ソニー トランジスターラジオ TR-6の修理体験記

依頼主から
状態は、一応動作しますが、NHK以外は感度が悪いです。
確かに感度悪いです、開けて見ると電解コンデンサーから白い粉が噴出しています。
電解液が蒸発し結晶になった感じです、周りの部品も汚染されています。
まずこれを何とかしなくてはいけません。

正面の外観です。
自分も持っていますが、小豆色で行方不明です。
多少補修の跡がありますが、綺麗です。
ソニーの主力商品としては
TR55(5)→TR72→TR6の発売順で3番目です。
(実際は他にもTRラジオがあります)
そう言う意味で骨董的価値の高い製品ですから、
単に音が大きく出れば良いと言う訳には行きません。
修理は止めたほうが良いのではと薦めたのですが、
どうしてもと言う事で、引き受けました。


内部の様子。
部品はほぼオリジナルと思われる。
COV段の石が丸缶だが、これは最初からそうだったか、
後で交換されたかは不明。



白く横たわっているものが6V 30μFの電解コンデンサー。
両端から電解液の結晶と思われるものが噴出しています。


基板のパターン面です。
いかにも初期のプリント基板らしいつくりです。

実は全数基板の裏側に実装して、うまく行ったと喜んでいたのですが、
結果は大失敗でした。

実装してもうまく隙間に収納出来るのですが、
ダイアル指針の透明円盤が邪魔をします。


結局 1個は表面に、3個はダイアル円盤の外周より少し外に実装しました。
中央部に2個、右端下に1個を基板の裏側 見えない部分につけることが出来ました。


完成時の内部写真です。
1個だけはあまりに痛みが激しいので処分しましたが、
3個は実装面に片側の配線を切り離して、残しました。

この後 IFTの調整をしましたが、初段のIFTはねじ山が破損して、
調整不可でした、残り2個を調整パラフインで固定しました。
目盛り合わせをしたかったのですが、OSCがねじ山破損で調整できず。
多少目盛りが合いませんが、これで良しとしました。
最終的にトラッキング調整をして、終了。
特にこのトラッキング調整で一段と高感度になりました。


これで修理完了です、歴史的なラジオですから、音が出ればOKの修理はしたくないし、昔の部品は使えません。
どこかで妥協する事になります、外見だけは少なくとオリジナルに近い形に修復できました。

なおこの時代のラジオは必ずしも感度は良くありません。
トラッキングがずれると、急激に感度が落ちます。
電池交換時 内部の部品に手が触れやすいのですが、注意した方が無難です。


2003年12月30日

ラジオ工房TRラジオ博物館1へ



2006年8月5日よりカウント

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