真空管試験器TV−7Dの修理体験記(TV−7のデジタル表示化)

メーターが動作しなくなったという試験器です。
到着時 通電テストをしました、LINEテストをしてもメーターが動きません。
早速分解し メーターの導通を測定してみました。やはり導通がありません。
なおアナログテスターで測定する時は 高抵抗レンジで測定しないと電流が流れすぎてメーターを壊します。

しばらく部屋の中においておき 動作させてみると あら不思議 メーターが動作するではありませんか・・。
電流を流してみると 指示値がメーターの角度で微妙に変化します。
いわゆる指針部分のバランスが悪いのです。
TV−7のメーターは沢山(と言っても数十台ですが)見てきましたが、どうも動きが不審です。
誰か、メーターを分解して整備した可能性が高いです。
完全に修理できなかったのでしょう、この不審な動きはその後遺症と思われます。




メーターが ある条件で動作するというのでは試験機として役立ちません。
アナログメーターが入手できればよいのですが、簡単には入手できません。
昔から考えていたデジタル化を してみようと考えました。

デジタル化の原理は簡単です。
200mVの電圧計を組み込んだだけです。
ただ駆動電源が必要ですから、電源トランスも組みこまなければいけません。
手持の100V:25Vの小型電源トランスがあったので、それを組み込んで利用することにしました。
小型とはいえ 重量があるので組み込み位置は悩ましいです。
幸い 筐体部分に、ネジ2本で固定し、しっかり組み込むことが出来ました。
デジタルメーターは9V DCで動作します、電流は1mA程度です。
電源のケミコンは一個だけで十分でした。

白丸の部分がメーターのデジタル化部分です。
ケミコンの下側の赤色のものが電源トランスです。
回路は単純ですが、実装は悩ましかったです。
特に電源トランスの実装位置に苦労しました。
多少の振動でも大丈夫なように、2本のネジで本体の筐体部分に固定しました。
ケミコンが乗っているのは6端子の端子板です。
黄色に見えるのが精密可変抵抗器です。
ネジを回転させて 微妙な値に調整できます。



パネルメーターの取り付けは悩みましたが、アクリルの円板に組み込んで、
それをメーターの代わりに組み込む方法としました。
円板をパネルの裏側に組み込みたかったのですが、ネジのボス部分が邪魔して組み込めませんでした。
円板の直径が少し小さかったので、多少窮屈な取り付けになっています。
あと1cmほど大きい方がやりやすく、より強固に組みこめるでしょう。 
デジタルメーターの寸法が大きいこと、本体の穴は加工しない方針の両者で妥協点を見つけました。
パネル部分の強度は弱いので、この部分を持って持ち上げるようなことはしないでください。
デジタル表示のパネルメーターも、もう少し小さい方が組み込みやすいと捜したのですが入手できませんでした。

LINEテストはメーターの指針が60を示すように調整します。
これで電圧は大丈夫です。
GM試験やダイオードの試験もチャート通りの数置以上で合格です。
単純明快にテストできます。
なおTV−7は本来は115V仕様ですが、100Vで十分使えます。
電源投入時 抵抗値が小さいのでヒューズランプを切りやすいことはありますが、まず大丈夫です。



これ以降はTV−7のマニュアルに従って調整をしました。
調整済みで購入したようですが、率直な感じではまじめに調整されていない感じでした。
パネルのTV−7Dのラベルも整備した方が勝手に貼り付けた様子があります。
無責任な整備をして 整備品として販売する人がいるのには驚きです。
それも不審なメーターを組み込んで販売するのですから 泣けてきます。
TV−7の修理をしてくれるところは少ないので 購入は慎重にした方が無難ですね。

校正について
このデジタル化で、組み込み作業時間を1とすると、校正に数倍の時間がかかりました。
初めての作業なので 試行錯誤で最適な方法を見つけてゆきました。
一時は諦めようかとと思うほどでした。
安易に このようなメーター交換は しない方が無難です。

6AR5の試験中です。



我が家のTV−10で同じ6AR5を試験したところ、ほぼ同じ値を示すます。



6L6の測定中



これで十分実用的に使えるでしょう。

真空管の試験は測定値がデジタル表示されるので、添付のチャートと比較すれば良否が解ります。
幸いデジタル表示なので、120でメーターが振り切れることはありません、これは意外と便利です。

ただB CレンジはGに加える測定電圧が5Vです、D E Fレンジは1V以下になりますので、
測定値に違いが出ます。
厳密にはチャート指示のレンジで測定してください。  




電源コードは普通の2芯コードに交換した方が良いかも。
組み込み方が相当酷い状態でした。

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2011年12月20日
2011年12月24日:15 公開



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