日立 トランジスターラジオ WH−822の修理 


昭和34年に発売になった日立の高感度トランジスターラジオ、愛称は”ケリー”です。
ドリフトトランジスター2石を含み、IF2段 AF3段の8石トランジスターラジオ。
単3電池4本で動作、スピーカー端子2個、155×91×44mm 電池とも600g。
現金正価 13,200円。
電波科学34年5月号の新製品紹介で。



HJ71(発振) HJ72(混合) 2N218(IF)×2  2N215(AF)×2  2N217(出力)×2




内部はHJ71やHJ72など初期のトランジスターが使われています。

電源をつないで見るとスイッチが動作不良です。
接点部分が腐食しているようです、接点を磨きました。
また電池金具も錆びています、これも磨きました。
これで通電すると正常に電流が流れるようになりました。

フェライトコアアンテナを外すと影の部分にネジが現れます。
このネジを外さないと取り外せません。
ダイアルの指針が真空管ラジオと同じ考え方で作られているので驚きました。
一旦指針をダイアル糸から外す必要があります。





通電しても全く無音です。
信号を後段から入れてゆくと、混合段のトランジスターのコレクターで音がするが、ベースでは音がしない事が判明しました。
混合用のトランジスター HJ 72の不良です、これを交換して正常に音が出るようになりました。



そのあとはIFTを455KHzに調整、その後目盛りあわせ、トラッキング調整をして修理完了です。
さすがに短波も高感度です。


この当時の流行はロッドアンテナが取り外せることです。
皮ケースの下段にポケットがついていて、そこに収納できる仕掛けです。
この機種はこのアンテナが紛失していました。

2台目の修理

デッドストックとも思われる WH−822です、全く 無音です。




今回の不良は 分解してわかったのですが、スピーカーの不良でした。
デッドストック状態なのに、スピーカーが断線しているとは思ってもいませんでした。


コンデンサーの容量抜けと抵抗の断線がありました。


スピーカーはほぼ同じ大きさの新品が入手できましたので、交換しました。
IFの調整 目盛りあわせ トラッキング調整をして終了です。
2009年12月7日
2010年4月14日:463 2台目を追加。

ラジオ工房TRラジオ博物館1へ



2006年8月5日よりカウント

radiokobo-all