スター S-200 Hi Fiチューナー回路図

このチューナーの特徴はバンドパス特性を持たせたBH-100コイルを使用していることです。
通常のアンテナコイルだと、選択度が急峻なので、高音部が減衰します、特に周波数の低い方は厳しいです。
これを避けるために、抵抗などでQダンプして対策します。
このコイルを使うことで、最適な通過帯域を持ちつつ 選択度も良いという特徴があると解説されたいます。
ただインピーダンスマッチングも難しく、初段の6BD6はアンテナの長短の影響を避けるためのバッファーとして使われています。



スターニュース 32号(30年7月)や29・30号より。

参考)

当時の電波法では7,500Hzまでとなっていたが、昭和29年11月にJOAKで放送局と送信所間の中継線を改良して、
広帯域放送(〜15,000Hz)を試行したことにより、この放送を聴いてみようということで作られたチューナーです。
したがって 何が何でも±15KHzの帯域を通過させるという意気込みで作られています。

この放送を受信する場合、アンテナコイルの通過帯域とIFTの通過帯域が問題になります。
IFTは単一周波数ですから、比較的容易に実現できますが、アンテナコイル側の仕組みが大変です。
600KHzの電波を受信した場合、単同調回路で、±15KHzの通過帯域を確保するには、コイルのQを20に下げねばなりません。
通常の方法では実現できません。
普通コイルのQは80〜100有りますから、コイルに抵抗を直列に入れて、Qダンプします。
1500KHzを受信する場合は、同じ条件でQは50になります。
問題はこれでも±15KHzの部分で6dBの減衰を許容しての話です。
理想的な通過帯域を実現しようとした物が、このBH−100だったのでしょう。
ただ物量が増えすぎるのと、非同調高周波増幅(実際はバッファー)で混変調がおきやすいのが欠点ではと思われます。
地方の放送局では中継線の関係で従来どおりだし、昭和33年にはFM放送が始まったので、中波での広帯域放送も話題にならなくなったのでしょう。


2008年9月13日

2008年9月22日:227


ラジオ配線図集1

ラジオ配線図集2



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