デリカ DX−CS−7 通信型受信機の修復

三田無線の受信機を修復する機会がありました。
無茶苦茶改造されていて、意味不明の穴が開けられていたり、部品が組み込まれています。
どういう意図でこのような改造をしたのかすら想像が出来ません。


IFTの側面に出力トランスが組み込まれています。
電源トランスとパネル面の間から配線が取り出されています。



ヘッドホーンジャックの位置にランプ付スナップスイッチが組み込まれ、
ヘッドホーンジャックは空中配線のままです。
キャビネットの大きな穴はここに組み込むつもりだったのかもしれません。
電気的知識は無い感じの改造です。
このような配線にすると動作はしますが、グリッド回路を延長するので、ハムが酷くなり実用的に使えません。

修復前のシャーシ内部

左側から2番目の位置にスナップスイッチが組み込まれています。
ここは本来ヘッドホーンジャックの位置です。
右から2番目の位置に音量調整用のVRが組み込まれていますが、スイッチなしに変更されています。
本来はここにSW付VRが組み込まれるのがオリジナルの指定です。



ケミコンは外観は綺麗でしたが、漏えい電流が酷いので、交換する事にしました。
オリジナルは20 20 でしたが、22 22 22の新品の手持ち品を利用しました。
ヒューズボックスが背面に組み込まれていますが、真空管のソケットの上を覆う形であり、
点検に不便なので オリジナルに近いヒューズホルダーに交換しました。
これで点検するのが容易になりました。




修復完了後のシャーシ内部
オリジナル状態に戻すことを最優先に考えて作業しました。
ヘッドホンジャックの取り付け 音量調整用VRをスイッチつきに変更し、ここにACの切断をさせるようにしました。
ケミコン以外にもペーパーコンデンサーを交換するなどして修復をしました。
最終的に悩んだのはBFO回路の接続でした。
茨木さんの記事では配線での結合となっていますが、うまく結合しないので2PFで結合させました。




CQ誌1966年 茨木氏のCS−7製作記事の実体配線図






デリカ(三田無線)のIFT
とにかく素晴らしいです、ここまで芸術的に作らなくてもよ思えるほどです。
写真はシールドケースを外したところです。


とにかく複雑な構造をしています。
まさに手作りのIFTです。
普通のIFTを数百円とすると、このIFTは1万円以上と言われても納得します。


同調はC同調で、左右の金属板がコンデンサーになっています。
左側の金属板の場合、手前のネジ(赤いリード線の下あたり)で調整する仕掛けです。
ここまで手をかけるのであれば、真空管を1本増やした方が原価的には安いのでしょうが・・。
調整
このラジオの調整は意外と悩ましい状態でした。
アンテナからSSGで455KHzの信号を入れてもうまく受信できないのです。
IFTがシャープで普通の受信機と同じような形では駄目なことがわかりました。
我が家のSSGは最大出力でも1Vです、普通はこれで十分なのですが・・。
なんとか工夫してIFTのピークを確認しながら調整しました。

なおICF-2001Dなど デジタル表示のBCLラジオはモニターとして最適です。
デジタル表示のラジオの周波数をモニターしながら、微妙な調整を行います。
大部分の調整は済んだのですが、第2バンドの調整がうまくできません。
大幅に目盛がずれるのです。

調べてゆくとパディングの不具合と想像されました。
このパディングは最大容量600PFの可変型(BCバンドに使われるものと同じ)と固定コンデンサーを組み合わせたものです。
バリコンと電源トランスの間に組み込まれています。
回路図には容量の記載がありませんので、順次 コンデンサーを加えたり、外したりして 最適容量を見つけてゆきます。



バンド2のパディングコンデンサーを見極めるために試行錯誤で確認。
温度が安定したら 測定する、不具合なら変更するの繰り返し。

目盛合わせがおわれば トランキング調整です。
コイルがコアなしなので、調整はいやらしいです(コイルの中の遊びのリード線を調整する)。

コンデンサーを交換して 目盛が合うかどうか確認。



調整終了後のシャーシ上面。
全体の調整は時間をかけて丁寧にやりました。
正直 この受信機はノイズが少ないです。
IFTは高選択度なので お世辞にも良い音とは言えませんが、普通の通信型受信機を使うのとは感触が異なる感じがします。



ツマミも無かったので 手持ちのものを利用した。
本来はANT-COMのツマミはもっと小型のものらしい。
メーターの右上の大きな穴はとりあえずランプキャップで塞いだ。


JOAKを受信しているところです。
全ての目盛はサブダイアルが0の位置で校正されています。



送られてきたきた時の外観は下記

ツマミが全くありません、余分な穴が開けられています。
メーター上の大きな穴はランプをつけることでカバーしました。


デリカ DX−CS−7 回路図
CQ誌掲載の回路図です。



このラジオ2018年3月14日 オークションに出品されていました。




2011年12月28日

2013年10月21日:3,303
2018年3月14日:6,821
2018年3月15日:6,994

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ラジオ工房修理メモ

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