ハリクラフター SX−100 

ハリクラフター SX−100が調整にやってきました。
凄く大きくて重いのに吃驚、通電して感度の悪いのに2度吃驚。
重さは20Kgくらいありそう。


ほぼ正常と思われるのはAバンドのみで他は正直 音が出る程度。
それも目盛りが極端に狂っています。

受信可能周波数は
@ 538〜1580KHz
A 1.72〜4.9MHz
B 4.6〜13MHz
C 12〜34MHz
第1IFが1650KHzの為 その付近は受信できない。

修理は終了していますので、当然正常に受信できます。
この整備は大変だったでしょうね、技術と根気が必要です、恐れ入りました。
中波帯の受信ですが、810KHzのFEN 954KHzのTBS 1134KHz 1242KHz 1422KHzが受信できます。
594KHzと693KHzのNHKが受信できません。


カバー部分を取り除いたところ。
正直ケースから取り出すときに悩みました。
知っていれば簡単ですが、初めてだと日本製に無い構造ですから戸惑います。

まず中波帯の調整です。
これはパディングコンデンサーとトリマコンデンサーの調整で、正常になりました。
ただ調整は比較的簡単ですが、どの部品が、回路上のどれに相当するかが意外と見つけにくいので苦労します。
ある意味で非常に不親切なユーザーマニュアルになっています。
作業より、解析に数倍の時間が必要です。
目盛り合わせは面倒でしたが、トラッキング調整は簡単です。
RFコイルのトリマを調整するだけです。
ANT RFコイルは固定です。
ANTコイルの半固定のトリマはありません、
全バンド共通のANT同調用のバリコンで受信時 最高感度に調整します。




調整中のシャーシ上面。
中波帯がOKとなったので、次はA 1.72〜4.9MHzの調整です、このバンドは微調整ですみました。
次のB 4.6〜13MHzは周波数の低い部分は無音に近いです、さらに受信できる周波数の高い方も随分ずれた位置で受信します。
この現象から パディングコンデンサーの容量低下を想像したので、詳細に見てゆくととんでもない事に気がつきました。


バンド切替スイッチ付近のパディングコンデンサー
良く見ると穴が開いています。
部品の陰なので、これまで気がつかなかったのでしょう。


取り外したところです。
狭い場所での「からげ配線」のため、半田が外せません。
ニッパーで切断しました、この為に形が崩れてしまいました。
パディングコンデンサーは680PFのマイカと320PF N750(温度係数を意味する)のセラミックコンデンサーが使われています。
本当は同じ定数のセラミックコンデンサーが必要なのですが、入手できませんので、1000PFのスチロールコンデンサーで置き換えました。
狭い場所に実装されていますので、普通は割れないはずですが、調整か何かの時に破損したのでしょう。
この交換で正常に受信できるようになりました。
Cバンドも問題なく調整終了。


シャーシ内部の写真です、修理完了後のものです。


正面の写真。

感度試験をしました。
素晴らしいです、今まで試験した受信機の中では最高ではないでしょうか。
我が家のノイズレベル 測定器の性能の限界に近い受信感度です。
特に感心したのはバンドの上と下の両端でも感度が落ちない事です。
アマチュアー用として設計された受信機としては最高級品ですね。
なおBFOは未確認です。




2005年3月23日
2005年3月25日
2016年9月22日:4,345


北九州 港さんの修理体験記(2016年9月22日)

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