スター SR−100の修理

 このページはアマチュア―が組み立てたラジオを修理する場合、
参考になるように出来るだけ詳細に修理方法を記載してあります。
ただ 原理などは省略してありますので、必要な方は下記書籍を参考にしてください。

  

通電してみると 全く無音です、微かにハムが聞こえますので、通電はしているようです。
まず低周波段から動作を確認します。
VRの端子までは活きていることが確認できました、低周波部分はOKのようです。
IF部分も活きていることが確認できたので、SSGで455KHz付近の信号をいれ、周波数を動かしてみます。
このようなアマチュア―が組み立てたものは大幅に周波数が狂っていることがあるのです。
検波段で信号を微妙に動かしながらIFを合わせ、次に前段も合わせます。
酷いものになると、420KHz位に合されていることがあったり、各コイルがバラバラに狂っているので一筋縄ではゆきません。。
その為 普通の調整方法では対応できません。
後段の方から 順次前段というように調整してゆくのが良いのです。
一気に調整するのは無理があります。
さて
IFが一応動作するようになると局発の調査です。
どうも局発が働いていないようです。
オシロスコープで発振波形を確認するのが早道ですが、隣にBCLラジオ(例えばICF-2001D)でモニターすると判ります。
ダイアルを600KHZ付近にして、モニターで1055KHz付近で無変調キャリアーを探してみるのです。
当然 目盛が狂っていることも想定して、前後300KHz位は探してみると良いでしょう。
モニターで確認できなければ発振が怪しいと判ります。



修理に来た時のシャーシ内部。
中古部品が流用してあるし、半田つけも上手とは言えません。

 

局発コイル

オシロスコープで波形を見てもNGでした、結論的にはコイルの配線間違いでした。

オリジナルの配線    発振しないので調べてみると、配線が無茶苦茶。
コアも今にも飛び出さんばかりです。
常識的にコアがこのように飛び出すように調整するのは、
異常と考えてよいでしょう。
 修正後の配線   正しい配線に修正したところ。
なおコアも無茶苦茶弄り回したらしく、
とんでもない周波数を発振しました。
発振しないので、あちこち弄り回したようです。
コアは沈み込んだところで調整が終了。

コイルをよく見るとK(カソード)タップの端子が遊んでいます、半田つけされた形跡がありません。
またアース端子をよく見ると コイルの巻線が見えません、ということは空き端子に半田つけしたことになります。
これでは絶対動作しません。
このラジオは壊れたのではなくて、組み立て途中に放置されたもののようです。
このような端子のつけ間違いは、見つけるのに非常に苦労します。
おそらく説明書通りに組み立てたので、これで大丈夫と思い込んでいるからでしょう。

本当は端子に記号を書き込んでおくべきでしょう、手抜きですね。

MWのOSC

   ほぼ逆方向からの画像  
    E端子が 本来のアース端子。
薄く 巻線が見えるのがわかるが、全く半田つけの跡が無い。
また手前の黒いリード線はアースのつもりだが、巻線が接続されていないことがわかる。
カソード端子にも配線がされていない。

局発のコイルは3端子が必要です、このボビンは5端子になっています(2個が空き端子)。
したがって組み立てた時 場所を間違えて配線したようです。

組み立て説明書によるとGのみに目印がつけてあるらしい。
SWとMWでリード線の引き出し方が、逆回りになっているのが、
間違いの原因でしょう。
 空き端子にアース線  Gのみが正解、K Eは接続なし  

R−100(SR−100の前機種か、回路は同じ ロータリースイッチが違う)のシャーシ内部実態図
これは電波科学の昭和38年3月号より。

よく見ると コイルの配置が左側が短波で、右側がMWと描かれている。
組み込む時にコイルの取り付けを左右で間違えて、配線だけ図面通りにした可能性がある。

MWとSWでは端子の出し方が違うのです。



局発コイルには全く印字がされていず、この配置図だけで組み立てたところに悲劇があったと思われます。

この種コイルは
基本的に 導通を確認し 3端子間の抵抗値を測定、
最も抵抗値の大きな端子がアースとGになります。
次にK端子は普通巻線が2本引き出されているので、簡単に区別できますが、その部分がK端子になります。
さらに両端の端子のどちらかがE(アース)かというと、K端子との間の抵抗値の低い方がEで、高い方がG端子になります。


アンテナ コイル



局発が正常になったので、受信してみると全くNGです。
調べてみると アンテナコイルの一次側の断線でした。

 オリジナル  出来るだけ上側で断線していることをいのりつつ、
解いてゆきましたが、駄目でした。
 修理後    ソレノイド式に巻いて代用。

1次側の巻線は途中で断線していれば助かるのですが、巻はじめが駄目でした。
ハネカム巻は巻線機が無いと作れないので、ローインピーダンスで修理することにしました。

最初 平巻で作ったのですが、インダクタンスが15μHくらいしかありません。
倍くらい巻いて、順次インダクタンスが25〜30μHになるようにQメーターで測定しながら巻き数を決めてゆきました。
結構 手間がかかりました。

最後の仕上げ

目盛合わせ
まず周波数の低い方はコイルのコアを、高い方はトリマで調整します。
今回のようにアマチュア―が弄り回したものは測定器が無いと とても調整はできません。
特に 短波はコアの出し入れで大幅に周波数が変わるので、調整時 時間がかかって困りました。
なおこの部分はアンテナコイルの修理が終わってからでないと駄目です。
終わればコアやトリマが振動で動かないようにラッカーで固定します。
ただ 今回コアのネジが極端に緩いので、念のため接着剤で固定しました。

なおMWの目盛合わせは比較的容易でしたが、SWの調整には正直戸惑いました。
MWは目盛とぴったり合います、合格レベルです。
ただSWが合わなくて苦労しました。
なんとか追い込んで、これで妥協しました。
4MHと10MHzを合わせると途中が少しずれます。
通信型受信機としては不満足ですが、普通のラジオなみの誤差ですから良しとしました。
最後に高い方の周波数を受信し、感度が最高になるようにトリマを調整します。
本来なら低い方も調整したいのですが、こちらは固定なので諦めました。
ただ念のため 調整棒でほぼトラッキングが取れていることは確認済みです。

蛇足
このラジオで不思議なのはMWのパディングコンデンサーの容量が500PFである点です。
普通は430PF程度なので、もしかしたらバリコンに外国向けの最大容量の大きなものが使われている可能性があります。
外さなければ 容量が測定できないので、測定はしてありません。
この為 コイルのインダクタンスも日本製の普通のものと互換性が無い可能性があり、
これが無理やり 一次側を巻いて使用した理由でもあります。



修理後のシャーシ内部、AC回路に安全規格のコンデンサーを追加。
6AR5のグリッドの結合コンデンサーを交換した程度でOKでした。
なおブロックケミコンはケミコンテスターで確認したところ、漏洩電流が1mA以内なのでOKと判断しました。



この機種の回路図はR−100の回路図が参考になります。



SRー100 その2

ハムが酷くて ほとんど受信出来ない状態です。




ハム退治に ケミコンを追加しました。
これではハムは収まったのですが、これからが大変でした。
スターといえば有名なコイルメーカーなのですが、ダイアル目盛と受信周波数が全く合わないのです。
これほど酷いものは見たことがありません。
バリコンを交換しているのではと疑ったほどです。

コイルのインダクタンスは110μH前後です。
バリコンの最大容量は430PFです。
パディングコンデンサーは固定で表示は500PF(実測 510PF)です。

試行錯誤のすえ パディングコンデンサーを430PFに交換しました。
周波数の高い方はトリマで調整範囲外になりますので(トリマを最大容量にしても駄目)
7PFの固定コンデンサーをトリマにパラに入れてやっと目盛に合うようになりました。
しかしどう考えても不思議な作業でした。
ここまでしないと目盛があわないのは異常です。
製造の途中で 部品の変更があったのかも知れません。









2014年4月23日:1,181

2012年9月24日
2012年9月25日
2017年3月30日:2,201 誤字訂正、DSCF7662の画像を大きくした。

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