テレビアン EC28 4ペンラジオ  その2(47Bを33で代用)

テレビアンが送られてっきたのですが、開けてみると整流管が割れています。
更に47Bの位置に56が刺さっています。



更に 新聞紙を取り去ると スピーカーが外れています、どうも2箇所しか固定されずにいたのに、
一つが 穴の部分が破損していて 固定されていなかったようです。
なにか悪い予感です。



箱から出したところです。
向かって左側は40Hのチョーク、右側は6+4 μFの電解コンデンサー。



元々は 24B 24B 47B 12Fだったはずですが、
58 57 56(47B代用) 12Fに改造されている。
当時の雑誌などで47Bが入手出来ない場合の緊急代用品として56が使えると紹介されていたので利用したのでしょう。
ただ不思議なのは 47Bの部分のソケットが交換されていることです。
ここはUYなので 交換しなくても良いはずなのに??。
58 57の所は当然UZに交換されている。 



上のシャーシは検波コイルのシールドとコイルそのものを外したところです。
ハネカム巻の1次側が断線しています。
この部分が断線したのは初めて見ました。



実は このコイルの修理に10時間以上かかりました。
最初はどのように修理するか悩みました。

何度も組み込んだり 取り外したり試行錯誤をしました(コイルの巻線の方向性の確認)。
なんとか 無事修理出来ました。
なおコイルの容量は断線していて 測定できませんが 一般的に3.5mHくらいが多いので
大きめのRFCを解いて ちょうど3.5mHくらいにして流用しました。
代用品の画像は解く前の大きめのものです。



コイルの底はゴミが一杯詰まっていました、これが湿気をよんで断線したのかも。



修理前のシャーシ内部です。
アンテナターミナルもありません、缶タイプのペーパーコンデンサーも使えません。
VRは完全なガリオームになっています。
予想外なのは再生用のミゼットバリコンです。
軸のカシメが悪いのか回転させると羽根が一部でショートするのです。
結局 シャーシ内の部品は2〜3個を除いて 使えませんんでした。


VRが使えないのは予想していましたが ミゼット(再生)バリコンまで使えませんでした。
工作精度が悪いらしく 軸がガタガタで 羽根が時々ショートするのです。




使えなかった部品の1部、この他真空管が2本使えませんでした。
一番高いもの(47B)とその次に高い(12F)ものが駄目なのは困ります。
47Bは入手できませんので 新品の33の手持ちがあるので、これを利用しました。
ソケットのところに各1Ωの抵抗をいれ そのまま33がさせるようにしました。



マグネチックスピーカーの修理


巻線が断線しているので 巻き替えが必要です。
馬蹄形磁石の内側にマグネット開きを入れ コイルを取り出します。



取り出したコイルのボビンです。
これを裸の状態に戻すのが意外と手間がかかります。
本来なら0.08mmの電線が巻いてあるのですが、素人ではとても巻けませんので0.1mmのホルマル線を巻きました。
巻き枠 いっぱいに巻く必要があります。



ここまでに分解するのが一苦労。



コイルを組み込んだ後はアマチュア−(中の金属片)をコイルの中央の位置に合わせ 
コーン紙に接続されている支持棒にピンを半田付けします。




これでスピーカーの修理は終わりです。
ただ取り付け部分が破損しているので スピーカーの位置を少し回転させ 組み込みました。
ネジがキャビネット側に組み込まれている それも2個しか残っていないので 嫌らしいです。
(本来は4箇所で固定)

真空管は58 57 33 12Fの4球です。



下図の1Ωの抵抗は33用でそれぞれヒラメントのピンに接続されている。
(バイアスが中点に加わるので 片側にのみ2Ω入れても駄目です、念のため)

出力管 33について

出力管は本来の47Bを使いたいのですが、戦後すぐの時代でも入手難でした。
そのために56が使われたり 代用球として3YP1が作られたのです。
しかし 47Bそのものは日本独自の球ですが、元々はアメリカ製の33の改造球なのです。
ヒラメント規格だけが異なるが その他の特性は全く同じものです。
当時 日本では材料の品質が悪く 33と同じ規格(2V 0.26A)ではヒラメントの材料を作るのが難しく、
2.5V 0.5Aにして47Bを製造したのでしょう。
そのため 2.5Vを2Vに変えてやるだけで 33が47Bと同じ働きをします。
今回はアメリカ製の新品33が入手できたので 応用しました。
このためそれぞれのヒラメント端子に1Ωの抵抗が入れてあるのです。
47Bに戻す時はこの抵抗をジャンパー線でショートしてください(とり除いても良い)。

一木さんの全日本真空管マニュアルより抜粋









キャビネットにいれて 受信してみると いやらしいことにJOAKを受信する付近で無音になるところがあります。
バリコンを軽く叩くと 回復するのです。
バリコンの羽根が接触しているらしいと判りました。
ほんの一部なので原因箇所を見つけるのが大変でした、なんとか修正して大丈夫になりました。
(どこで接触しているか見つけるのが大変 場所がわかれば対策は比較的簡単)







最後にツマミをつけようとしたのですが、中央の同調ツマミが固定できません。
ネジを締めてゆくと何やら円筒状のものが出てくるのです。




分解してみると 薄い金属板がネジを覆っていて これをツマミに固定していたようです。 ただ接着剤で固定してみたのですが、ボロボロで 固定できませんんでした。
しかたがないので 金属の薄板を入れて固定することにしました。
中央の同調ツマミの部分です。 ツマミにまで トラブルとは想像もしませんんでした。

なお この機種の修理は2台目です、もう1台の体験記はこちら


2014年11月7日

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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