真空管ラジオの修理 東芝 7FM−10

東芝のFM SW MW 3バンド受信機の修理を引き受けました。
MWも受信できないと言う状態でした。
依頼主からの情報は下記の通りです。
 
1.メ ー カー  : 東芝

2.型    番  : 7FM−10
3.製造時期  : 昭和37年頃か?
4.受信バンド: MW.SW.FM
5.真  空  管 : 12DT8.12DT8.12BA6.12BE6.12BA6.12AV6.30A5 
6.現      状: @受信できない。(MWの状態でブーンという音は出るが、放送は受信できていない)
            Aバリコンの動く範囲が表示より狭い(1000KC〜1300KCの範囲のみ)
            B切り替え(バンド等)スイッチが硬い




例のケミコンテスターで調べてみると電源のケミコンはOK。
30A5のG1には電圧が出ています、結合コンデンサーは絶縁不良です。
このコンデンサーを交換した後、通電しました。
なお通電前に真空管の試験はTV−10でやりましたが、MW SW用はOK。
FM用は試験はしませんでした。

修理前のシャーシ内部の様子。


試験のため真空管を抜こうとすると、どうも緩い感じです。
ソケットのピンを締めたのですが、どうも完全には締まりません。
材質の問題でしょうか、全部のソケットがこの調子なので困ります。

ダイアルがうまく動かない原因はバリコンの固定ゴムの劣化です。
これは経年変化で仕方が無いのですが、VCの固定ゴムなど入手できるはずがありません。
仕方が無いので、熱接着材で固定することにしました。
ダイアルの糸を出来るだけ緩まないように、うまく接着させる必要があります。

もう一つはVRの不良です。
接触不良と抵抗が倍以上に高くなっています。
仕方が無いので、新品に交換しました。

修理完了後のシャーシ内部。
部品の交換はコンデンサー2個とVRだけで済んだ。
ただVRはローレット式のため、交換作業が大変だった。




IF調整とトラッキング調整を行っているところ。


以上で修理完了ですが、実は大きな問題が残っています。
真空管ソケットの接触不良です。
真空管に振動が加わった時などに、時々異常な動きをします。
少し動かすと元に戻るので、実用的には使えますが、本来なら全てソケットは交換すべきです。
あいにくこのラジオはFMつきの高級機で普通の5球スーパーの倍以上の物量があります。
交換するには、分解して、再組み立てするため凄い工数がかかります。
持ち主と相談して交換は諦めることにしました。
このままでも充分使えます。

このラジオの修理をして、不思議に思ったのは、
スピーカーのリード線が余りにも短いことです。
修理の時に非常に困りました。



2002年3月12日

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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