真空管ラジオの修理 自作5球スーパーの修理体験記

ナナオのダイアルを使った5球スーパーの修理体験記です。
このダイアルにはNanayoとSilver toneと書かれています。
NANAYOは日本のメーカーですが、Silver toneはアメリカのブランドですから???。

スピーカーはONKYO 真空管はマツダ IFTはスターです。



不思議なことにSPのボイスコイルの巻き線にビニールコードがつながっていて、
その先端にAC(ダルマ)プラグが接続されています。
恐ろしいことです。

(確認したら、スピーカーが壊されている事がわかった。下の写真


IFTが斜めに取り付けられています。
こう言うのは珍しいです。
シャーシが錆びてケミコンのケースが腐蝕しています。
スピーカーケーブルはひび割れて絶縁が取れかかっています。

ダイアル シャーシ キャビネットを見ると非常に上手く組み合わされています。
素人細工では難しいです。
これはダイアル シャーシ キャビネットのセット販売品だった可能性があります。
ただバリコン コイルも含むと、どうも不思議な組み合わせで、組み立てはどう見てもアマチュア−です。


内部を見るとコイルは2バンドが使われています。
ダイアルは中波だけですから、素人が組み立てたものでしょう。
ラジオ屋さんはこんなことはしませんから。


電源トランスはフィールド型スピーカー用の小型トランスです。
若しかしたら、最初はフィールド型スピーカーが使われていたのかもしれない。
このトランスで一番困るのはB電圧が高すぎることです。

幸いなことに300Vのタップがついていて、これを利用した。
それでも50Vくらい余分なので、1KΩ 3Wの抵抗でダウンさせた。


シャーシ内部にもケミコンが実装されていて、充填物が噴出しています。
爆発しなくて良かったです。

スピーカーのボイスコイルにつながっているコードにはACプラグが接続されているが、
よく見るとスパークの跡がある。
心配したとおり、コンセントに挿して見たらしい。
当然 スピーカーのボイスコイルは断線していた。
自作品は時々とんでもない接続方法が使われているので、恐ろしい。




ダイアルの糸掛けは木綿糸らしいもので修理されていたが、
使っているうちに切れると困るので、正規のものに交換した。
またダイアル照明のPLが空中に浮いた形で取り付けられていた。
危険なので、リード付PLをダイアルに半田付けすることにした。
交換容易なソケット方式にしたかったが、金具が紛失していて不能だった。
(下の写真参照ください)


試験中のラジオ。
真空管の配列は12F ケミコン 6ZP1 6ZDH3A 6D6 6WC5だったが、
ケミコンの両隣に発熱量の多い真空管があるのは厭らしいので、
面倒だが、ケミコン 12F 6ZP1の配列に変更した。
アマチュア−の自作品はよくこのような変な配置もあるので、
修理はメーカー製の数倍の手間がかかる。 

スピーカーは同じ時代のゼネラル製にアウトプットトランスを載せ代えて利用。


ほぼ修理完了したラジオのシャーシ内部。
トランスの出力を標準回路図に従って使うと、
6ZP1の規格をオーバーするので、
3W 1KΩの抵抗で1段フイルター回路を追加した。
なおこの抵抗は発熱するので、ケミコン直付けでなくラグ端子を別に用意した。




修理完了後のラジオ。
キャビネットにはPacific toneと書かれている。
ダイアルはSilver toneだし。

短波も多少接触不良があるが、快適に受信できるようになった。
ただ不思議なのは5Mc〜15Mc程度が受信できる。
この時代のコイルは6Mc〜18Mcのはずだが?。
目盛りも無いので、深く追求はしていない。

余談
このラジオが依頼主から送られて来た時、中を開けて吃驚、スピーカーが外れて、もう少しで12Fが割れるところでした。
幸い厳重に梱包し、ラジオの中にも緩衝材が詰められていたので、助かりました。
原因を推定するに、
@このラジオのスピーカーはネジ2本で固定されていたらしい。
Aキャビネットの木が湿気で弱くなっていた。
B輸送時仰向けに梱包されていた、この為スピーカーの重量がネジが外れる方向に働いた。
 (仰向けにラジオを箱に入れて 梱包しないほうが良い)
どちらにしても輸送時この種ラジオは注意した方が無難です。


2002年12月15日
2002年12月17日

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転

修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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