真空管ラジオ組み立てキット リンカーン 5M-111の組み立て

リンカーンの組み立てキットです。
オークションで買ったが説明書が無いので、組み立てられないとのこと。
回路図はキャビネットの内側に貼付されていますが、説明書はありません。
資料はキットのパンフレットだけです。

調整時に便利なようにダイアルの目盛りが付属しています。
部品は一部無いようです。
また台紙に組み込んである部品も取り外し品が半分以上ありました。
一度組み立てかけた物を元に戻したようです。

どうも一部組み立てたが、配線を外した形跡があります。


キャビネットは50年くらい経過しているので、汚れがあります。
写真で見るより 汚れが酷いです。
分解して、洗剤で洗いました。
ただプラスチックの材質が悪いのか、ひび割れがあります、特にツマミは危険な状態でした。
ビニールテープで補強するなど工夫が必要です。
シャーシの止めネジもぼろぼろでした。


ソケットは鳩目パンチで固定してあるので、最初から組み込んであるようです。


ロータリースイッチは端子が汚れているので、取り外して磨きます。
50年も前の製品は半田付けも準備が大変です。
どうも一度組み立てた後 分解して 部品に戻したようです。


アース母線は事前にはってあったので、ヒーター配線から始めました。
6BE6と6BD6のG2の配線15KΩを組み込みました。
平滑用の2KΩの抵抗を組み込むためのラグ板を組み込みました。
2KΩの抵抗は手持ちが無かったので、秋葉原に買い物に出かけてきました。



部品の組み込みを始めたのですが、アース母線のはり方に間違いがありました。
部品も大部分組み込んだ後、取り外した物のようです。
間違いは下記の図のようにソケットやVRの配線部分です。
秋葉原で買ってきた2KΩ3Wの抵抗をラグ端子に組み込みました。
古い部品は半田が上手くつかず、苦戦しています。



6AV6の配線で1ピンがアースされています。
1ピンは3極管のプレートです。
これも間違いです。

VRの配線も間違いです。

ラグ板もない部分があり、順次組み込んでゆきました。
トランスが中央にあり、6AV6と6AR5の間になります、重量的にはバランスが良いのでしょうが、配線上は非常に困ります。
ハムを拾いやすい構造です。



完成した5M−111。
ACとシャーシ間に0.01μFの安全規格のコンデンサーを入れました。





周波数変換段付近の配線です。
ロータリースイッチ コイル トリマが複雑に絡み合っています。
更に汚れが酷いので、半田付けは大変でした。
新品組み立ての数倍の時間がかかってしまいました。
製造後 50年を経過すると半田付けが大変です。
0.1μFのペーパーコンデンサーも使えないことは無さそうでしたが、
場所的に厳しいので、今回は使用しませんでした。


周波数の低い部分が受信できないので、
調べてみるとバリコンの羽根が変形しています。
これを修正して、動作OKです。


上から見た5M−111.


調整中のラジオ。
IFTの調整は10KHzくらい狂っていました。
目盛りも無茶苦茶に狂っていました。
どうもネジを無闇に弄った可能性があります。
測定器がないと調整が困難な状況でした。

調整後 白ペイントを塗ってネジを固定します。

ラジオ工房掲示板に質問がありましたので、画像を変更するとともに下記に追記します。
(2009年10月16日)

まず 調整用 仮ダイアルの位置は固定しやすい場所に貼り付けます。
ダイアル糸と平行で、指針をつければ全体をカバーできる位置です。
その上で
NHK1(594KHz)を受信します。
仮設ダイアルの丁度良い目盛りの位置で、赤マジックでダイアル糸に印をつけます。
赤い矢印の下側の赤い印、これが仮ダイアルの指針の位置になります。
その次に1422KHZを仮設目盛りの丁度良い位置で受信できるよう、トリマを調整して合わせます。

このように相対位置で合わせるので、仮設目盛りの絶対位置が違っても全く問題ありません。
目盛りが一致した後は、NHK1はコイルのコアを最大音量になるように調整。
次に1422KHzのJORFにあわせ、これが最大音量になるように、トリマで合わせればよいわけです。
但し 普通の音声では最大が見極めにくいので、できればオシレーターがある方が良いでしょう。
または6BD6のカソード電圧が最も低い時が最良点(音量最大)です。

ケースに入れる時は、NHK1を受信し、その位置でダイアル指針を固定すればよいわけです。

なお 今回は狂いが大きかったので
受信範囲は大まかに調整してから、この作業はやりました。
大まかな受信範囲の調整方法は
下側はバリコンが最も重なった位置で、局発の周波数を監視(1CFー2001Dでモニター)して、
975KHz(520+455)程度が受信できるように、コイルのコアを調整します。
上側は1605+455+αの局発信号が受信できるに、トリマを調整します。
この方法は拙著 真空管式スーパーラジオ徹底ガイド 139ページ以降にに説明してあります。

この作業をやった後で、上記のダイアルの目盛りとの調整をすると、良いでしょう。
短波についても同じ方法です。



動作試験中の5M−111。


組み込んだシャーシを背面から見る。
ACプラグは紛失してありませんので、側面からコードは引き出しました。
アンテナ端子はありません、シャーシからビニール線を引き出します。
使用する時は延長してください。

なおこのキットについてはリンカーン ラジオ 修理体験記もあります。
昔 昭和31年 リンカーンのキットを組み立てた時は簡単に出来ましたが、今回は数倍の時間がかかりました。
半田付けする部分の腐食(汚れ)が厳しかったです、特に細いビニール線は使用が憚られました。

回路図はキャビネットの中に貼付されていて、撮影が難しく斜めですが 下記をご覧ください。




リンカー ラジオカタログ

リンカー ラジオ 5A-35組み立て説明書
津田さんに ご協力いただきました。

2009年10月7日:組み立て準備中です。

2009年10月10日:199
2009年10月11日:
2009年10月12日:217
2009年10月13日:223 作業終了
2009年10月16日:545 調整法を補足した、画像も一部変更。





  

radiokobo-all