PHILCO TP−4の修理体験記 

1940製で7A8 7B7 7C6 35A5 35Z3の5球スーパーです。
たたくと音が正常に出る事があるそうです。
7〜8年前にデパートのアンティーク・フェアーで購入したそうです。
デパートで購入してもこんないい加減な物を販売するのですから 恐ろしい話です。

通電するとピーと小さな発振音がします、たたくと確かに小さく音がなんとなく聞こえてきます。
分解してみると動作しません、よく見ると赤いリード線が外れています。
これはB電源用のリード線でACから整流管のプレートに行く線です。
どうも素人が修復したようで 半田つけがいい加減だったようです。
これで大丈夫と通電してみると、確かにたたくと正常になることが有ります。


原因を調べてみると 半田つけ不良でした。
7A8のG4とG6のバイパスコンデンサーと平滑回路のケミコンのアース側が半田つけされていなかったのです。
上から見ると半田つけされているように見えるのですが、下側の端子(←印)は画像のように何の変化もありません。
素人が修復すると時々このような現象が発生します。
半田がはまり込んでいたので半田つけ完了と思い込んでいたのでしょう。
(下の画像とは角度が90度違います。)

修理前のシャーシ内部です。


上の画像の場所は右下の真空管の部分になります。


修理後のシャーシ内部。


ケミコンは左側にまとめました。
しかし日本では並四の全盛期にアメリカではこんなコンパクトな製品を出していたのですね。
無駄のない配置に感心します、しかし 回路図だけだと調べるのに苦労しました。
なおIFTのトリマは調整時 反応が良いのでQは落ちていないようです、素晴らしです。
なお検波段のIFTはシールドケースがありません(画面右端のコイル)。

このラジオはアンテナコイルにタップが出ていて中短波帯が受信できる仕組みがあるが
(背面のスイッチで切替 局発はMWの高調波を使用する)。
実用的には使えない、当時のアメリカのポリスバンド受信用らしい。


このラジオは電磁型のスピーカーが使われています。
47 100μFのコンデンサーが組み込まれていたのですが、これほどの大容量のコンデンサーは不要です。
オリジナルは20 20程度のようですが、手持ちの関係で47 47に変更して組み込みました。
これであちこちアース線を延長する必要が無くなりました。

また整流管のプレートにはAC回路から直結で給電されていましたが、これでは整流管に無理がかかるのと、
PLランプの電流が少なく 暗くなるので オリジナルの回路へ戻しておきました。
また日本の100Vで使用できるように電源回路の抵抗を調整しました。
したがって このままアメリカに持って行って、115Vで使わないようにお願いします。







なおキャビネットに組み込んで聞いてみると 1300KHz付近で雑音が出ます。
隣にICF−2001Dを置いて受信してみると 雑音が出る場所付近でも局発の漏れには異常は有りません。
同調側のバリコンのショートのようです。
バリコンがの配線を外せばショートは簡単にテスターで解るのですが、
簡単に外せないので、何度もバリコンの羽根を修整し雑音が出ないようになるまで 羽根を根気よく修正しました。
左側の羽根が微妙に触るらしい。



調整について このラジオは本来470KHzのIFに設計されています、しかし最近温水便座での妨害に悩まされることを考えると、
455KHzにあえて調整しました。
理由は メーカーが温水便座の455KHzのセラミック発振子を465KHzに変更することで 対策としていることがあるのです。
この為 他のラジオと合わせておいた方が無難と考えて あえて455KHzにしました。




回路図はhttp://www.nostalgiaair.org/PagesByModel/250/M0014250.pdf






2012年12月6日




ラジオ工房修理メモ

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