チェリー トランジスターラジオの修理 CK−606のトラブル退治

現在販売されているキットを組み立てたら、動作が不安定だとの書き込みが、ラジオ工房掲示板にありました。
代表的な書き込みを紹介すると下記のようになります。
書き込み順です、番号が欠番の部分は原文をお読みください。
詳細は掲示板の記録を参照ください。

チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 近藤  投稿日:2008年 9月27日(土)14時17分57秒
CHERRYの6石ラジオキット(CHERRY CK-606)を入手して 同じものを数台組み立てました。ところが すべてに同じトラブルが発生します。内容ですが 455kHzをテストOSCから出力しIFTを3つ調整しますが 最高感度にすると発振しているような症状になります。(テストOSCをOFFしても ピーという音がSPから出ます。)バリコンでチューニングしてもいたるところでピーと音が出ます。現状では 解決策は IFTの調整をずらして 感度を少々下げておくことしかできません。IFのTRのエミッタ抵抗の値を少々大きなものにしてみましたが改善されませんでした。解決策を ご教授いただけませんか。
手元にある測定器は オシロ テストOSC テスター などです。
Re;チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 内尾  投稿日:2008年 9月28日(日)20時37分15秒
今晩は
良い解決策が見つかると良いのですが、難しいようですね。

率直な感想は
トラブル対策を指摘できるベテランは、現在販売されているキットの組み立て経験は無いのではと思います。
したがって、「チェリーの「キットを名指しして、どうしたらよいでしょう」と聞いても返事が難しいでしょう。

ところで、このキットは、正常に組み立て、調整すれば、問題なく動作するものか、何方か確認した方はいますか?。
せめて それだけの情報でも欲しいです。

組み合わせが多くて、悩ましい。
@元々正常なキットなのか?。
A組み立て方が悪くて、動作しないのか?。
Re;チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 鈴木@東広島  投稿日:2008年 9月29日(月)11時16分54秒
>ところで、このキットは、正常に組み立て、調整すれば、問題なく動作するものか、何方か確認した方はいますか?。

初めて投稿させていただきます.鈴木@東広島と申します.

さて,件のラジオキットですが,私も先日組み立ててみたのですが,やはり発振してしまいビックリしました.

私の場合,中和コンデンサでは発振が上手く止まらなかったので,最終的にはIFTにQダンプの抵抗(68kΩ)をかませて発振を抑えました.が,キットなのに,,,と今一釈然としない気持ちが残りました.

このキット,何十年も基本設定を変えずに販売している,という風体なのですが,もしかしたら,トランジスタかIFT辺りに知らずのうちの仕様変更があったのかも知れません.

因みに,RFのトランジスタはいずれも2SC1815(O)ランクが入っていました.

以上,情報提供差し上げます.
12 Re:チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 伊藤 弘志  投稿日:2008年 9月29日(月)20時30分7秒
こんばんは 自分も以前組み立てましたが発振しています。
バーアンテナを基板から離すと発振はとまります。
このキットは関西では今は手に入らないです。
16 Re:チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 内尾  投稿日:2008年 9月30日(火)12時34分3秒
伊藤さんの書き込まれた
>バーアンテナを基板から離すと発振はとまります。
と 下記のページの写真を参考にすると
http://www5a.biglobe.ne.jp/~toyoyasu/Radio_3.htm
バーアンテナと検波段のIFTが接近しすぎているように見えます。
IF信号がバーアンテナに誘導して、発振を起こしているのかもしれません。

写真が小さいので、断定できません。
出来たら手持ちのCK−606の写真を掲載してください。
800×640位でお願いします。
17 Re:チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 伊藤 弘志  投稿日:2008年 9月30日(火)21時39分52秒
写真アップしてみますが慣れてないので失敗していたらごめんなさい。

19 Re:チェリーの6石ラジオキット  投稿者: exJA6NHD/Hayashi  投稿日:2008年 9月30日(火)22時41分55秒
バーアンテナを逆相にしてみてはどうでしょうか
とても技術的興味があるのでチャンスがあれば購入して解析してみます
20 Re:チェリーの6石ラジオキット  投稿者: 石山/JA3TZZ  投稿日:2008年10月 1日(水)00時19分58秒
内尾さん、皆さん、こんばんは。
横から、すみません。
Cherry Radio 8石 は組み立てました。発振はなさそうです。
写真貼付致します。バーアンテナとIFT検波段は、離れた構成になっています。
写真で、バーアンテナ左が、発振コイル、下段左より IFT-1, IFT-2, IFT-3 です。

現在、このようなディスクリート回路設計・検討出来る方、少なくなっているのでは
ないでしょうか?

24 Re:ラジオキット  投稿者: exJA6NHD/Hayashi  投稿日:2008年10月 1日(水)21時54分51秒
発振は 終息しました
わたしの提案のとおりアンテナコイルを逆相にするだけです。
具体的には 二本撚られている黒の線をばらし、赤の線と導通のない黒線
を赤と再び撚り合わせ、それをBのランドに、残った黒をRのランドに
繋げばよいです。
それでもゲインは過多ですが発振もせずに快適に使えます、この
ラジオは4.5V即ち単三か単四 三本のほうが調子いいですね。


どなたか追試をお願いします。
25 Re:ラジオキット  投稿者: 鈴木@東広島  投稿日:2008年10月 3日(金)08時44分3秒
>発振は 終息しました
>わたしの提案のとおりアンテナコイルを逆相にするだけです。

早速昨晩,コイルの位相を入れ替えてみました.
これで,Qダンプの抵抗をはずしても発振しなくなりました.

しかも,音量(これは当然)に加えて,音質まで改善しました.
ビックリです.どうも今までは,若干発振気味だったようです.

次はシールド板のアイデアですね.
これもまた,時間の都合が付いたらやってみたいです.


exJA6NHD/Hayashiさんに写真を送っていただきました。
基本的には検波段のIFTと検波回路がバーアンテナに接近していることが致命的な原因と思われます。
このキットは30年くらい継続して販売されているようなので、不思議な感じはします。
あるいは途中でバーアンテナのコイルの巻き方が逆になったのかもしれません。
基本的にはバーアンテナと検波回路は離すことが必要です。
6石ラジオクラスの検波用ダイオードには、ローカル局を受信した場合、実測値で2.5Vpp程度の電圧が加わっています。
μVクラスの電波を拾うバーアンテナの付近に近接して、実装するのは基本的に無理があります。
市販のトランジスターラジオを見ても、必ず、検波段はバーアンテナから離れた位置に実装されています。
BCLラジオなどではバーアンテナから離すと同時にシールド板を使って、不要な輻射を拾わないように工夫されています。








市販のトランジスターラジオの実装例。

    

BCLラジオにおける検波回路
6石ラジオクラスに比べ、BCLラジオは高感度ですから、遮蔽は よりよくする必要があります。
部品の配置だけでは解決できないので、シールド板を多用しています。


ICF-5900の検波回路はシールド板で廻りと裏面を遮蔽している。
左側 ICの隣が検波用IFT(コアが調整できないタイプ)。
その下の橙色と青色はFMの検波用。


赤いシールが貼ってある部分が検波回路のシールド板。

ブレッドボードラジオ」というサイトに姉妹機種と思われるCK−666の解説があります。
ご覧になると参考になるでしょう。

ラジオ工房TRラジオ博物館1へ




radiokobo-all