BCLラジオの代表的故障例と修理法

アンテナの先端折れ
電気的知識は必要ありませんが、多少器用さは必要です。
これは多くのBCL機で見られる故障で、先端部分が無くなっている事が多いです。
オリジナルのロッドアンテナはまず入手できませんので、修理して使うしかありません。

@ロッドアンテナの殆どが残っている場合
先端にキャップを被せると危険予防になります。
ほぼ実用的に使えます。
弱い局を聞くときは外部アンテナ端子を使ってください。
作業要領は写真をご覧ください、単純に被せるだけです、エポキシ接着剤などで固定してください。

修理前 修理後 修理後

Aアンテナ自体が極端に短くなった場合
オリジナルのアンテナは入手できませんので、ほぼ同じ寸法のアンテナを捜して、接続して使います。


上側:途中から別のアンテナを接続したもの(蟻川先輩の工作)
下側:オリジナル
接続方法は単純に接続する方法と本格的に組み込む方法があります。
ロッドアンテナ自体は極薄のパイプで出来ています、外径と長さがほぼ同じジャンクのアンテナを探してきます。
ジャンクのアンテナは秋葉原や日本橋などでよく売られています、最近は少なくなりましたが、まだ入手の可能性はあります。
構造は写真のようになっていますので、器用な方は充分接続できるでしょう。
実は筆者 この作業をやった事はありません、蟻川先輩にお願いして接続してもらっています。



ロッドアンテナは極薄のパイプで作られています。
太さは(外径)で一段に付き約1mm異なります。
次々にいれこ状態になっていて、後部に抜けないように銅製の爪があります。
写真では判り難いのですが、分解してみると良く判ります。
根元の部分を壊すと、後ろ側から順次パイプの素子が抜き取れます。
逆に別のアンテナを接続するのもこの原理を使って組み込みます。
問題はアンテナの下側部分の取り外し方で、クーガ2200のものは容易ですが、スカイセンサー5800のものは難しいです。


ここまで難しい作業は嫌だという場合は、一段分の長さを省略して、単純に差込み、
接着剤で固定する方法もあります。


電池金具の錆

これは良くある故障です、+側の金具はヤスリで磨けば復旧する事が多いですが、−側は交換が必要な事が多いです。
ほぼ同じ大きさの電池用バネを入手し交換します、作業には半田付けなどある程度電気的知識が必要です。
バネ単体は東急ハンズなどで売られていますが、電池BOX 懐中電灯などを分解してバネを流用しても良いでしょう。
@半田付けが必要です。
Aバネの大きさはほぼ同じものを準備してください。




電池BOXを買ってきて、バネの部分を流用します。
バネ材ですから、多少寸法は異なっても組み込めます。


ACアダプターの修理   

この修理は半田付けなど電気的知識が必要です。
ACアダプターの故障はコードの断線が多く、殆どが先端のプラグ部分の付け根で断線することがほとんどです。
新しいプラグを購入して交換することで簡単に修理できます。
プラグは数十円程度で販売されています。
殆どの機種はセンターマイナスですが、東芝の一部機種(トライX1700など)はセンタープラスなので、間違いの無いように接続します。
これは半田付けの技術が必要ですが、比較的簡単に修理できます。
ただAC電源に接続される物ですから、安全には充分注意してください。

白色ストライプの方が+です。
+側の線をプラグの外側に接続します。
後で端子がショートしない様工夫をしてください。




修理例。
写真のようにプラグの根元で断線することが多い。

稀ですが、コードが本体付近で断線することもあります、この場合ケースを分解する必要があります。
元々素人修理は危険なので分解出来ないように、ケースは接着で組み立ててあります。
ケースを破壊して分解する事になります。
AC電源に接続される機器です、間違うと火災の危険もあります、試す方は自己責任で試みてください。


アダプターの内部写真。


元通り蓋を被せたところ。

純正品以外のACアダプターの使用。

最近純正品の入手は困難です、社外品や同じメーカーでも純正品以外を使用することが多いと思います。
例えばソニーのAC−120だと同じ4.5V表示でも2割も高い電圧がでます。
表示電圧が同じでも、思わぬ高い電圧が出ます、表示電圧に騙されてはいけません、次のように確認してください
特に充電器を兼ねたものは軽負荷時 表示の2倍近い電圧が出るものがあります。

殆どのBCLラジオのSメーターは電池の残量表示も兼ねています、これを利用して確認するものです。
@新品の電池をいれる。
A同調を放送局の無い場所にあわせる、この時のメーターの振れた位置に印をつける。
Bこの位置がラジオに加えて安全な電圧と想定する(恐らく5900の場合5V弱でしょう)。
C同じ同調位置で、ACアダプターに切り替えてみる。
Dこの時のSメーターの指針の位置が同じか、電圧の低い方であればこのアダプターは安心。
高い方(5900の場合左側に振れた場合)は要注意。
メーカーの設計値は不明ですが、経験上15%くらい電圧が高くてもすぐには壊れないが、2倍だとすぐ壊れるようだ。
なるべく安全な状態で使ってください。

バー(フェライトコア)アンテナの修理  

アンテナのフェライトコアが折れた時の修理法

中波帯の感度が極端に悪い場合 この破損を疑ってください、想像以上に多いです。
BCLラジオのMWなどではフェライトコアにコイルを巻いたバーアンテナが使われています。
一部のラジオでは短波帯でもこのアンテナが使われているものが有ります(クーガ115や118などのSW1など)。
元々 携帯用のラジオでは長いアンテナが使えませんので、空芯のループアンテナが使われていました。
最近では中波のDX用に大きなループアンテナが使われますが、ラジオの中に収納する為、数cm×10cm程度の小型が一般的でした。
空気の代わりにフェライトコアを入れて 小型でも同じような性能が発揮できるようにしたものが所謂バーアンテナです。
そのため フェライトコアが破損すると、特性が急に変わり、電波を拾う性能が極端に落ちます。
元通りに修復する必要があります。




上が正常なコア、
下が3つに割れたコア。


破片をエポキシ接着剤で繋ぎ合わせます、旗金で きつく締め付けて隙間の無いようにしてください。
この様にすると修復できます。


クーガ2200のジャイロアンテナ


ICF−5800などのバーアンテナ。
ボビンにコイルが巻いてあり、簡単にコアと分離できるアンテナです。
このタイプはアンテナコイルが抜けるので、修理は簡単です。


クーガ2200のジャイロアンテナの破損。
ナショナルのバーアンテナは性能を良くする為、特殊な巻き方になっています。
コア直巻きでインダクタンス調整用のサブコイルがある方式です。
修理方法は一見単純ですが、実際は意外と嫌らしいです。
特に3分割など破片が細かくなっていると コイルを巻きなおすなど工夫が必要です。


この修理をした後、電気的知識と経験のある方は コイルの位置(ナショナルの場合、サブコイル)を動かして JOAKなどを受信し、Sメーターが最も振れるように調整します。
次にJORF(1422KHz)付近の放送を受信し、Sメーターが最も振れるようにRFトリマを調整します。
これをトラッキング調整と言いますが、RFトリマの位置がわからなければ調整は省略します。
コアの割れ方によっては、コイルの位置調整だけではインダクタンス不足が解消せず、コイルの巻きなおしが必要な事があります。
参考の為 ICF−5500 ICF−5800のTFトリマの位置を写真で別途紹介します。

写真の追加 2007年2月16日



クーガ7のジャイロアンテナ
カバーをあけたところ。



クーガ7のジャイロアンテナ

接着して、旗金で固定



タイマーの修理 
タイマー搭載のBCLラジオは多いのですが、不良になっている確率も高いです、これは機械式時計を使っているので、時間経過もあり当然です。
動いていても時間が正確かどうかは保証の限りではありませんが、何とか動かしたい場合は、注油すると回復する事が多いです。
以下のやり方はアマチュアー的で、保証は出来ません、自己責任でやってください。

ナショナル113 115などのタイマー

これは比較的簡単に注油できます。

カバーが外しやすいからです。
軸受け部分の油が固まっていますので、これをふき取り、プラスチック用のグリスを塗って修理しています。
これはよほどのことが無いかぎり失敗しません。



ソニー5500や5800に代表されるカプセル型タイマー


これはカプセルの分解がいやらしいです。
あまり薦められませんが、器用な人なら可能でしょう。
カプセルは破壊して分解します、ただ接着で元に戻せるように配慮して丁寧に分解してください。



軸部分の固化しているグリスを拭き取り、新しくグリスを注入する。
上手く回復しない事もありますが、多くは回復します。



軸でグリスが固化している。

ツマミが抜けやすい

ツマミが抜けやすい物が結構多いです。


軸がこのタイプの場合、マイナスドライバーで切れ目を広げると良いです。
それでも駄目な場合は 下記のようにビニルテープを使ってください。




D型の軸の場合、極薄のビニールテープを軸に貼り付けます。
こうするとちょうど良い硬さでツマミが取り付けられます。
薄いビニールテープが無い場合、台所のラップなどを利用しても良いでしょう。

緩さ加減でラップの厚みを工夫してください。
修理時の事を考えて、決して接着材は使わないように。



ボリュームのガリやスイッチの接触不良。

これは10回以上動かすと回復する事が多いです、これが一番簡便で安全な対策です。
スイッチ類は時々操作してください、大気汚染の影響で接点面が汚れるので、清掃の意味でも良いようです。

基本的には新品と交換することが望ましいです、でも現実的には部品の入手は困難です。
BCLラジオは製造後4半世紀以上経過しています、製品寿命は過ぎていると考えられます、多少の接触不良やボリュームの「ガリ」は当然有ると考えた方が良いでしょう。

接点復活材で処置すると良いとも云われていますが、これはあくまで次善の策です。
ラジオを分解し 金属の接触面に塗布します、誰にでもお奨めできる方法ではありません。
これで復活する事も多いですが、時には修理不能の故障に発展する事すらあります、何度操作しても回復しない時に、自己責任で試してください。
ツマミを外して、キャビネット(ケース)の隙間から軸にかける方が偶にいますが、無意味です。
なおバリコンの羽根に接点復活材やCRCなどの化学製品は絶対かけないでください、バリコンの容量が変化し、回復不能の故障になります。

下記のように訂正 お願いします。

それでも動かない場合は、次善の策になるが、接点復活材を使います、製品の説明書をよく読んで処置してください。
これで復活する事も多いですが、時には修理不能の故障に発展する事すらあります。
如何しても回復しない時に、最後の手段として自己責任で試してください。
ラジオを分解し 金属の接触面に塗布します、分解組み立てに自信のある方に限定してください。
ツマミを外して、キャビネット(ケース)の隙間から軸にかける方が偶にいますが、これは無意味です。
なおバリコンの羽根に接点復活材やCRCなどの化学製品は絶対かけないでください、バリコンの容量が変化し、回復不能の故障になります


スカイセンサー5500のダイアル目盛りずれ

この機種特有の故障として、フイルムダイアルが無茶苦茶にずれたものがあります。
同調つまみ部分に衝撃が加わると駆動機構のギヤが一瞬浮き上がり、ずれるようです。
分解すれば修理することが出来ます。
半田付けは必要ありません。
電気的知識は必要ありませんが、多少器用さは必要です。


極端にずれると表示窓に印刷部分が無くなります。
多くは1〜2cmずれている事も多いです。
修正は分解する必要があります。

@ツマミを全部引き抜きます、無くさないように充分注意ください。
A裏面のネジを4箇所取り外します、+ドランバーが必要です。
Bケースと本体を分離するには多少コツが必要ですが、比較的簡単です。
なおスピーカーも一種に外れます。
組み込み時 困らないよう スピーカーの上下方向は記録して置いた方が良いでしょう。

なおスピーカーは裏側の蓋で押さえる仕掛けです、ネジ止めではありません。



フイルムダイアルの下側の軸のギヤを心持浮かすようにすると簡単に修正できます。
なお上の軸にはバネが組み込まれていて、常に上側に巻き取られるようになっています。
(ギヤ部分が浮き上がると、上側に巻き取られてしまう)


フイルムダイアル部分を取り外したところ。


側面からの写真

白い矢印の部分が外れると、フイルムダイアルが巻き取られて表示が狂う。
上記写真のように赤い矢印方向に少し外してかみ合わせの修正をする。


上下にフイルム巻取りの軸があり、上の軸の中にはバネが組み込まれています。
フイルムは常に上側の機軸に巻き取られるようにテンションが加えられているのです。
フイルムダイアルの駆動は下側の軸の右端のギヤで行われます。
この部分が衝撃で浮くと フイルムが一瞬のうちに終わりまで巻き取られるのです。


修正の仕方
フイルムダイアルのスタート位置(−)をあわせます。

ケースに入れる時に多少注意が必要です。
@アンテナの飾り金具は最後に組み込むこと。
Aスピーカーの取り付け方向 穴の位置をあわせること。
B無理に組み込まないように、特にレバーSWに力が加わると簡単に折れるので要注意。

意外な修理法

Sメーターは動作するが音が出ない場合、意外な部分が壊れている事があります。
BCLラジオに特有のマルチジャックジャック(MPX 録音 外部入力 イヤホーンあるいは外部スピーカー)。
製造後30年くらい経過しているので、ジャックの内部の接点が空気中の汚れで、接触不良になることがあります。
イヤホーンなどのプラグを夫々のジャックに抜き差ししてみてください、上手く行くと回復する事が有ります。
マルチジャックの保守用品は入手出来ませんので交換は難しいです、
電気的知識があればバイパス処置をするとジャックは使えなくなりますが、受信機能は回復します。

本格的に修理する場合

電子工学の知識が必要です。
最初は6石のトランジスターラジオで修理や調整を経験した上で、BCLラジオの修理に挑戦することをお奨めします。
サービスマニュアル(テクニカルマニュアル)は必須です、無い場合でも修理可能ですが苦労します。
最低限回路図は欲しいです。
1部の機器についてはアメリカで英語版のサービスマニュアルを入手する事が出来ます。
半田鏝など普通の工具の他下記のものを準備してください。
@標準信号発生器SSG(周波数が正確に読めること、5900や2200の場合 必須)
Aテスター
Bオシロスコープ
C電流制限付き定電圧電源
Dクリスタルイヤホーン
Eシグナルインジェクター
Fコアドライバー(普通のドライバーや工具は勿論必要です)やボックスレンチ。


中央の5円玉:トラッキング調整用の自作冶具。
クリスタルイヤホーン 鰐口クリップ付き、と3.5φプラグ付き。
右端:ボックスレンチ ボリュームなどのナットを外す時に使います。

詳細は本書の範囲をい逸脱しますので省略しますが、参考の為ICF−5500とICF−5800の調整箇所を記載します。
BCLラジオはただ音が出るだけではなく、性能を発揮できるよう調整することが必須です。
是非参考にしてください(主にAM部分です、FMは省略)。
修理方法の例はラジオ工房 http://www31.ocn.ne.jp/~radiokobo/にありますので参考にしたら良いでしょう。

5500の調整箇所

@指針を594KHzの目盛りにあわせ、この位置でJOAK(594KHz)が受信出来るようMW OSCのコアを調整する。
A指針を1422KHzにあわせ、この位置で1422KHzのJORFが受信できるようMWの発振側トリマを調整する。
BJOAKを受信し、Sメーターが最大に振れるよう、バーアンテナのコイルの位置を調整する。
CJORFを受信し、Sメーターが最大に振れるよう、RF回路のトリマを調整する。

短波帯の調整

4MHz(写真は1MHz)の水晶発振もモジュールを準備します。



この発振器は高調波が出ますので、4 8 12MHzの発振器としても使えます。

D4MHzに指針をあわせ、この位置で4MHzの信号が最大に受信できるようSWOSCのコアを調整します。
E12MHzに指針をあわせ、この位置で12MHzの信号が最大に受信できるよう発振回路のSWトリマのコアを調整します。
F4MHzを受信し Sメーターが最大になるようSWのRFコイルのコアを調整します。
G12MHzを受信し、Sメーターが最大になるようSWのRF回路のトリマを調整します。


なお左側のIC表示は5500や5800で使われていて、よく不良になるカスタムICの位置です。
「TR」と表示されている部分は出力トランジスターの位置です。
夫々取り外されています。
5800の調整箇所

説明は省略しますが、5500の延長線上の技術で修理 調整できます。
実際の5800では基板の上にダイアルやSW類など余分なものが実装されますので、
BFOスイッチ基板を一旦取り外してトラッキング調整をするなど、多少工夫が必要になります。
逆に言うと 組み立て完了で、調整しようとした時には、IFTやトリマが他の部品の陰になって見えないことがあります。





この様に組み立てられた形で調整します。
写真で 束線は固定されていますが、実際は調整後 固定してください。
(タイマーやBFOSW基板など取り外さないと調整できない為)


半田鏝など普通の工具の他下記のものを準備してください。
@テスター
A8Ωのイヤホーンとクリスタルイヤホーン
Bコアドライバー。

音が出ない場合の主な原因

*トランジスターやICなどの故障
*電源回路の不良(電池BOX腐食 外部電源ジャック不良含む)
*スイッチ類の接触不良
*MPX AUX 外部スピーカー端子(ジャック)などの接触不良。
*コイル コンデンサー 抵抗 などの不良。 
どこが悪いか通電して調べてゆきます、まず電源をいれ、ランプボタンを押して電源がONされているかどうか確認します。
稀に電源SWや外部電源ジャックの不良があります。
通電して 音が出ない場合、高周波部分の故障なのか、低周波部分の故障なのかを切り分ける必要があります。
まずSメーターの動きを注意して受信してみます、ダイアルを操作して、Sメーターが反応すれば検波回路までは正常と思って良いでしょう。
Sメーターがどのバンドでも反応しない場合は高周波部分+検波回路の故障です。
検波回路まで正常で音声がでない場合、MPX端子にクリスタルイヤホーンを挿入してみます、殆どの場合正常に受信しているでしょう。
この状況の時は 低周波増幅回路の故障です。
スカイセンサー5500や5800の場合、カスタムICと出力トランジスターの不良にこの様な現象になります。
MPX端子で正常な音声なのにスピーカーで音が歪む場合もこの部分の故障が殆どです。
出力トランジスターの不良 この方が多いですが、代わりのトランジスターは比較的容易に入手でき、交換すれば修理完了です。
カスタムICの不良のときは他の機種から移植して交換します、修理を諦めたほうが無難かもしれません。
スカイセンサーでよく壊れる部品


カスタムIC 25XX


高周波回路に多用されているトランジスター。
スカイセンサーやジーガムに多用されています。
トランジスターの足が銀メッキされていて、この部分が腐食し さらに内部まで侵入し故障の原因になるといわれています。
突然「がりがり」と音が出るようになったり、無音になったりします。
最初は遠雷のような音が段々大きくなるような故障モードもあります。
昨夜まで元気だったラジオが、朝 一番で無音になり 驚く事が起こりやすいです。
これは良品に交換すれば原理的には簡単に修理可能です。
出来ればラジオ全体のトランジスター 全数交換したほうが気分的には良いのですが、
取り外し、良品の組み込みなどで、周りの部品や回路を壊しやすく、費用の面もあり、どこかで妥協する事になります。


機種ごとの注意事項 

クーガ115 RF−1150

この機種は経験を積んでから修理した方が無難です。
想像以上に難しいです。
@特定の周波数が受信できない。
Aダイアルの目盛りが合わない。
Bバリコンの不良が時々ある、代用品を見つけるのは大変(規格が全く同じでないと目盛りが合わなくなる)。
Cツマミやダイアルメカなどの部品が製造時期で異なる(互換性なし)、保守用にジャンクを購入する時は製造時期の近いものを選んだ方が無難。

スカイセンサー5500A 5600 5450

この機種にはNSBクリスター端子があります、クリスターかダミーをつけないと受信が不安定になり、故障と誤解します。
後ろ側の扉を開けて確認した方が良いでしょう。
またミューティングSW(雑音防止)を動作させると、弱い局が受信できなくなり、場合によっては故障と勘違いします。
無意識にスイッチを動かしている事があります。


スカイセンサー5800

この機種は良く使い込まれていて、部品が磨耗している事が多いです。
ダイアル駆動機構の不都合なものは修理が難しいことが有ります。
途中で諦める勇気が必要です。

スカイセンサー5900

周波数の正確に読める測定器が必要です。
ダブルスーパーなので、原理的には難しいですが、馴れると5800より修理は簡単です。
清掃の為、ケースを分解する人がいますが、周波数直読の精度が狂います。
無暗に分解しない方が良いでしょう。

クーガ2200

周波数の正確に読める測定器が必要です。
ダブルスーパーで、IFの周波数が1985KHzと5900に比べ低いので、イメージが沢山でます、必ず トラッキング調整をしてください。
ジャイロアンテナのグリスが無くなっています、必ず追加してください。
選択度を良くする為 455KHzのIFTが5個も使われています、IF調整をしないと感度の悪い受信機になります。
ケースを分解する時はバリコンを触らないように注意してください。

スカイセンサー5500

FM送信機能は玩具です、完全でも実用的に使えません。
壊れていると誤解しないように。
この機種は半田こて不要で分解出来ます、分解すればケースの汚れを丸洗いでき、便利です。
ただ分解 組み立て時 レバースイッチを折り易いです、簡単に折れますので注意しましょう。

スカイセンサー5600

この機種を分解する時、裏側にも止めねじがあります、5500や5800と異なる方式です、注意して分解してください。

三菱 ジーガム505

これは修理を諦めた方が無難です。

クーガ113と東芝1700

フイルムダイアルに注意しましょう、修理できないことがあります。


終わり

ZZZZZZZZZZZZZZZZZここから原稿ではありませんZZZZZZZZZZZZZZZZZ






カスタムIC付近のプリント基板と取り外したカスタムIC。






受信しているが 音が出ない場合(5500を例に説明)
この故障は5500の場合 比較的多いです。
@通電して音が出なくとも Sメーターが動けば受信している可能性大
Aイヤホーンジャックに8Ωのイヤホーンを入れてみる→聞こえればスピーカーの不良か、イヤホーンジャックの接触不良。
長い間保管されていたものはジャックの接触不良が比較的多く、ジャックにプラグを何度か抜き差しするだけで回復する事が有ります。
MPX AUX端子なども同様に試してください、接触不良が解消する事があります。
BMPX端子にクリスタルイヤホーン(ハイ インピーダンス、8Ωでは駄目)を入れて聞いてみる、ここで音がでれば→カスタムICか出力トランジスターの不良。
C基板裏側のカスタムICの端子(@)とシールド板の間にクリスタルイヤホーンを接続してみる、この時VRは最大にしておく事、この位置で音声が聞こえればジャック類(MPX など)はOK。
D次に課したむICの出力端子(A)とシールド板の間にクリスタルイヤホーンを接続する、この時音声が聞こえればICは大丈夫で出力トランジスターの故障の可能性大。
トランジスターは入手できるので交換すれば修理完了となる。
問題は聞こえ無いときで、ICの故障です、このICは入手できないので他の5500や5800から移植する必要がある。




バンド切替SWの不良で 交換のため部品取りにされた残骸基板です。

バンド切替SWやBFO SWなど不良になると、新品の入手は出来ません。
最終的には同じ機種から部品を抜き取って移植することで修理します。
古いBCLラジオを修理するときは2台以上集めてからやるのが実用的です。


ただ 製造ロットによって回路や部品が違ったり、機構部品の形まで違って悩まされます。
趣味の修理と言う事で 割り切るのが良いでしょう。




スカイセンサーなどに使われているスイッチの分解修理


接点を分解して、清掃後組み立てる。
この写真は分解中のもの。
下側の太い部分がレバーによりスライドする。



ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ 原稿はここまで ZZZZZZZZZZZZZZZ


BCLラジオのアンテナ

BCLラジオのアンテナはよく折れます。
現在オリジナルのアンテナは入手できません。

何とか代わりの物をと言うご希望もありますが、微妙な違いがあります。
例えばクーガ2200と7は殆ど同じ形をしていますが、長さが違うので流用できません。





BCLラジオの修理に挑戦する方に
まずメーカーの提供するサービスマニュアルを入手してください。
有ると無いとでは天国と地獄の違いが有ります。
幸いオークションの付録についていることが多く、お持ちの方が多いと思います。
最低限 回路図だけは入手して修理を始めたほうが無難です。
サービスマニュアルはアメリカのA. G. Tannenbaumでも購入する事も出来ます。
修理に挑戦する方は半導体回路を勉強してください、
電子回路の知識も無く修理しようとするのは無謀です!。

修理をしようとする場合、同じ機種を2台以上揃えてから着手することをお奨めします。
動作を比較しながら確認すると、故障箇所の発見に役立ちます。

いきなりスカイセンサー5900やクーガ2200から着手するのは危険です。
スカイセンサー5500など比較的単純なものから経験した方が無難です。
回路的にはナショナルより、ソニーのラジオの方が理解しやすいです。
ナショナルはPNPとNPNを組み合わせた回路が多く、追いかけてゆくと分からなくなる事があります。
5800は回路は複雑ですが、比較的わかりやすいでしょう。
修理はまずこの2機種で経験を積んだら良いでしょう。



XXXXXXXXX

@バンド切替スイッチやBFOスイッチなどを10回以上動かして見ます、上手く行くと音が出ることがあります。
A外部スピーカー、イヤホーンジャック(端子)にイヤホーンを挿入してみる。
ここで音声が出ればスピーカーの不良かジャックの不良。
A次にクリスタルイヤホーンをMPX端子に入れて受信してみましょう、ここで受信できれば検波回路までは正常です。
Sメータが動くかどうかも検波回路まで活きているかどうかの切り分けに役だます。
MPX端子で音が出て、スピーカーから音が出ないときは
*低周波段ICまたはトランジスターの不良
*MPX  AUX IN 外部SPなどのジャックの接触不良。
以下は少ない
*スピーカーの断線
*その他(トランス 抵抗 コンデンサーなどの部品)

BMPXで音が出ない場合



これで故障箇所が発見できます。
壊れる部品はトランジスター IC コンデンサーが多いですが、抵抗やコイルの断線もあります。
どの部品が壊れたかはテスターで電圧を測定したりして、見つけます。
どこが壊れているかを見つけるのは修理したラジオの数で苦労するかどうかが決まってきます、勉強と同じです。
*低周波の故障でICF−5500 5800は低周波増幅用のカスタムICが壊れている事が多いです、補修用の部品は入手できませんので、
ジャンクの5500や5800から移植する必要があります。
*トランジスター コンデンサー コイルなどは同じ規格のものを入手します、苦労しますが、殆ど実現可能です。
ただカスタムICが入手できずに諦める場合も有ります。
A殆どのBCLラジオはSメーターが付いています、チューニングしながらSメーターの動きを観察すると状態が判断できます。
Sメーターも動かない時は高周波回路の故障です。
*発振回路が大丈夫かどうかは隣に別のラジオを置いて、局発をモニターしてみると良いでしょう。
シグナルインジェクターで後ろ側から順に信号を入れてゆけば故障箇所がわかります。
大よその場所が確認できたら、テスターで各部の電圧を測定、回路図に示す正常時の電圧と比較してゆきます。
C昔 トランジスターは半永久的寿命と云われていましたが、意外と壊れます、完全に壊れる場合と半分壊れかかったものがあります。


特に脚が黒くなったものはよく確認した方が良いでしょう。
「がりがり」音の発生原因などを引き起こす事が多いです。


通電

BCLラジオの場合、真空管ラジオと違っていきなり通電する事が多いです。
正常に受信できれば良いのですが、故障と思われる時は電流を測定してください。
当然機種で違いますが、音量最低時 30〜50mA程度が多いです、これより異常に多かったり少なかったりすれば要注意です。
*異常に多い場合、TR コンデンサー等のなどの故障が考えられます、部品の短絡も疑ってください。
*電流が少ない時 部品の断線(RFCや抵抗など)が無いか確認ください。
ACアダプターで試験する時は電圧と極性に充分注意ください。

音が出ない時 


@バンド切替スイッチやBFOスイッチなどを10回以上動かして見ます、上手く行くと音が出ることがあります。

A次にクリスタルイヤホーンをMPX端子に入れて受信してみましょう、ここで受信できれば検波回路までは正常です。
Sメータが動くかどうかも検波回路まで活きているかどうかの切り分けに役だます。
MPX端子で音が出て、スピーカーから音が出ないときは
*低周波段ICまたはトランジスターの不良
*MPX  AUX IN 外部SPなどのジャックの接触不良。
以下は少ない
*スピーカーの断線
*その他(トランス 抵抗 コンデンサーなどの部品)

BMPXで音が出ない場合



これで故障箇所が発見できます。
壊れる部品はトランジスター IC コンデンサーが多いですが、抵抗やコイルの断線もあります。
どの部品が壊れたかはテスターで電圧を測定したりして、見つけます。
どこが壊れているかを見つけるのは修理したラジオの数で苦労するかどうかが決まってきます、勉強と同じです。
*低周波の故障でICF−5500 5800は低周波増幅用のカスタムICが壊れている事が多いです、補修用の部品は入手できませんので、
ジャンクの5500や5800から移植する必要があります。
*トランジスター コンデンサー コイルなどは同じ規格のものを入手します、苦労しますが、殆ど実現可能です。
ただカスタムICが入手できずに諦める場合も有ります。
A殆どのBCLラジオはSメーターが付いています、チューニングしながらSメーターの動きを観察すると状態が判断できます。
Sメーターも動かない時は高周波回路の故障です。
*発振回路が大丈夫かどうかは隣に別のラジオを置いて、局発をモニターしてみると良いでしょう。
シグナルインジェクターで後ろ側から順に信号を入れてゆけば故障箇所がわかります。
大よその場所が確認できたら、テスターで各部の電圧を測定、回路図に示す正常時の電圧と比較してゆきます。
C昔 トランジスターは半永久的寿命と云われていましたが、意外と壊れます、完全に壊れる場合と半分壊れかかったものがあります。


特に脚が黒くなったものはよく確認した方が良いでしょう。
「がりがり」音の発生原因などを引き起こす事が多いです。