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日本ラジオ博物館の岡部です。洗浄の際は、弱いものから適用していくのが原則です。
最初はブラシや掃除機で埃を取り、布でからぶきし、まずは雑巾で水拭きします。
あまりに基本的ですが、これはかなり効果があります。
これでも落ちなければ洗剤を使いますが、マジックリンは、極端な油汚れには使用することもありますが、強すぎるのでまず使いません。塗装を痛めたりよく洗わないと緑青が出たりします。
使用する場合はパネルのみなどに分解してから使ったほうがよいと思います。
ヤニ汚れには、「オーパスクリーン」などの水系洗浄剤がお勧めです。
洗浄力は弱めですが、攻撃性や健康への危険性が少ないの特徴です。
電気製品の修理に、ざぶざぶ水洗いしてしまうという手法をとる方がいらっしゃいますが、古いものに適用するのはあまりにも乱暴です。
洪水の被害にあった製品でもない限りこのような洗い方は、古いセットの修理には向いていません。
ケースなどの縮緬塗装の洗浄には困りますが、私はCRC-556を使っています。
ケースを外してCRCを吹き付けて布で丹念にこすると汚れが取れます。
ただし、つやが変わることがありますので目立たないところで試してからにしてください。
CRCを接点復活剤代わりに使う方がいますが、洗浄力のある油に過ぎないのでお勧めできません。専用の復活剤を使う時でも、基板などにしみこむと、ハイインピーダンスの回路は動かなくなることがありますので、「嗅がせる程度」に使うのが鉄則です。
なお、CRCはガソリンに近い強燃性ですので、間違っても通電中に使ってはいけません。
電源を切り忘れて吹き付けているときにスイッチを切ったら火柱が上がったことが(汗)。
チューナのダイヤルなどの裏印刷の透明パネルは絶対に裏から磨かないでください。
私もただのガラスにしてしまって泣いたことが・・・。
ピカールなどの金属磨きは有効ですが、研磨剤なのでつやが出たり文字が消えてしまったりするので注意が必要です。きれいにしようとしすぎると、つい磨きすぎて取り返しがつかなくなることが多いものです。
電気機器を痛めずに洗う手段として、二酸化炭素やドライアイスなどの絶縁性の残留しない材料で強力に洗い流すものもあるようですが、大掛かりになったり高価だったりで私は試していません。機会があればやってみたいと思っています。
高圧の配電盤をドライアイスで通電したまま洗うなんていうことが可能だそうです。
洗浄の鉄則としては、「洗う相手を見極めて適切な材料を選び」
「決してやりすぎない」
というのが、貴重な古いセットを壊さずにきれいにするコツではないかと思います。
http://www.japanradiomuseum.jp/
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