東芝 トランジスターラジオ 6P−64のバリコン容量推定と修理

東芝の東京オリンピック記念ラジオのVCが不良になった事が掲示板で話題になりました。
バリコンそのものが不良の為 容量がわかりません。
推定作業をお手伝いする事にしました。

最終的に修理することになりました。




裏蓋を外したところです。
バリコンは取り外されています。
この機種は初めてなので、リード線のどちらがANTとOSCか区別がつきません。
バリコンの印にC1 C2とあったので、C1がアンテナ側だと勝手に推測したのですが、測定結果が変です。



パターン側だけでは判断できないので、分解して部品面を見えるようにしました。

コイルのリード線をたどってゆき、回路が理解できましたので、再度組み立て、これで確認する事にしました。


まず525KHzを受信する為に、OSC側では+455KHzの信号を発生させる必要があります。
(525+455=980)
OSC側端子に手持ちのバリコンを接続、カウンターつきのラジオを980KHzに合わせ、
バリコンを廻してモニターの受信機のSメーター(今回はLED)が良く振れる位置にします。

この状態で バリコンを切り離し、容量をQメーターで測定しました。
OSC側135PFでした。

ANT側がはDIPメーターを併用して確認しました
測定結果は125PFでした。


多少測定誤差もあり、ラジオ自体の調整誤差もありますので、最大容量 130PF近くの等容量2連VCがあれば交換できます。
親子VCの場合回路変更をする必要があります。


バリコン入手
中堀さんの好意でバリコンと回路図が入手出来ました。
秋葉原で探しても現在では簡単に見つからないバリコンです、非常に幸運ということでしょう。

左側:オリジナルのバリコン PVC 2716

最大容量は現物が破損しているので不明なるも、
等容量2連で それぞれ120〜140PF程度と想定されます。

右側:今回準備できたバリコン PVCーCX16

測定してみると C1 ANT側 145PF
           C2 OSC側  62PF

オリジナルのものと容量が違いますので、回路常数を変更して対応することにしました。


バリコンを組み込みました。
これで大音量で受信できるようになりました。

中間周波トランスを455KHzに調整しました。
率直な感じとして、狂いが多かったようです。
調整して感度がこれだけでずいぶん良くなりました。


トラッキング調整は未了です。
普通はこれでよいのでしょうが・・・。

回路定数の変更

今回準備できたのは親子バリコンです、最大容量も違います。
まず受信範囲が中波放送波帯を全てカバーできるか確認する必要があります。
オリジナルは等容量の2連バリコンが使われていましたので、パディングコンデンサー(ここでは150PF)が使われています。
親子バリコンですから、これは不要です。
取り外すのも惜しいので、今回はバイパス(ジャンパー線でショート)することにしました。


C5の150PFのコンデンサーはショートさせた。
これでL2のコアの調整で、受信範囲をカバー出来るようになった。
980〜2080KHzを発振するように調整。


ANTコイルも従来は最大容量125PF用に作られています。
今回準備できたVCは最大容量145PFですから、アンテナコイルのインダクタンスが多すぎます。
同調するためにコイルの巻き数を少なくする必要があります。




等容量の2連バリコンが使われていたが、
親子バリコンしか入手できなかったので、組み込みに工夫が必要。

オリジナルのバリコンと今回のバリコンではANT回路とOSC回路の端子の出し方が逆になっています。
パターンに沿って組み込むわけには行きません。
ジャンパー線で配線をしました。

元々等容量のバリコンが使われていたので、配置に自由度があったためでしょう。
バリコンのC1の方がOSCに使われていました(普通C1はANT側)。


バリコンを組み込んで、もっとも低い周波数を発振させたところ、
1,000KHzを示しました。

このままだと 最低受信周波数は555KHzになります。
531KHzの放送局がありますので、525KHzまで調整できるようにしたいものです。



デジタル表示つきラジオの上に試験用ラジオを乗っけると、局発の信号を簡単にモニターできます。

カウンターを局発回路に接続すると、発信周波数が変わりすし、手間がかかります。
別のラジオでモニターするのが便利です。

今回は ソニーのICF−2001Dを使いました。



OSCコイルのコアを調整すると980KHzにまで可変できました、やれやれです。
調整範囲にいらなければOSCコイルの巻きなおしをやる必要があります。




局発の信号が2070KHzになるように局発回路のトリマで調整。
本来なら、もう少し余裕を見て高くしたいが、このあたりが限度でした。
(バリコンの可変範囲不足)

トラッキング調整
受信周波数範囲の調整が完成しましたので、トラッキング調整を行います。
今回のように別規格のVCに変更した時は普通の調整方法では難しい事があります。
予想ではアンテナコイルのインダクタンスは多すぎるはずで、DIPメーターでおおよその共振周波数を検出します。
経験上この程度と見当をつけて、コイルを解きます。
アンテナコイルを数回解きました。
このときインダクタンスが少なくなりすぎると大変なので、数回 仮に半田付けして試験します。
リッツ線の赤丸は仮に半田付けして、試行錯誤した跡です。
おおよそOKの時点で、通常の調整方法で仕上げをします。

これで組み込んで、通常のトラッキング調整、周波数の高いほうはトリマで調整できました。
これを2度ほど繰り返して終了。

なおSメーターがついていませんので、トラッキング調整にSSGを使い、音声最大になるよう調整します。
低いほうは650KHz付近(東京ではこの付近が静か)、高いほうは1400KHzで調整します。
外部スピーカーに出力計(テスターでも可)をつけて検出します。

東芝 トランジスターラジオ 6P−64の修理(2020年12月2日)

裏蓋を開けたところ

布製のカバーが付いている

電池は単3電池2本



ケースから抜き出したところ
今までのラジオに比べ 厚さが非常に薄いので TRを横に寝かせる 
太いケミコンは基板に穴を開けて 収納するなど工夫がされている


いろいろ調べたが ケミコンの劣化が激しいので 全数交換した。
調整だが SSGから変調した信号をいれ 音量最大になるよう調整した。
意外と不便でした。


修理完了した基板

なお 電源関係のケミコンは100→330μFに変更した。



組み立てたところ




2007年5月8日
2007年5月11日:211
2007年5月13日:380
2007年5月14日:462
2020年12月2日:6,749

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