです。
ランプブタンの破損と、このバネの紛失が素人が分解した証拠です。
今回交換した部品です。
トランジスターも不良がありました。
アンテナも手持ちのものを組み込みました。
先端が折れていますが、アンテナが無いより格段と良いでしょう。
中学1年にはじめて、親から受験の終了として買ってもらった5900が、久々に実家にいきましたら、ひどくかわいそうな状況でした。 つきましては、最大限のメンテナンス等をして生き返らせたいのです。 どうかよろしくお願いいたします。 |
沢山5900の修理をしてきましたが、ワンオーナーで、ここまで酷い5900は珍しいです。
BFOやSENSスイッチのレバーが折れています。
分解すると、サブダイアルの付近は塵で埋まっています。
アンテナのポップアップもロックができない状態です。
見るも無残な状況です。
押入れに放置されていた感じですね。
外部だけでなく 内部まで埃が進入している。
レバーが折れている。
今回交換した部品です。
レバースイッチの交換は想像以上に大変です。
新品は入手できませんので、5900から移植することになります。
ポップ アップ不良はアンテナ取り付け部分の不良でした。
あまりの汚れに 洗剤で洗いました、見違えるほど綺麗になったと思います。
大事にご利用ください。
6055KHzのラジオ日経を受信中です。
電池動作ですが、アンテナをたたんだ状態でも受信可能です(時間帯により変動する)。
ラジオが受信できていたのが、音が出なくなりました。 |
調べてみると主な故障は
@スピーカー 不良(ボイスコイルの断線)
Aマーカースイッチレバー 破損
スイッチが動作しない、ビートが出て、音が正常に出ない。
Bメーター不良
Cサブダイアル 軸の曲がり(サブダイアルが回せない)
D感度切替SW破損。
E電池金具錆有り、蓋もなし。
これを全部修理すると、2万円程度かかります。
どうも内部を分解して、さわった形跡があります。
結果的にスピーカーのみ交換して、返送することにしました。
レバースイッチは正常な方に動かして、固定しました。
メーター不良
スイッチ破損。
マーカースイッチも破損。
サブダイアルのバリコンも外そうとした形跡があります。
どうも音が出れば良いらしいので、修理することにしました。
5900の本来の機能は発揮できません。
修理・整備済と言う スカイセンサー ICF-5900(後期型)の修理報告です。
BCLラジオの修理は数え切れないくらいやりましたが、ここまで感度が悪い”完動品”は経験したことがありません。
今回調整をお願い致します、短波バンドに於ける5900の状態は下記の通りです。 @各周周波数でマーカー発振とフィルムスケールのズレが大きい。 Aサブダイヤルの+ -側のエンドで感度の低下が若干感じられる。 Bシグナルメーターは動作していますが時々動かなくなる。(全域には振れない様です。) C全体的に感度が低い 具体的に言葉で表現するのが難しいのですが、RF-2200で十分に 受信出来ている局でも、かなり弱く受信出来る程度です。 その他はAM、FM共に特に問題は感じておりません。 もし、其方で御確認頂き他に問題が有る様でしたらご指摘下さい。 |
整備済み(左)の物と並べてみると歴然とした差が有ります。
目盛りの狂いは激しいし、感度は100円ラジオ並です、「完全調整済み」とは何をもって言うのか大いに疑問です。
分解してみると サブダイアルのバリコンと
トランジスターQ9 Q27の2個が交換されています。
お世辞にも半田付けが上手とは言えないです。
部品に被せたビニールが溶けています。
メーターの動きも異常です、分解して修理しました。よく壊れるトランジスターを更に2個交換して、MWの修理が終わりました。
次にSWの目盛り合わせをしようとすると、感度が猛烈に悪いです。
調べて行くと動作がどうも変です。
マーカーON時Sメーターは正常に振れますが、受信は全く駄目です。
初段のトランジスターの入力側までは高感度なのに、ロッドアンテナでは反応が鈍いです。
やむなく回路を追いかけて行くととんでもないことを発見。
下記写真の○印の部分が改造されています。
上のランドがロッドアンテナ 下側は外部アンテナですから、ここは接続してはいけない部分です。
該当箇所は赤い数本のビニール線の束で普通は隠されて見えない部分です。
外部アンテナ端子とロッドアンテナは10PFのコンデンサーで結合されているのが正常です。
どうも感度が悪いので、直結したようです。
でもこれはセオリーを無視した改造です。
副作用が酷いです、やってはいけません。
半田付けの仕方から見て、今回の修理とは別人の仕事のようです。
下記写真の右上の部分です。
ちょうどこの部分は配線の陰に隠れた部分です、今回整備した人が見落としたのかも知れません。
正直 自分も動作が正常ならここまで調べません。
バンド切替スイッチで芋半田が見つかったのは左側の白丸の部分。
シールド板を最近取り外した形跡は見当たりませんでした。
更にまだ怪しいところがありそうとパターンを追いかけて行くと、最終的にはバンド切替スイッチの不良らしいと推定しました。
中を確認するにはシールド板を外す必要があります。
でもシールド板は半田付けの上手さやその他の様子から修理した様子には思えません。
ここまで疑わしいと やむを得ず外しました。
あけて吃驚玉手箱です。
芋半田があります、それにスイッチの端子が無い部分もあります。
昔 誰かがバンド切替スイッチを交換したようです、半田付けの様子から別人の修理です。
上記写真のシールド板○印の部分に相当します。
芋半田は1箇所でした 再度半田付けしなおしました。
端子が無い部分は 気持ちが悪いのですが、どうしようもないので無視することにしました。
副作用が無いか調べたのですが、見つかりませんでした。
前期型の場合 この部分に端子があることは確認済みです、これは後期型ですが正常品の確認はできていません。
これが心残りですが、工数がかかるのでよしとしました。
この部分はMWの受信に関連する部分ですから、あるいは?。
確認後、シールド板を組み込みました。
これで正常に受信できるようになりました。
5900はマーカーON時 、受信信号とマーカーの区別を明確にする為、アンテナからの入力抑圧回路が組み込まれています。
芋半田が原因で この回路が、マーカーOFFにしても働き続けていたのです。
この抑圧回路が働くと感度が極端に悪いのは当たり前なのです。
どうも今回の出品者は「ジャンクの難有り品」を買って、修理・整備して販売したと言っているようなので、
最初の持ち主が不具合を見つけられずに難有り品として販売、更にこれを整備した人も原因を見つけぬままに販売したらしい。
オシロスコープやSSGなど高級測定器も使った修理をしているそうですが、どのような確認をしているのか不思議です。
うっかりミスは自分でもありますが、購入後 感度不良で再調整までやっているのですから、2回目で気がついても良さそうです。
ロッドアンテナと外部アンテナ端子が直結されていたので、測定器で測ると大丈夫と誤解したのかも知れません。
動作するようになったので、サブ・ダイアルの調整をしようとすると、調整不能です。
誤差が両端で5%もあります。
サブダイアルの0位置を合わせても両端では8KHzくらい狂う計算になり、不具合です。
これでは正確に周波数が読めないのは当たり前です。
サブダイアルのバリコンを単純に交換したので 調整不可能になったようです。
これも見逃していたようです、この状態で完動品とはいささか無責任と思われます。
この読み取り精度の修復は相当嫌らしいです、あえて公表はしません。
このような方法で 整備 販売する人にいささか呆れています。
老婆心ながら この整備に心当たりの方は 確認方法を見直した方が良いですよ。
修理の状況からサービスマニュアルは持っているらしい、相当経験がありそうとは思います。
ただサービスマニュアルは電子エンジニアとして基礎知識があるという前提で作られています。
マニュアルどおりに調整したら完動品になると思い込むのは間違いです。
2009年8月24日追記: どうもこのラジオの整備は2200の修理と同じ人らしい、使われている測定器が全く同じだ。
この画像(左側)を見ると、これではトラッキング調整が出来ないことが良く分かります。 SSGからこれほど大出力の信号を受信機に入れるわけはないし、オシロの画像も調整には無関係です。 あたかも調整しているように見せる”営業用の画像”です。 この画像を信用して購入した人は、お気の毒ですが騙されたのです。 基本的に調整時ロッドアンテナから蓑虫クリップで、このような大信号を入れるとは信じられません。 ラジオ技術者としての基本的知識が不足していると考えてよいでしょう。 (先日 メールで質問がありましたので、あえて後半2行追加します) |
なお同一の方では無いかも知れませんが、同じような例を2200や2600でも経験しました、尤もここまで酷くはありません。
最近素人整備が流行しているようです、当方も素人ですから 同じようなものですが、購入する方も十分ご注意ください。
この修理体験記は下手な文章で故障状況と対処事例をまとめたものです。 修理方法の教科書ではありません、読んだだけで修理できると誤解しないでください。 修理した台数の積み重ねがノウハウとなります、このページを見て修理出来ないと言われても心外です。 また当方の事例を参考にしたのか 素人整備のいい加減なBCLラジオが出回っています。 プロと称しても技術は素人ですから、後始末で泣かされます。 これらの実例は公表済みです。 当方はメーカーのサービス機関でもありません、ラジオ大好きおじさんにすぎません。 過大な期待は迷惑です。 さらに最後の仕上げは心を込めて調整しています、この部分を省略するプロも多いです、ご用心。 自分で修理する方はサービスマニュアルを熟読して挑戦してください。 なおサービスマニュアルは、一定のスキルがある前提で書かれています、表面だけ真似しても駄目です。 その大きな間違い例がロッドアンテナから蓑虫クリップで信号を入れるごとき操作です(某プロの例)。 回路図を見れば この方法がいかに無謀かと言うことが判ります。 これが判らい方は回路図が読めるとは言えませんし、スキルも無いと自覚した方が良いでしょう。 メールアドレスはスパム防止の為 転送メールです。 |
ここからは重複(最近のBCLラジオの修理のコピー)
FMのみ受信できるという5900の修理です。 |
受信してみると、確かにFMは受信できます。
ただSメーターの振れが変です、フルスケール近くから マイナスにまで振れるのです、まるでレベルメータのような動きです。
このような 怪しげな現象は初めての経験です。
AM受信不良はIF回路のTR不良が多いので まずこの対策をしました。
これで 全部受信できるようになったのですが、FMの受信がなんとなく変なのです。
AFC のON OFFで受信できる位置が変わるのです。
普通はOFF時に 多少離調していても AFC ONで周波数が引き込まれて受信できるのですが、これが全く働きません。
AFC回路が正常に働いていないのです。
いろいろ調整したのですが 全く駄目です。
最初は検波回路の部品(R、C、D等)不良と思ったのですが、違いました。
IF信号を入れて 調整すると、IFT4のコアが最も沈み込んだ位置が最適になります。
どうもIFT4が中間周波に同調していない様子なのです。
コアはこれ以上 沈みませんので、最終的にはIFT4を別の5900から移植しました。
コイルのレヤーショートかコンデンサーの容量抜けのどちらかが原因のようです。
交換し調整すると 正常にAFCも効くようになりました。
スピーカーは社外品が組み込まれています、なかなか見事な工作と思いました。
ただ はめ込んだだけなので 簡単に取れます、これは固定すべきでしょう。
ホットボンドで固定しました。
これで終わりと組み立てたのですが、マーカーのビートがなんとなく濁るのです。
どうもマーカー周波数が微妙に変動しているようです。
また分解です。
シールドケースを外して TRを交換しました。
実はこれで ついに終わりと思ったのですが、まだありました。
組たてて 通電試験を続けると、Sメーターが異様に振動するのです、信じられないような動きです、
原因はメーター駆動用TRの不良でした。
これはもしかしたら 修理中に不良になった可能性もあります。
最終的にTRは9個 交換したことになります。
今回交換した部品。
2年ほど前より再び使用し始めたのですが、ボリュームのバリ音はありましたが聞こえていました。
次第に音声が途切れるようになり、バンド切り替えスイッチを動かしたり、
マーカースイッチなど各スイッチを動かして聞こえるようにしていましたが、
最近バリバリ音が大きく出てから何も聞くことができなくなりました。 そしてアンテナが付け根で折れて無くして(30年前机から落下)
ACアダプターも失くしてしまっています。
再び聞けるようになるのが第一ですがこれらも直ればいいなと思っています。
|
タバコのヤニまみれの5900が修理にやってきました。
色変わりした酷い汚れです。
いろいろ5900は沢山見てきましたがワースト5に入るくらいの汚れです。
いくらなんでもこれでは修理しても 使う時に気分が悪いでしょう、洗剤で洗うことにしました。
5900を洗剤で洗う時はスピーカーが接着さてれいるので、
注意が必要です。
細心の注意で取り外します。
内部の汚れも酷いです。
ツマミの隙もにもゴミが集まっています。
修理後のスカイセンサー5900
不良のトランジスターや部品を交換し、調整したところです。
アンテナも移植して修理しました。
もう予備のアンテナは有りませんので、今後5900のオリジナル・アンテナの移植は難しいです。
ラジオ日経6055KHzを電池で受信しているところです。
アンテナは伸ばさなくても十分受信できます。
外観の清掃はできますが、タバコのヤニは内部に浸み込んでいますので、内部までは清掃できません。
スイッチ内部に浸み込んだものは接触不良の原因になります。
あまり タバコで燻すのは避けた方が無難です。
別物と見まがうほどに綺麗になりました。
2002年3月6日
2002年8月31日
2002年9月1日
2002年10月29日
2002年11月11日
2003年2月2日
2003年2月4日
2003年10月9日 リンク追加。
2003年2月13日
2003年2月15日
2003年2月26日
2003年3月1日
2003年3月4日
2003年3月19日
2003年6月16日
2003年8月21日
2004年6月11日ホームページ容量の制約で一部省略、移転で再編集しました。
2004年9月27日 サブダイアルの軸が偏芯した5900の修理2004年11月15日
2004年11月29日
2005年3月21日ホームページ容量の制約で一部省略、移転で再編集しました。
2005年9月11日 純正品以外のアダプターを使って壊れた5900.
2005年11月16日 22)を追加。
2006年6月26日
2006年11月18日ホームページ容量の制約で一部省略
2007年4月9日:2852
2007年6月10日:4201
2007年7月7日:4687
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