真空管ラジオの修理 ナショナルGT管スーパー DX−330

松下の初期のGT管を使った珍しいレスラジオ。
真空管とシャーシ部分のみ送られてきました。
ペーパーコンデンサーの絶縁試験をおこなった、35L6GTのG1に電圧が出ます。
他のコンデンサーも蝋を吹いた如くなっているので、全て交換することにしました。
このラジオは初期のラジオの例にもれず、フローティングアースです、幸い回路図のコピーがあったので助かりました。
回路図が無いと、時間がかかります。


不良部品を交換終了。
このラジオはアンテナコイルがループコイルになっていて、
これは送られてきていません。
最初抵抗を入れてテストしたのですが、受信できません。
しかたが無いので、アンテナコイルを急遽作ることにしました。
コアの上に0.15mmΦのウレタン線を適当に巻き、
Qメーターでインダクタンスを測定します。
210μHくらいでOKです。


手作りのアンテナコイルを使った試験。
(写真左上)
このコイル一見単純ですが、威力は抜群です。

実はこれでも音が出ませんでした。
故障の原因は検波段のIFTの1次側の不良でした。
導通は有るので断線ではありません、不思議な故障です。
見つけるのはテスターと感です。
相当経験が無いとこの故障は発見困難でしょう。
このIFTは初めて見る構造でした、端子が4隅ではなくて、1列に4個並んでいます。
ヨーロッパにはこのような構造のものがあるそうなので、或いはフイリップスからの技術導入品でしょうか?。
真空管はST管をGTに焼きなおしたような松下独自技術と思われる12SQ7GTM 35Z5GTMなる怪しげな(珍品です)球が使われています。
PLは単巻きのトランスから取っています。
未だ整流管のヒーターからタップを出して、上手く動作させる真空管の製作が出来なかったためでしょう。
またプレート電圧も少し高くしてありますので、最大音量は通常より大きいはずです。
IFTを修理するとなかなか快適に動作します。
ただアンテナコイルが無いのでトラッキング調整は出来ませんでした。

回路図
















依頼主のホームページの紹介
かなりあの宿 DX−330 このラジオ全体写真があります。

2002年12月24日
2005年8月16日移転

2006年6月24日移転
2016年4月10日:3,103

修理のノウハウは下記をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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