真空管の働き

真空容器の中に2つの電極を置き、片方の電極を高温にします。
高温の金属板をカソード、もう一つの金属板をプレートと呼びます。


図のように電圧を加えると高温のカソードから飛び出したマイナスの電荷を持った電子が、
プラス電位のもう一つのプレートに吸い寄せられます。
これは実線の矢印のように プレートからカソードに電流が流れたことを意味します。
電流は加える電圧に比例します、また電圧を逆にすると電流は流れません。
これが2極管です。

プレートとカソードの間に格子をいれ、この電圧を加減するとプレートとカソード間の電子の量を制御できます。
格子の小さな電圧の変化で、プレートに流れる電流が大きく変わるわけで、真空管の増幅作用の基本原理です。


格子を1個入れたものが3極管です。
その後格子の数を2個入れた4極管、3個入れた5極管、5個入れた7極管などが用途に応じて作られました。
カソードには直接加熱するものと間接的に加熱するものがあります。
前者はフィラメントと呼んでいます、間接的に加熱するものがカソードです。
カソードはヒーターで加熱されます、なおヒーターは電極の数には数えません。
真空管には直熱管と傍熱管がありますが、直熱管ではフィラメントが傍熱管ではカソードが使われます。


フィラメントは最初タングステンやトリウム・タングステンが使われました。
この材料は高温にする必要があり、明るいです。
その後研究が進み、比較的低い温度(600〜800度)で熱電子の放出が多い酸化物皮膜のフィラメントが開発されました。
このため1R5などの電池管は点灯しているのを確認し難いほど暗いです。
一方201Aなど 極く初期の真空管はこのトリウム・タングステンがつかわれていますので、点灯すると電球のように明るいです。





カソードとヒーターの構造。
カソードそのものはニッケルで出来た細い筒です。
その外側に熱電子の放出の容易な酸化物皮膜が塗布されています。
ニッケルの筒の中にヒーターが絶縁されて入れてあります。
ヒーターは交流で加熱する事が多いので、ハム防止の為その組み込み方にもいろいろな工夫がありますが説明は省略します。