真空管ラジオの修理 ナショナル4D-1受信機の修理断念

ナショナルの4球受信機の修理を依頼されました。
近所の骨董屋さんで購入したとの事。
外観は再塗装したのでは無いかと思うほど綺麗です。

ツマミは放送局型123号受信機に使われているのと同じようなデザイン。
@ツマミが違う
色が違いますので、別の機種から持ってきた物混在しています。
Aスピーカーグリルの布が怪しい。
どうもオリジナルでは無いようです。
B古い割りに塗装が光っています。
Cキャビネット内部にほこりが無い。
こう言うものを見たときには怪しいと思った方が無難です。



スピーカーにゼネラルのパーマネントスピーカーがついています。
戦前の日本製ラジオでパーマネントスピーカーは見た記憶がありません。
型名の4Dから推定してダイナミックスピーカが付いていたと思われますが、
電磁型のものが付いていたはずです。

キャビネット底面に回路図の断片が残っています。
電磁型スピーカーに間違いありません。

真空管は57(58) 56 56 12kが使われています。
57は文字がよく読めません58の可能性もあります。
トップグリットがぐらぐらです。
真空管試験機で確認すると使えそうです、2級品と書かれています。
当時安価が売り物だった2級品ですが、現在では珍品でこちらの方が高価です。
皮肉なものです。
56は1本がエミ減でした。
12KはJRCのものが付いていて、これまた珍品です。
テストOKでした。

ソケットにかかれた真空管の名前は57 56 47B 12Fです、オリジナルはこのようです。

スピーカー クリック音が聞こえます、大丈夫のようです。

何とか修理できそうと見極めをつけ、分解することにしました。
シャーシを止めているネジが4本中1本しかありません、嫌な予感。

右下のツマミは取れたのですが、左下と 中央上のツマミは取れません。
左側のツマミを無理やり外しました。
外して吃驚 接着してあります、道理で外れ無い訳です。

もう一つ取れれば良いのですが、注意部下く観察すると、ダイアル窓のセルロイドに接着剤の跡が見えます。
再生用バリコンは壊しても何とか代わりがありますが、ダイアル機構は壊すと代わりがありません、
仕方なく ここで修理を諦めました。
どうしても修理したい場合は、ツマミを壊して分解すれば、良いのですが、そこまでする価値があるか悩むところです。
隙間からシャーシの下を覗くと凄い修理がしてあります。
使った部品からすると最近の修理です。
総合的に修理をする費用が勿体無い、止めようという結論になりました。
作業を途中までして残念ですが、この様なことは時々あります。
それにしても何故このような「ツマミ接着」などが起こるのでしょうか、不思議です。
器用な骨董屋さんにかかるとダイアル糸をかけてみたり、適当な真空管を挿してあったり、ツマミをつけるなどあるのですが、
接着だけはいけません。


キャビネットに接着剤の跡。



外したツマミ。

ナショナル 4D−1受信機  ただしこの回路図は虫食いで断片になっています。
なおこの回路図には間違いがありそうです。
虫食いになっているので、明確では有りませんが、57のPへの250Kオームの+B側が20Kオームでアースされているように見えます。
これは間違いと思われます。


2002年7月9日

2005年8月16日移転

2006年6月23日リンク変更

2006年6月24日移転

修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ


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