両親が若いころに買った30年(もしかしたら40年)以上たっているソニー製のラジオがあります。 両親にとっては、若かりし頃の思い出の品だそうです。 十年以上前、『ボリュームの調整が効かない』という理由で電気屋に修理を依頼したのですが、 『部品がない』ということで返却されてきました。 以後、捨てるに捨てられず、そのまま放置されていました。 現状としては、その修理の際に何本かの配線が繋がっておらず、スイッチを入れると、『ジジッ』と小さな音がするのみです。 私も両親の思い出の品なので、使えるものなら使いたいと考えています。 ラジオ背面に書かれいるのは、以下の通りです。 ******************************************* SONY RADIO 7 TRANSISTOR 4 BAND SUPER HETETODYNE MODEL TR-719 FREQUENCY RANGE : BC 535~1605 KC IF : 455KC SW 1.5~1605MC BATTERY SUPPLY : 1.5 VOLT×4 EVEREADY A 100, A950 : RAY-O-VAC 2LP : JIS, UM-1 OR EOUIVALENT TOKYO SONY CORP, JAPAN |
このラジオは昭和35年12月に 16,900円で新発売された物です。
VRの製造日付は1961年1月になっていますので、恐らく昭和36年の始め頃購入したのでしょう。
製造後50年近く経過しています。
沢山のソニーのラジオを見てきましたが、この機種ははじめて見ました。
短波は26MHzまで受信できるようになっていますが、この時代でここまで受信できる物は珍しかったようです。
ただトランジスターも7石であり、セルフコンバーター方式で、発売当初から短波の感度は実用的では無かったとの記録があります。
昭和36年4月にサラリーマンになりましたが、初任給は15,150円でした。
このラジオを購入した時期の初任給は14,000円くらいと想像します。
非常に高価な買い物であったわけです。
背後の写真です、分解したらしくあちこちリード線や部品が外されています。
電池BOXも一個ありません。
各ブロックは相互に配線されていますので、元に戻せるようにデジカメで撮影しておきます。
現物の手持ちもありませんので、これを省略すると後で苦労します。
この写真はキャビネットから引き出したところです。
コンバーター回路ブロックを取り外したところです。
2SA122 1石が載っています。
スイッチ部分を外そうとしたのですが、これ以上の分解は無理でした。
スイッチのリード線と基板が一体になっています。
端子の半田を全て外さないと分解できません。
保守のことなど考えていない仕組みです。
IFブロックとAFブロックです。
まだこの部分は修理していません。
写真中央下側に見えるのは微同調バリコンです。
キャビネット前面の円盤状ダイアルと糸かけで結ばれています。
短波受信には便利な機構です。
音量調整用のVRです。
0位置でも残留抵抗があり、音が絞りきれません。
この部分が故障の第1段階です。
写真左側上部に写っているのが、微同調機構のツマミです。
元々 故障の原因だったVRを交換した。
残留抵抗は10%以下だったが、それでも音が大きいので不便だったのでしょう。
丁度良い寸法の物が有りませんので、接続して利用しました。
ツマミが多少 浅くしか入らないのが不具合です。
不具合部品を交換して、動作するようにしました。
IFTの調整を試みましたが、ピークの確認が困難でした。
選択度はあまり良くないようです。
コンバーター段もなんとかBCバンド(MW)は受信できるようになり、快適に動作するようになりました。
SW1〜3については、多少受信はしますが感度は良くありません。
SW1と2のパディングコンデンサーを交換してみましたが、思ったほどの効果はありませんでした。
中波帯のみの受信でOKとすることにしました。
電池BOXの金具は右端のものが無くなっていました。
右端に単2用 4本のBOXを組み込んで使っていただくことにしました。
前回分解した時に金具やネジなど紛失した物があり、完全に元通りにはなりませんが感度は充分です。
想像以上に大音量です。
2009年9月6日
2009年9月7日:248
2009年9月8日:319
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